AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する



絶体絶命の仲間・・・対して、青年は・・・・・・



“ウェポン”の圧倒的な力の前に屈する仲間たち。

グリーンは倒れ、ブルーは完全に追い詰められた・・・。

そして残すは青年とグレイのみ。

青年もグレイの[硬き剣]に屈してしまうのだろうか

それとも・・・・・・

発動するグレイの“ウェポン”。

その時、青年は・・・・・・













 PAS Chapter3 第15話(後編) 統制者VS“ウェポン”使い 


















 (・・・甘いな、オレは・・・・・・)


2人に感謝の言葉を言って、すぐに思ったこと。



甘い、自分に甘すぎる。



捨てきれない感情、守れない決意、他人への甘え・・・・・・



あの2人に乗せられたのか、それとも元々、心で望んでいたことなのか。

再び“仲間”として戦うこと・・・心がどうしようもなく揺らぐ。

自分がどう在りたいのかが全く見えてこない。というよりも、どちらかに決めることを周りが自然と拒んでいるように思う。



「はぁ・・・。」



ため息を吐く。


情けない。自分が変われないことを周りの責任として思うなど、どれだけ弱者の言い分だろうか。

別に自分自身を強者と言いたい訳ではないが、これは明らかに負ける人間の考えである。



(オレは、変わらなくちゃダメだ。)





目を瞑り精神を集中する・・・・・・

きっと、今の自分に、そして昨日の自分に。そして今までの自分に必要だったものは、“切り捨てる力”だったと思う。

他人に対して残酷にはなったが、自分に対して冷酷になれなかったこと・・・・・・。

クリムへの想いから、死を望み続けた自分。いや、死によって逃げようとする自分。





甘い、全然甘い。





危険な戦いを生き抜き、勝利することよりも、初めから裏切ることを覚悟で行う潜入も・・・

日々を生きることが困難なものに比べれば、数千倍、数万倍も楽なはずだ。

自分自身が傷つけた人間、殺めた人間の不幸に比べれば・・・・・・

今の自分にとって一番大変で、辛い道を1つのビジョンとして戦いの結末を想像する。



「今は、やれることを、真っ直ぐ!!!」



黒き瞳に映し出された2メートル近い巨体のトレーナー・・・円卓の騎士 鋼鉄のグレイ。

青年の心と身体には確実に火が灯され始め、熱く燃え上がろうとし始めた・・・・・・。














「来たか・・・」


グレイは一人、静かに呟いた。

今度は普通に着地するブラック。着地するとプテをボールへと戻した。



「待たせたな。」



ギラギラしているブラックの黒い瞳からは、既に凄まじい闘争心を感じ取ることができる。



「その瞳、とても裏切った人間の瞳とは思えんな。」


「・・・よくよく考えれば、当初からオレのことを警戒していたことを考えれば

こうなることはある程度解っていたんだろ? 遅かれ早かれ、こうなる運命だったのさ。」




ふてぶてしく言葉を返すブラックに、グレイは別に怒りの表情を浮かべるわけではなく、ただ苦笑いを浮かべた。


「・・・・・・悪いが、貴様は私が確実に倒す。」


グレイは握りこぶしを静かに作ると、異様なプレッシャーを視線と共にブラックに向ける。

その異様なプレッシャーを感じ取ると、グレイの行動が自然と読める。

なぜなら、似たようなプレッシャーをあの“お手合わせ”で感じたからだ。



「“ウェポン”か・・・。」



グレイがまた静かにボールホルダーからボールを取り出した時、静かにブラックは呟いた。

既に先程からブラックとしての戦いは確実に始まったいる・・・



「とにかく貴様がいなくなればいい。・・・私情も含むがな。」



最後の一言を聞いた瞬間、ブラックは口元だけでニヤリと薄く笑みを浮かべた。



「ピンクの傍にいるだけしかできないただの木偶の坊かと思ったけど・・・案外、喋るんだな。」



挑発的な言動で、さらにグレイの心理を揺さぶり煽る。



「何とでも言え。」

「私情・・・ってのも気になるけど、大方、あの怖い目の女のことだろ?」



青年の観察能力はかなりのものがあり、この程度のことならしばらく観察していれば解ることである。

“お手合わせ”の時や、怖い目の女・・・即ちピンクと2人っきりでバトルの練習していたところを見て

このグレイという男の想いの先には気づいている。 ・・・自分に関しては気づかない人間なのに何故なのだろうか。




「・・・・・・オレのことはどうでもいいが、ピンクへの発言は撤回してもらおうか。」




ほぼブラックの予想通りの反応を見せるグレイ。先程作っていた握りこぶしがプルプルと震えるほどに力がこもっている。

“ウェポン”を使うかもしれない。非常に優秀なトレーナーかもしれない。だが・・・

ブラックの“統べる者”の戦いの術中にはまった以上、ここからの戦闘すべてがブラックの統制下に置かれるのである。



「その気は無い。有るのは、お前たちを倒すことだけだ。」



「そうか・・・ならば・・・・!!!」



グレイは先程手に取っていたボールを上空に向かって投げると、投げ終わると同時に新たなボールを地面に投げて

ボールからてつヨロイポケモンのボスゴドラを呼び出した。そして、上空に向かって投げたボールは、元々開閉スイッチを押されていたらしく

ある程度の高さでボールからよろいどりポケモンのエアームドが呼び出された。



(ダブルバトルか?)



まずブラックが思ったことがそれであった。

仮にそうでないと向こうが言ってきたとしても、両方へと対処ができる状態を準備しなければ、追い詰められるだけだ。

ブラックは一瞬(常人では刹那にも満たない時間である)であるが、手持ちのポケモンの展開方法を考えた。

エアームドを叩くのには、同じ空を戦場とするプテラのプテが間違いなく効果的であるといえる。

そしてボスゴドラに対して、タイプ的に優位に立てるのが、先駆け役であり、切り込み隊長のニョロボンのニョロ。

しかし、あの“お手合わせ”の時からある程度解っていたことだが、騎士たちは何か特徴のあるポケモンをその二つ名に合わせて使ってくる。

ならばこれから先想定されるのは、“鋼”タイプのポケモンが展開されてくる可能性が高い。

そうした時、“鋼”の弱点を突ける“格闘”タイプのニョロを先手から動かしていくのはどうだろうか・・・・・・



そんな悩みを一瞬で決断し、2つのボールを一緒に投げる。そして開閉スイッチが押されたボールからは

計画通り、空中戦を想定したプテラのプテと・・・・・・先駆け担当のニョロボンのニョロが呼び出された。




(やっぱり、ニョロじゃなきゃバトルは始まらないよな!!)




常人の刹那の時で下した冷静な見解。このレベルへの到達には相当な年数と厳しい訓練と、多くの実践が必要である。

ブラックのボールから呼び出されて展開されるプテとニョロは、それぞれのターゲットを確認すると、すぐさま戦闘体勢をとる。





「[カラドボルグ]!!!」





グレイの気迫ある声が自分とそして自分のポケモンたちの視床下部を刺激し、“ウェポン”発動の本能を呼び覚ます・・・・・・



「いくぞ、ニョロ、プテ!!!」



グレイの“ウェポン”発動と同時に、ニョロとプテがそれぞれのターゲットまで一気に距離を詰める。

2匹はそれぞれが得意とする距離にまで一気に距離を詰めると、早速、攻撃を仕掛けようとした。




「鋼一刀流!!!」




グレイの気迫ある声が再びすると、それを聞いたエアームドは高い声で一鳴きした。

上空に呼び出されていたグレイのエアームドの体長は通常サイズよりも少し大きめで、翼も長い。

そんなエアームドは空中でひらりと宙返りをして、自分の翼を鋼鉄化させる技“はがねのつばさ”を使い

接近しつつあったプテを追い払うと、それと同時に、一枚の鉄板、即ち自分の羽をボトリと落とした。

エアームドの鋼の羽は空中太陽の光を浴びてピカリと光ると、でグルグル回転しながら落ちてくる。

それ目掛けて、ボスゴドラは思い切り大地を蹴って大跳躍した。






「鋼一刀流、“イカズチ落とし”!!!」






自信と確信を持って言い放たれたグレイの叫び。ブラックはこの技の動きを観察しながら、全てをニョロに託す。

空中で羽の付け根の部分をキャッチするボスゴドラ。エアームドの羽の形状はまるで青龍刀のような曲刀をしていて

その様子はボスゴドラが刀を持って攻撃してくるようにしか見えない。

ボスゴドラは刀を空中で思い切り振りかぶると、丁度、近距離戦を仕掛けようとしていたニョロ目掛けて思い切り落ちていく。

本能として“植え込まれた”ものだけに、その威力や精度というものは感覚一つで調整できる。

確実に刀身がニョロを捉える位置へと真っ直ぐ降下していくボスゴドラ。

降下する方向というのは意識的に変化させることは難しいことを考えれば、こうなることは当初から向こうも解っていたのだろう。

自重と重力による加速で勢いを得たボスゴドラは、着地寸前で刀を振り下ろし、着地と同時で完全に刀を振り切るように刀を振った。

技の名前の通り、落雷のような速さと勢いで切りかかってくるボスゴドラ・・・・・・

衝撃のニョロ一刀両断シーンに、普通のトレーナーや人間なら目を背けることだろう。




結果は見えている。切断面から血しぶきが上がり、それを全身で浴びる刀を持ったボスゴドラ。


そして内臓もろもろがドロリと出てきて、刀に引っかかったどこかの部分がベチャリと落ちる・・・





非常に恐ろしく、グロテスクなシーンがそこには約束されているのだから・・・・・・








しかし、それでもブラックはその結果から眼を背けない。なぜなら、絶対に大丈夫と、ニョロというポケモンを信頼しているからである。



「脚!!」



刀身がニョロに触れよう一瞬前に、ブラックがニョロに向かって叫ぶと、ニョロは身体を屈めて刀身を一時的に回避すると

空中に未だ若干浮いているボスゴドラの両足を、そのまま全力で水面蹴り。

これが見事に決まり、ボスゴドラは空中で体勢を崩し刀による斬撃を失敗。そしてドサリとニョロの目の前で横向きに寝転ぶように着地した。





「今だ、“ばくれつパンチ”!!!」





ブラックがその技の動作を指示するかのように、右腕で拳を放つモーションをすると

未だ寝転んだ状態のボスゴドラに対して、ニョロは思い切り右腕を引いて、顔面目掛けて思い切り拳を放った。

直撃と同時にボスゴドラは痛みのあまり大地を揺るがすような獣の絶叫を上げ、その身体は主人であるグレイの足元くらいまで飛ばされた。



「・・・・・・。」



確実に捉えたと思った必殺の一撃が、簡単に回避された挙句、痛恨の反撃まで受けてしまった。

グレイはそのショックに言葉を失ってしまった・・・。、



「まさか・・・この程度じゃないよな?」



かなり挑発的とも思える程度で、問うブラック。

その間に再び拳を構えるニョロと再び上空で距離をとるチャンスをうかがうプテ。



(・・・ッ・・・・あの程度の“ウェポン”では、この男を潰せないのか・・・・・・。)



グレイは少し考え始めた。おそらくこの男はこの流れに乗ってさらなる攻撃を仕掛けてくることだろう。

戦術を考えるためにも、少し時間が必要に感じられたグレイは唐突に関係ない話を切り出した。



「・・・ピンクは、貴様の“大切なもの”を奪う機会を待っている。」



突然の脅しなのか、降伏なのかよく解らない発言にブラックは顔をしかめる。




「“大切なもの”を奪うねぇ・・・仮にもそれら全てを捨てようとした人間が、その程度の揺さぶりで動揺はしないぞ・・・?」
「どうだかな・・・そのわりにはこの町に来るのが早かったな。」


「あれは明らかにお前たちの誘い文句が悪かったな。・・・あれじゃあ、誰が聞いたって

 “お前のために、他人が犠牲になるぞ”っていっているみたいなものだからな。」



苦し紛れの会話というのがバレているのだろうか。ブラックは間髪いれずに話す。

そんな中でも一つ思いついたことは、やはり今よりも強力な“ウェポン”で攻撃するということだった。



「よく動く口だ。」
「そうでもしないと、対処できないヤツがいるんでな・・・・・・。」



ブラックが戦闘再開の意思を雰囲気で伝えてくる。グレイはその雰囲気にのまれると

完全にグロッキー状態のボスゴドラをボールへと戻すと、新たなボールを手にとった。



(・・・アレをやるしかない・・・!)



何かを決意したグレイから感じ取れる交戦の意思を感じ取ると、ブラックも一つ思うことがあった。




(案外、しんどいかもな・・・・・・だが、グリーンとブルーを巻き込んだんだ、負けはしない!!!)




グレイは3匹目となるポケモンが入ったボールから、ポケモンを繰り出した・・・・・・

















「お迎えにあがりました」「お迎えにあがりました」


どこかの山中の大きな滝にうたれて一人瞑想をしている青年の傍に、あの双子の姉妹が声を掛けた。

青年は瞳を閉じていてその色を確認することはできないが、研ぎ澄まされていると思われる精神は

見ているだけでも十分に伝わって来るものがある・・・・・・。

流れ落ちる莫大な水の音はうるさくも静か。双子の姉妹の声が聞こえているのかどうかは知らないが

滝にうたれる青年はピクリとも自分から動こうとしないし、動くような気配も見せない。ましてや、口も動かさない。


「お姉さま、どうしましょう?」

「もうしばらく待ちましょう。きっと、動くべき時を見定めているのですよ。」



そういうと双子の姉妹は、静かに滝にうたれる青年の姿を見守り続けた・・・・・・














 (そういえば最近、クリスに会えてねぇなぁ〜)


バクフーンの背に乗って、自分の先輩の故郷へ向かう一人の若い旅人はふと思った。

自分の恋人は、仕事で全国を回っているのでなかなか会うことができない。

しかし、この旅人自身もこうして全国放浪をしているので、お互い会うに会えない状態になっているのだ。

ポケギアをふと取り出して、恋人に連絡を取ろうと相手のエントリーコールを探す・・・・・・

夢中になって探しているつもりだったが、周囲の風景がいつの間にか森から平原に変化していることに気がつくと

旅人はポケギアを手に持った状態で周囲の風景を見渡した。



(もう少しで、ニビシティってところか・・・・・・)



地形を見てこの辺りの町が解るということは、相当この地方を旅して長いのだろうか。

そして旅人の言う通り、丁度ここはニビシティの郊外。

博物館やオツキミ山でデートをして来た、またはこれから・・・というカップルで溢れかえる時間だ。

旅人はカップルの中をチッと舌打ちしながらバクフーンに乗って駆けて行くと

カップル集の中に見覚えのある人相と髪の色をした、自分の“天敵”が彼女連れでいるところを丁度目撃した。



旅人はポケギアを再び元の場所に戻すと、そのカップルに近づいていった・・・・・・


















 (今日は帰ってきてくれてるかな・・・・・・)


美しい金髪の髪がサラリと晩秋の風に寂しげに揺れる。一人の小柄な女性が、トキワの森を自分のポケモンと散策中だ。

彼女のポケモンたちは思い思いに駆けて行くと、自分のお気に入りの場所でくつろぐ。


(しばらく息抜きしたら・・・今日も、行ってみよう。)


切なげな表情を浮かべる女性の瞳は薄っすら黄色をしている。





・・・・・・その瞳が求め続けているもの、一体、何なのだろうか・・・・・・?





















早くも大きな展開を見せる3人の戦い。

倒れるグリーン、絶体絶命のブルー、そして早くもグレイに本気を出させるブラック。

そして徐々に集まり始める“ウェポン”使いと、“仲間”のトレーナーたち・・・

マサラでの戦いはまだ始まったばかりである・・・・・・













第16話(前編)へ・・