AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する



 それは、やっと解ったことだった・・・・・・。









PAS(yellow side) Phase.7 心の回答 −叫んだ名前−














 人という生物は、何よりも強い理性を持っている。


それ故に、羞恥心が存在したり、常識というものが理解できる。


要するに“心”を形成することに成功したのだ。




(しかしながら、現実の世界では、手話でコミュニケーションをとるゴリラも存在することを

考えると、心を持つ生物は人間だけとは言い切れないのかもしれない)




“理性”は人に精神と肉体の分別を与えた。


精神と肉体が直結しているものを野生、野蛮と表現するように


それは事実である。


精神と肉体を分別する“理性”を持った人間。


区別することにより、人間は複雑な存在となった。


肉体的疲労、肉体的快楽。


精神的疲労、精神的快楽。


特に、現代社会が発展するにつれて、両者はより分別されていっている。

本来直結していた部分が別になったので、2つを得なければならなくなった。




肉体的に満たされることが、全てではない。


精神的に満たされることによって、初めて人は相手を求めたことになるのだ。



これは、理想論ではない。


現実が指し示す事実である。










 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

「ん、あっあぁぁぁぁ」

グリーンの部屋で結ばれる2人。

腰を振る2人の間にこれといった会話は存在しない。

別に、話すことが正しい訳ではないが、本当に会話は無い。

肉体的コミュニケーションをしているのかもしれないが、精神的なコミュニケーションは存在しない。




肉体的な技術だけを求めるパターンがある。

“種の起源”の理論を肯定するならば、たしかに人間は猿から進化してきた生命体で

大本は、精神と肉体が直結した存在であったので、技術があれば理性を破壊し

精神を支配することも可能だが、人という存在であるといえるかどうかは

かなり微妙なところであろう。




ただ、結ばれるだけという関係になっていたグリーンとイエロー。

それは最近の関係が周期的になってきたことが指し示しているだろう。

“そう、あるべき日だから”この理由だけで結ばれる身体と身体

お互いの戸惑いを誤魔化すために、結ばれる。

なんとも悲しい結末だった。





次第にグリーンの律動は速度を増していく、自身の限界が近づいてきた証拠だ。

イエローもその動きに合わせていく・・・・・・


「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」


昂る思い、グリーンは瞳を閉じた。


今、自分が抱いているのはイエローであり、親友の元彼女。

そして本来、自分が一番傍にいたくて、抱いていたいと思ったのは

今、銀色の瞳の奴の所にいる、元彼女のブルー・・・。



絶対に解消できない想いを、自分の脳内で相手を置き換えて処理する。

イエローには本当に申し訳ないが、既に数回はこうして処理している気がする。

非常に男の身体は身勝手に作られている。

自分は今、己の中に秘めている欲望をイエローを代理に発散しているの過ぎない・・・




(俺は・・・・・・最悪だ・・・・・・)




相手を傷つけたくない思いが、逆に相手を傷つけるハメになろうとは・・・。

自分の行動は見事に裏目に出ていた。

自分のしていることは、自分が求めた“優しさ”では無かったのだ。

優しくあるために、優しくすることが“優しさ”ではない。

そして、優しくすることが“優しさ”の全てではない。

更に、中途半端な“優しさ”は相手を傷つける・・・・・・




(人に優しくあることは、本当に難しい・・・・・・)




“本当の優しさ”の答えが、グリーンには少しだけ見えた気がした。




 女性の場合、快楽の極地に到達するには、技術が最重要視されるが

実際のところそういうものが無くても精神的な満足が大きく関係している。

大概、快楽の極地には通常ではまず到達することはありえない。

そう易々と快楽を得ることができないのが女性なのだ。

特に、マンネリ化してきたときは最悪。

どんなに相手に技術があったとしても、精神的満たされない場合が

快楽の極地に到達は不可能である。

淡い幻想や幼稚な妄想は半分真実、半分嘘なのだ。




(・・・・・・。)




肉体は快楽を求めて、グリーンの動きに合わせられていく。

喘ぐたびに、呼吸が妨害されて自然と苦しそうな呼吸になる。





どうせ、抱かれるのなら、到達しなければ損。





そう思うイエローに、グリーンを想う気持ちは、ほとんど残っていない。

精神的に満たされないことは、行為をただの運動程度にしか感じさせないのだ。




「あ、あ、あぁぁ、あ!」


速くなってきたグリーンの動きに、喘ぎのペースは増しいく。

次第に切なさに身体が襲われる。

そして、喘ぎの為に酸素を吸引できない状況が続くと、

脳内への酸素の巡りが自然と悪くなってくる。

ぼやけてくる思考、切なさが身体を包み、快楽へと転換されていく

所詮肉体的快楽の前に人間は勝利できない。

与えられた快楽を、そのまま受け取り続けるようになっている。




だが、残されていた理性が“きっかけ”を生んだ。






「あぁ、んんんぅぅぅぅぅぅ!!」

「ううっ」

2人が達する、その時だった。



















「・・・・・・レッド・・・さん・・・・・・」
















その一言は、間違いなく2人の耳に入り、残った。


気まずい空気が流れて、2人は動きを止めた。


他の男の抱かれている時に、昔の男の名を呼んだら

間違いなく、その場の空気は気まずくなるだろう。





自然と互いに離れて距離をとる。


イエローは慌てて謝罪するわけでもなく、ただ、黙って俯いている。


グリーンもイエローに背を向けてベットに座っているだけだ。


しばらくの沈黙が2人を包んだ。




















「・・・何か、まだ、私の中にはレッドさんが居たんですね・・・・・・」


寂しそうに呟いたイエロー。


「・・・そうか・・・・・・俺の中にも、ブルーが居る。」


グリーンもイエローと同じように呟いた。

その返事を聞いて、イエローの瞳は涙目になった。


「よかった・・・グリーンさんがそうなら、私、平常なんですね・・・・・・。」


グリーンはそれを背中で聞き続けた。


「私、悲しみに向き合いませんでした・・・。自分で悲しみに打ち勝とうとする思いがありませんでした・・・。

優しくしてくれる人が周りに居すぎて、自分で解決することを怠ってました・・・。

傍に居てくれた人に、ただ甘えるだけで、自分の力で乗り越えていませんでした・・・。」


イエローの瞳から、涙の気配が消えていく


「今日、どうしようもないくらい弱い自分が嫌になりました・・・。

痛みを我慢する、勇気の無い自分が・・・・嫌です。」


最後の一言に、グリーンはビクリと反応した。


(・・・・・・そうか、それが、“本当の優しさ”か。)


何故レッドが優しい男と呼ばれるのか、人をあそこまで惹きつけるのか

その答えが見つかった気がした。


(・・・俺に不足していたのは、相手を痛みつける“優しさ”・・・)


ポケモンたちに厳しく、自分を慕う町のトレーナーたちにも厳しく当たれるのに

イエローに厳しく当たることができなかった。

その理由は、イエローのキャラクターが間違いなくあがるだろう。

一度、指導したことがあるはずなのに、不憫に思う気持ちが、その判断を鈍らせていた。

不憫に思うからこそ、自分で這い上がってくるようにあえて突き放す。

そして、自分で這い上がってきたやつは絶対に強くなっている。

自分がよく、ポケモンたちにやっていることだった・・・・・・。

“優しさ”にとらわれ過ぎて、自分がよく知っていた“優しさ”を見逃していた。

灯台下暗しとは、正にこのことだろう。






ふと、グリーンは疑問に思うことがあった。


「・・・イエロー、今、お前はレッドのことをどう思っている。」


その質問に対する回答を、イエローはしばらく考えた。

自分の中にある、本当の思いに問いかけるために・・・



「・・・許せないです。好き、嫌いの感情以前に許せません。

突然、他に好きな女の人ができたからって、誰にも連絡をよこさないなんて

最低です・・・・・・」



「・・・もしもの話だが、レッドがここに帰ってくるとしたらどうする?」



その質問にイエローは即答はできなかった。

彼女の中には今の関係への戸惑い以前に、レッドへの戸惑いが存在するのだ。

イエローは本当に黙りこくって、真剣に考えた。











しばらくの時が過ぎた。

ポケモンたちの鳴き声も聞こえない時間に突入し、マサラの夜は静まり返っている。


「・・・分かりません・・・・・・。もしかしたら、もの凄い罵声を浴びせるかもしれません。

でも、もしかしたら泣きついてしまうかもい知れません・・・。今の私には、分からないです・・・・。」


その回答を聞いたとき、イエローの選択肢に、レッドを振るという言葉が無かったことに驚いた。

どんなに酷い捨てられ方をしても、何かの間違いではないだろうか?

私のほうに非があったのではないのだろうか?と、

思わせるほどに、レッドはイエローを本当に大切にしていたのだろう。

そうでなければ、捨てられた女がここまで好意を抱き続けているはずが無い。

同時に、何か一つの安心感を得た。


(・・・これで、女をまた信用することができそうだ・・・・・・)


あれだけ想いあっていた2人が、やはりそう簡単に相手を忘れないということ。

一時期、女を信じられなくなりそうだったが、イエローの言葉を聞いて

また、信じることができそうだ。

だからこそ、今、イエローにこの言葉を言える気がした。


「イエロー、自分で自分の道は切り開け。 甘えるだけが、女ではない。

女であるということは同時に、人間なんだ。」


「はい!!」


イエローの元気のいい返事が聞こえてきた。

これは、イエローに向けて話した言葉だが、同時に自分自身への戒めとなった。

レッドの言葉に惑わされ続けていた自分、だが、あの言葉の真意がこれだとすれば

やはり自分の親友は見かけはあんななのに、たいした奴だと思った。


「・・・フ、心配のしすぎだ」


今は近くに居ない親友を想うと、自然と微笑んでいた。













2人はとりあえずシャワーを浴びた。

イエローの要望で先にグリーンがシャワーを浴びる。

冷たいシャワーを頭から浴びて、物思いにふける。



(後は・・・俺が、答えを出すだけだ。)



失ってみて、初めて気がついた大切な存在。

あんなにも鬱陶しい存在だと思えていたのに、いくつもの戦いや日々を通じて

自分にとってかけがえの無い存在だということに気付かされた。

今になってアイツの元に現れて何の意味があるのかは分からない。

もしかしたら、銀色の瞳の男と仲睦まじくやっているのかもしれない。

今日、自分がイエローとしていたようなことをしているのかもしれない。

そう考えるだけで、どうしようもない苛立ちが起こる。

瞳を閉じて、冷たいシャワーを頭から浴び続けると、

頭の中で、ブルーとの思い出が流れ続ける。

もう、時に任せたズルズル解決なんて考えられない

失えない大切なものは、自分で得る・・・・・・




(自分勝手で都合がいい事を言っていることは百も承知。だが・・・俺は取り戻す。

アイツを、ブルーは誰にも渡さない・・・・・・!!)




静かに燃える心。

その心の炎を、今浴びている冷たいシャワーでは鎮火させることなどできはしない。







グリーンが出てきたので、次はイエローがシャワーを浴びる。

温かいシャワーを浴びるイエロー。

だがグリーンと違って、その表情は晴れることはない。



(結局また、私は一人ぼっちなんだね・・・・・・)



強く、自分で道を開拓することは、非常に辛い道である。

何も無いところに道を作る行為がどれだけ大変なことか・・・。



「結局、私。グリーンさんにも振られちゃった・・・・・・」



結果的に失恋、そして自然とこぼれる涙。

温かいシャワーが、冷たく悲しい気持ちを暖める。

レッド程では無いが、やはり、少しの想いでも失恋のショックは大きい



(でも、これを乗り越えなくちゃ・・・いけないんだ・・・)



“師匠”の教えを心に刻み、また一つイエローは強くなっていくのだ・・・。











いつしか朝を迎えていたマサラタウン。

グリーンの家にも日差しが差し込んで、明るく部屋を照らす。

結果的に朝帰りのイエローは、グリーンに見送られて家を後にしようとした。


「・・・私たちきっと、出会いがよければ結ばれたかもしれませんね・・・・・・」


「・・・きっと、な。」



別れ際のイエローの一言に、グリーンは曖昧に答えた。

今の自分の覚悟を絶やさないために。

イエローは“師匠”の家を後にすると、自宅へと帰って行った。

だが、イエローの家の辺りはまだ薄暗いだろう。














シルバーとブルーのデートまで後、6日。

グリーンは一人、動き出した。

グリーン、ブルー、シルバー、3人の結末は・・・・・・










Phase.8へ・・・