AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する



 流れた時間・・・動き出せないそれぞれの想い・・・・・・。






PAS(yellow side) Phase.6 望む“きっかけ” −前進不能− 









 最近感じるのは、ブルーへの罪悪感。

確かに彼を得たことのメリットは限りなく大きいが、それ以上に

デメリットのほうが多かったのかもしれない。

何でも話せる頼れる人を失ったはずなのに、同じような存在を再び失う。

いったい自分はどんな人を求め、どんな人に傍に居てもらうべきなのか?



後には引けない立場になって、初めて人間関係の苦しさに戸惑う。



苦しくつらくなったとき、この現実を気軽に相談できる人は

今まで誰だったのだろうか?

助けてくれた人は誰だったのだろうか?

別にグリーンが何もしてくれないわけではない。

彼の優しさにも感謝しているし、自分は彼のことが好きだ。

損得を考えない恋愛関係を構築することを別に間違いだとは思わないが

今の関係は、何か自分自身を偽っているような気がした。

別にレッドのことが忘れられないという訳ではないはずである


そう、きっと・・・。


・・・・・・。







心が落ち着いてきたから解ることは数多い。

自分は立ち直る術を間違えたのではないのか・・・?

しかし、自分がグリーンに抱く感情は紛れもなく本物であると断言できる。

その根拠として、自分はグリーンに抱かれることを望んでいるからだ。

ただ、その最中に心をよぎるものがあるだけで・・・・・・

部屋の隅にあったレッドとの思い出の品はいつしか自分で処理しており

変わりに、先日グリーンからプレゼントされた誕生日プレゼントだけである。

思い出の品として残っているのはあの麦藁帽子だけだった。

何となく麦藁帽子を手に掴もうと思ったが、その手を伸ばすのをやめた。

変わりにポケギアを掴むとグリーンに連絡を取る。



きっと、グリーンなら自分を救ってくれる、教えてくれる

自分の歩むべく道を、自分の答えを・・・・・・










 女は何故あんなにも簡単に割り切ることができるのか

男以上にクールな女の性質に、グリーンは驚くばかりである。

イエローにしても、ブルーにしても、どうしてそうも簡単に割り切れるのか

本当に不思議でたまらない。

1月に、偶然シルバーと一緒に歩いているブルーととある神社で鉢合わせたのだが

ブルーは何の変化もなく、普通に素通り。

逆にシルバーの方が気を使うほどだ。

別にイエローと共にいて、困っているわけではないが

失ってみて、解るブルーの存在の大きさ。

他人の傍に居るブルーを見て抱く、猛烈な嫉妬。





そして





自分達を巧く結び付けていたのが、レッドだったという事実。

あの事件の時、一丸となってレッドを助けようとしたことを考えればそれは解ることだ。

そんなことを考えていると、ポケギアが鳴った。

ポケギアの表示画面から発信者がイエローであることが解ると

グリーンはそのまま通信した。


「・・・もしもし。」
「グリーンさん、今日、お暇ですか?」


思えば、イエローも割りきりが早い気がする。

あれだけレッドを想っていたイエローが、今では、自分のことを想っている。


いやはや、女というのはどうしてこう、男女間にシビアなのか・・・・・・


人間不信に陥りそうな気分だったが、とりあえず彼女の誘いを受けて

自宅へと招待することにした。 周期的に言って、今日は・・・・・・

ふと、コーヒーが飲みたくなって自分でコーヒーを淹れる。


「・・・・・・。」


離れてみなければ解らない、傍に居てくれる人の大切さ。

たった一杯のコーヒーが、それを証明してくれている。

優しくありたいと思えば想うほど、自分の行動に疑問が生じている今、


何かきっかけが欲しかった。


自分の心に正直に生きることと、優しい生き方が一致しないのなら

どうすればいいのだろうか?

優しく接したい思いは強い、しかし、愛しい思いも強い。



数十分後、やってきたイエローを自宅へと招き入れた。

今日もまた、彼女との関係にきっかけを求めるために・・・・・・










 夕飯の準備に取り掛かるシルバー。

自分専用のエプロンを身に着けて、フライパンを器用に操って具材を炒める。

今日は簡単に野菜炒めといったところであろうか。

勉強に励むブルーを影ながら応援するために、こういう努力は惜しまない。

そして、いつの日か認めてもらうために、ひたすら頑張り続ける。

今まではあの男が居たせいで、無駄な努力になっていた可能性が高かったのだが

もう、大丈夫である。

それを考えると、2品を予定していた今日のおかずに1品加える。

手際よく野菜を刻み、和風の調味料とあえて、和え物をパッと作る。

作り終えたときのシルバーの表情はとても満足げで、包丁やまな板を

にこにこした表情で洗って片付けていく。

食器に料理を盛り付けると、食卓に並べる

夕飯の仕度ができたことを伝えるために、ブルーの部屋へと向かう。








 トントントン・・・。


「ねえさん、夕飯できたよ」


ブルーの部屋のドアをノックして、声を掛けるとドアが開いた。


「ん、ありがと。」


ドアから出てきたブルーは、眼鏡をしていて非常に知的に見える。

知的なはずなのに、必要以上にセクシーな格好をしているので

そのギャップは男として、非常に惹かれるものがあった。

こうやって一緒に暮らし始めて早、3ヶ月。

ブルーの魅力は日に日に増大していく気がしてならない。

触れたことがない分、増大の値はどんどん大きくなっていく・・・・・・

この3ヶ月、触れなかった自分を評価したいものだ

1月早々、振袖姿で悩殺されかかったことは記憶に新しい。

それと同時に、あの男と会ったのも思い出された。

あの男とブルーを会わせないために、時間を計ったハズだったのだが・・・

そういえば、あの男はあの時イエローと一緒に居なかったことが疑問に思えた。

もしかしたらイエローと破局したために、ブルーの魅力に再び気がついて

復縁を望んでいるのかもしれない。

そんなことを考える自分は、誰よりもあの男の存在が怖いのだ。


「どうしたの、シルバー。早く、夕飯食べよ?」

「あ・・・うん」


どうやら結構な時間物思いにふけっていたらしく、ブルーに心配されてしまった。

とりあえず夕飯を食べるために食卓へと2人で移動していった・・・。








 食卓について、食事を食べながら2人は話をしていた。

今日の夕飯に対する感想から、最近耳にした世間話など・・・

喋りながらの食事で、いつしか時は1時間ほど流れていた。

片づけが終わり、一服しようかという雰囲気の中、

ブルーが話を切り出した。


「・・・シルバー、来月の日曜日って暇?」

「別に大丈夫だよ」


ブルーの淹れた、おいしいコーヒーを飲みながら、会話は続く。


「よかった。じゃあ、デートしよっか。」
「・・・・・・うん、解った」


心の中で嬉しさのあまり狂喜乱舞してい自分を押さえつけて、平常心を保つ。

間違いなく、普段の努力の成果が出てきている証拠であると確信した。




おそらく、ねえさんがブルーへと変わる日まで、あと1週間・・・。

そう思うシルバーは、残り少なくなっていたコーヒーを

一気に飲み干した。










 夜くらいは、テレビでも見て気分転換をする。

グリーンと別れて以来、男の話は余り聞きたくなかったが、

自分の傍でこうやって支えてくれるシルバーの存在は

間違いなく、ブルーの心を掴んでいた。

グリーンとの関係が教えてくれた、永遠の愛という嘘。

初恋の結末はこのくらいでいいか。という発想が出てきていた。

本当の望みを言えば、もっと綺麗な結末を迎えたかったが

失って、傷つけられて、これが恋というものだと理解できた。

そんなことを考えていると、テレビで丁度放送していたドラマが

なんとも馬鹿らしく思えた。



(どうせ終わりを迎えるものに、何を期待しているのだろう?)



不思議と、そういう疑問が生まれた。

身近で起こった一つの恋の終わりが、自分にも飛び火した結果。

恋愛に対して冷ややかな考えを持つようになったブルー。

シルバーをデートに誘ったのも、彼女にとっては終わりを見据えたものに過ぎない。



(働くできる女として生きていくのも・・・悪くないわよね・・・・・・)



現実的且つ非常にシビアな目を持ったブルー

その生き方を仮定したとして、シルバーの存在を考える。

主夫としての才能も高い、そいて綺麗な顔立ち、何より自分を愛してくれること。

これら3っつのメリットを考えれば、シルバーと関係を深めていくことは

かなり自分にとってプラスになることは間違いないだろう。

軽い気持ちで誘ってみたデートは、結果的に自分を良い方向に導いてくれそうだ

ただ、一番気に食わないことがある。

それは、シルバーとグリーンを男としての質で天秤にかけたとき

間違いなく自分はグリーンを優先するだろうという事実である。

昔の男をいつまでも忘れないわけにはいかないのだが、

あそこまでいい男だと、逆に、忘れようにも忘れることがなかなかできない。

利己主義で生きてきた自分にとって、グリーンを手放すというのは

感情面以上に、現実的な利益の面が上回っていたといっても過言でもないかもしれない。

だが、その意見は今のブルーだからこそ出る意見であろう。








ドラマを見終えたブルーは、コーヒーカップを片付けて

シルバーに挨拶すると自室に戻って就寝の仕度を整える。

明日は大学の研究所に出向いて、研究を手伝わなければならない。

ベットに入るまでに、パジャマに着替えて明日の仕度を整えて・・・・・・

仕度が完璧に終るとベットにもぐりこんで明日に備える。

しかし、寝付こうと思ってもなかなか寝付けなかった・・・



(・・・・・・アタシは・・・・・・もしかしたら・・・・・・)



テレビを見ながら考えていたことを思い返すと、自分は恋愛に対してとてもシビアになっていたが

裏を返せば、誰よりも非現実的な恋愛を望んでいる証拠なのかもしれない。

何か“奇跡”が起きて、全てが前のような関係に戻ったとしたら・・・・・・。

そう思っているのが自分の本音ではないだろうか。

しかし、自分の本音を肯定したら、強く生きようとしている自分を否定するようで、とても嫌だった。



「・・・バカだな・・・アタシって・・・・・・。」



強くあり続けようとする自分、それが、一筋縄ではいかない事を今流す涙が証明している。



あと1週間の間に答えが出なければ、ブルーは愛というものを失うだろう。

自分で設定したタイムリミットまでに、“奇跡”が起こることを彼女は信じている。

人生の分岐点が今、目の前に迫っている・・・。












 「あっ、・・・・・んんん!!」


グリーンの部屋から響く、イエローの艶かしい声。

皆が眠る時間に、2人は求め合っているのだ。

イエローの白い肌には、赤い斑点がグリーンによって付けられている。

ある程度、その後も愛撫は続き、イエローは喘ぎ続けた。

そして、結ばれる2人・・・・・・








流れた時間の末に、それぞれ分岐点に立った。

関係の存続か、はたまた崩壊か?

その答えを導く“きっかけ”を作り出す人物は、誰もいないように思えた。












だが











“きっかけ”はこの日の夜に訪れた・・・・・・










Phase.7へ・・・