AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する



 決戦・・・、名も知らぬ街で・・・・・・。






PAS(red side) Phase.3 襲い来る、“敵”(前編)−VSロケット団残党−












 死、以外でこの戦場から逃れることは許されない。

そういう状況になったとき、人はどうするのだろうか

しかも、戦う力を持ち合わせているとしたら・・・・・・

そういう状況ならば戦うだろうか?






たとえその相手が過去の自分の仲間であり部下だとしても







答えは簡単だ。

人は、防衛本能により自己を守る。

己を守ることは、相手を傷つけること、過去の仲間達を傷つけるということ


己の安全か、元仲間への情か・・・・・・?


そんな心の葛藤から開放されるには、あることをすればいい。


仲間と敵・・・境界線を引けばいいのだ・・・・・・。


例えそれが、臭いものにフタをする行為だとしても・・・・・・













 

 まるで踊っているかのように機敏な動きでポケモンを操り、ロケット団のポケモンを次々と戦闘不能にしていくレッド。

その表情には“情”と言うものが一切感じられない。 薄ら笑いを浮かべた表情には戦慄を覚える。

既に、戦闘を開始してから20分は経過しているのだろうか、それでもレッドとレッドのポケモンの動きは止まらない。

レッドを中心に半径30メートル圏内に侵入した存在は、滅多打ちにされてその圏内から追放される。

今、またレッドを中心に東西南北の四方からポケモンが迫ってくる・・・・・・



 東側にマタドガス、西側にゴルバット、北側にヘルガー、南側にラッタ。

この4体のポケモンはほぼ同時にレッドのテリトリー内に侵入した。

このとき北側を向いていたレッドには、正面のヘルガーの姿が見える。 薄ら笑いのまま、レッドは

指を弾いて音を鳴らした。 残虐ショーのはじまりである。



手始めに、正面から“
ひのこ”を吐き出して牽制してくるヘルガーは、レッドの傍で待機していたニョロが捌く。

ひのこ”から大技の“かえんほうしゃ”に変える為に一時的に動きを止めたヘルガーの頭部を

ニョロは片手で掴むと強烈に地面に叩き付けた。 顎を強打したヘルガーは逆上してニョロに“
かみつく”をしようとするが

もう一度頭を地面に叩きつけられてしまい、反撃をすることが出来ない。

四足歩行の大概の動物は頭部を押さえつけると身動きをとることができない。 よって、ヘルガーは力ない抵抗しかすることが出来ないのだ。

そんな状況の中、レッドが再び指を弾きパチリと音を鳴らした。

ニョロはその音の直後ヘルガーの頭部に強烈な“
ばくれつパンチ”を放った。

強烈な一撃に泡を吹いて気絶(もしくは死亡)してしまったヘルガー。上顎と下顎が噛み合わなくなっているところを見ると

どうやら、頭蓋骨が変形してしまったようだ。 もう、助からないだろう。



西側から迫るゴルバット、しかしそのゴルバットに接近する影・・・・・・。

既に解き放たれていたレッドのエーフィことブイがそのゴルバットに狙いを定める。

目を閉じて“
めいそう”を始めるブイ、その存在に気がついていないのかゴルバットはその牙でレッドに襲い掛かろうと

こうそくいどう”で一気にその距離を縮めた。

パチリ、指の弾く音と同時に、“
めいそう”で高まった集中力を用いて“サイコキネシス”をゴルバットに放った。

念撃による精神侵食と技自体の物体操作の力によってゴルバットの肉体と精神はメキメキと音を立てて折れた。

飛行するという、翼を持つものの自然な行動さえも維持できないという事は、背骨又は翼の骨が折れたのだろう。

力なくレッド寸前でバタリと墜落するゴルバット。 2度と空を飛ぶことは無いであろう。



東側のマタドガスは、“
えんまく”を発生させながらその成分中に“どくガス”を混入させて接近してくる。

だが、その特殊な“
えんまく”はレッドのプテの“ふきとばし”によって団員達に向かって吹き飛ばされた。

咽る団員達、その成分によって1人、また1人と倒れていく・・・・・・

指の弾く音と同時に、プテは己が身体に秘める“
げんしのちから”を開放した。

発生した太古のエネルギーがマタドガスに直撃すると、その身体を大きく吹き飛ばした。

吹き飛ばされたマタドガスと、プテの発したエネルギーの余波がプテの正面にいたロケット団員達を吹き飛ばしていく・・・・・・



南側から攻め込むラッタは、その行く手をレッドのフシギバナ フッシーの蔓に動きを阻まれていた。

フッシーは4本の蔓を巧みに操ってラッタの動きを封じる。 その蔓の動きはまるで獲物を狙う蛇のようだ。

ラッタは“
でんこうせっか”で蔓を何とか回避し続けている。

そこへ鳴り響いたパチリという音。 音の直後、フッシーの蔓は激しく動き回ってなんと、“
でんこうせっか”で逃れるラッタの身体を捕らえた。

締めつけられるラッタ、なんとか“
ひっさつまえば”で蔓を噛み切ろうとするが前歯を蔓に移した瞬間、その締めつけはより強力になった。

ゴキッ。 ラッタの身体の中で鈍い音が聞こえると、ラッタはガクリと力を失った。

フッシーはピクリとも動かなくなったラッタを勢いをつけて主人の元に投げ返すと、その主人のロケット団員はラッタの身体が頭部に直撃し

その場に倒れて、気絶してしまった・・・・・・









何れも、たった一度だけ鳴らされたレッドの指を弾く音で行われた残虐。

戦意を喪失させるには十分すぎる残虐。 ロケット団員達も流石にこの悪夢の光景には目を覆いたい思いだ。



元々の統べる者としての戦闘スタイルである、戦場の心理操作が行われるとこういう結果になる。

統べる力は単独に対して本来揮うものではない。多くの存在を操作する力であるからだ。










 レッドはフッシーの背から降りと、傍に落ちていたゴルバットを蹴飛ばしてテリトリー内から追い出した。

蹴り飛ばされたゴルバットは力なく地面に叩きつけられたまま動き出すことは無かった。


「おいおい、もう終わりか・・・・・・?」


殆ど疲労していな声が、その場にいたロケット団員達に聞こえる。


「数で押し切ってみろよ・・・・・・もう、全員攻撃でもかまわないぞ」


ニヤリと笑うレッド。 その身体からは禍々しき色をした漆黒のオーラが見える。

優しい感情は完全に崩壊し、今のレッドの心はほぼ100パーセントを冷酷が支配している。

ロケット団員達はその言葉とレッドの放つプレッシャーに圧倒されて身動き一つとることができなかったが

一人の団員がボールからベトベトンを呼び出すと、それに釣られて他の団員も次々に己がポケモンを呼び出した。

そうやって呼び出されていくポケモンの数はいつの間にか3桁を超えていた・・・・・・









 元仲間という感情はいつの間にか消え去って、心に引かれた境界線は彼等を敵とみなした。

“不幸の影”と呼ばれた作戦は完全に彼の心を潰してしまったのも原因の一つであろう。

躊躇と優しさが無い今のレッドの心では、今自分が行っていることがどういう事なのか理解できていなかった。

戦意を喪失させるために敵であるがポケモンをほぼ殺し、多くのトレーナーも取り返しのつかないほどの重傷を負っている。

仮に、この戦いに完全に勝利をしたとしても、今以上の重たい責任と罪の意識に苦しむことになるのだから。

そしていつか怪我が治癒したロケット団員達に何度も襲撃されて、そしてまた戦って、襲われて・・・・・・

永遠に続くであろう憎しみの輪廻に引き込まれたレッドは、抜け出すことも出来ず戦い続けるのだろう。

本能のままに戦うことが許されて、失うものは何も無く、体調不良でも起こさぬ限りは揺らぐことが無い永遠の憎しみの力。

己を捨てて、死を望むようになる力の正体がこの憎しみの力だとしたら、今レッドは本当の覚醒に近づきつつあった。











 レッドの挑発通りにたくさんのポケモン達がレッド目掛けて攻撃を仕掛け始めた。

正面から飛んでくる“
ヘドロばくだん”、“だいもんじ”、“バブルこうせん

両側から迫る“
サイコキネシス”、“ソニックブーム”、“ようかいえき

背後から襲い掛かってくる、ゴルバットの牙、ガラガラの“
ほねこんぼう”、ペルシアンの爪・・・

そして全ロケット団員による一斉攻撃が始まった。

レッドはその事実にニヤリと笑みを浮かべるとその攻撃に反撃を開始する。


「いくぞ!!!」


指を弾く音と共に、同調の範囲を広げて手持ちのポケモンをすべて開放した。

フッシーとゴン次々と白兵戦を求めてくる敵を“
つるのムチ”や“メガトンパンチ”で牽制しながら徹底的に潰していき

ニョロとピカは逆に積極的に白兵戦を仕掛けていって、遠距離からの攻撃者を“
ばくれつパンチ”や“10まんボルト”で潰す。

プテは空からレッドに攻撃を仕掛けてくる敵を“
げんしのちから”や“はかいこうせん”で一掃し

ブイはレッドを守る“
リフレクター”や“ひかりのかべ”で展開してレッドを守りながら時より“ねんりき”で攻撃したりする。








そういう策や動きをとられたからといって、何も出来ないロケット団員ではない。

白兵戦を仕掛けてくるポケモンは、いくらフッシーとゴンが戦闘不能にしようと次から次へと数十匹単位で送り込まれ襲い掛かり

潰しに来るニョロとピカには近づかれる前に無数の箇所から攻撃の雨が降り注ぎ

空を担当するポケモンがプテ一匹であることから、空にはプテ一匹では対処しきれない飛行ポケモンが攻撃を仕掛けてくる。

そうすることにより、ブイはほぼ常に防御壁を展開し続けなければならない。

数の力でレッドのポケモン達を確実に追い詰めていく・・・・・・



レッドの足元から突如出現したイワークがレッドの身体を空高く持ち上げると、振り落とされて地面に転落して全身を強打、

攻撃を逃れたポケモン達からの攻撃、特に背中をガラガラの“
ホネブーメラン”が直撃した時は、流石のレッドも一瞬、意識を失いかけた

空から降ってくる“
エアーカッター”、“スピードスター”、“サイケこうせん”・・・・・・

ブイの防御壁の限界を超えた攻撃はすべてレッドに何らかの被害が及ぶので、レッドの全身は既にボロボロだ。

そして、殆ど止めに等しいオコリザルの“
メガトンキック”を受けた瞬間、レッドの身体は2メートル以上吹き飛ばされた。

呼吸は止まり、嘔吐感を覚える。意識は飛び、地面に倒れた。

そして、その瞬間を狙っていたとでも言うように空から攻撃の雨がレッドに集中して降り注いだ。

どんどん遠のいていく意識、既に痛みの限界を突破して何も感じなくなってきた身体

握り締めていた拳が徐々に開かれていく・・・・・・

ぼやけてきた視界が赤に染まり、頭部付近に怪我を負って出血したことが分かる。








だが、それでもレッドは手持ち達になんとか救われて立ち上がると戦闘を続行する。

これでもかと襲い来る敵を徹底的に叩き潰し、なぎ払う。

するといつしか攻撃を仕掛けていたポケモンの数は減り始め、トレーナーたちも倒れ始めた。

倒れた理由は疲労の限界とポケモンの技を受けたのが理由であろう。

それと同時にいつの間にか太陽は傾き始めて夕日に変わり始めていた。

夕日の赤い色がこの廃墟街をその色に染めていく・・・・・・








「フッシー!!!」

レッドの絶叫と同時に、レッドに襲い掛かってきたスリーパーとそのトレーナーは

フッシーの“
つるのムチ”を叩き込まれて戦闘不能にされると、トレーナーもその場に蹲ってバタリと倒れた。

レッドは未だに乱れている息を整えながら周囲に目を配る。

そこには余りにも衝撃的な光景が待っていた。

血を流して倒れているロケット団員、気絶しているポケモン、既に息絶えているもの。

静まり返る廃墟街、その中に倒れている1000を軽く超えるポケモンとロケット団員

そして、そんな中を一人だけ立っている全身ボロボロのレッドと、同じような状態のレッドのポケモンたち・・・・・・

やり遂げた爽快感よりも、虚しさが心に残るだけの戦い。

そんな虚しさを感じながらレッドは夕日をただ見つめていた・・・・・・

レッドは夕日を見つめながら上着のポケットに手を入れると、そこから何かを取り出した。

取り出した何かを手で握り締めて夕日を見つめ続けるレッド。



そこに、木枯らしが吹いた・・・・・・



レッドは夕日の見つめていくうちに、夕日から四つの影が迫ってくる事に気がついた。

四つの影はゆっくりとこちらに歩いてくるのが分かる。

そして、その正体もレッドには分かった。

レッドは手に握っていた何かを再び上着のポケットの中に戻すと、ぐったりしている自分の手持ちたちに声を掛けた


「・・・準備体操は終わりだ・・・・・・みんな、ケリをつけるぞ・・・・・・」


既にレッドの声に力は無く、限界を迎えていることが分かる。

また、レッドの声に何とか頷いた手持ちたちも限界を迎えていることが分かる。

おそらく技の残りポイントなど殆ど無く、体力も無いに等しい。 事実上の戦闘不能である。

この戦いに勝利しても、この戦いは終ることは無いだろう。

戦いの先に待っているのは絶望でしかない。この境遇はあの時の、サカキとの決戦と同じだった。

迫り来る四つの影、たとえ勝利して生きたとしても、何れは戦いに身を投じなければならない。

逆に、逃げたとしても“不幸の影”は永遠にレッドを追いかけ回し、衰弱して死を待つだけである。

そして敗北して死ぬか・・・・・・

進むべき道に光明など無い。しかし、進まなければならない。いや、正確には進むことしか出来ない。

四つの影はどんどん迫ってくる。レッドは強気な表情を浮かべてその影の正体が目視できるまで待った。



そして・・・・・・





「ボンスワール、トレートルのレッド。まさか、全団員を倒すとはねぇ・・・本当に恐ろしい・・・」





「元主人といえど、この数を相手にするのは大変でしたでしょう。今すぐあの世でお休みになられたらどうでしょうか?」





「フフフ、昨年はありがとうね。 おかげで鼻の骨が折れたわ・・・雪も綺麗だったわ・・・今日は、雪が降っていないから


あなたの血の雨を降らせましょうね・・・・フフフ、今日はとっておきの一本があるのよ」





「ひさしぶりだな、刑務所戦ではお前に会いたかったがな・・・フン、まあ今日は蜂の巣にしてやるから覚えておけ。」




レッドの目の前に集結した四聖獣達、しかしそれでもレッドは強気な表情を崩さない。


「ご招待ありがとな・・・おかげでまとめてお前達を潰せるよ。・・・敵としてな」


「予想はしていましたが、これなら容赦無くあなたを潰せます。私達の仲間をこんなふうにした罪は重いですよ」


青龍のエッジがそう返すと四聖獣達は戦闘準備を整えた。ムチを撓らせ、ボールを片手に一つ持った。

レッドはそれを見ると、すべて開放していたポケモンたちをボールに戻した。彼なりのフェアプレー精神の表れであろう。





もう誰も止められない、いや、止めることができない。

レッドを取り込む憎しみの輪廻が、彼の心を食い潰していく・・・・・・

救われることも無く、進路に救いも無い。

しかし、この結果を望んだのも、この結果を招いたのも自分自身であるのだから他者を憎むわけにもいかず

ただ、一人苦しみ続ける。そして、光明の無い進路を進み続けるのだ・・・・・・

深い絶望の中で、戦いの火蓋は切られる。

レッドがマサラを後にしてから既に1年以上、あの戦いからは2年。




本当の決戦が始まった・・・・・・







Phase.4へ・・・