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 あの日と同じように、一通の手紙が届いた・・・・・・。







PAS(yellow side) Phase.11 届いた手紙 −手紙が運びし真実−







時は流れて・・・真夏。

夏の開放的且つ陽気な雰囲気は、テンションの高い人間が異様にはしゃぐ最高の時期であり

テンションの低い人間にとっては、この時期ほど苦しい時期はないだろう。



今日はそんなマサラに珍しい客人が尋ねてきている。 

通称ジョウト組、ゴールドとクリスタル、そしてシルバーだ。

別にシルバーは珍しいと言うわけではないが、特に珍しいのがゴールド。

ゴールドはジョウトを旅して回る一端の旅人として今は生きているので

なかなか連絡も取れないし、会うこともできない。

こういう時、ゴールドを見つけ出したり、連絡をとってくれたのが


クリスタルことクリスではなく、レッドだったりするのだが・・・・・・


それでも今回は辛うじてクリスがポケギアで連絡をとったので何とかなった。



さて、何故ジョウト組はマサラへ行くことになったのだろうか?

それは数日前にさかのぼる・・・・・・









少し暑かった日々が、かなり暑い日々に変わる頃。

その日、グリーンの家にはブルーがおり、ブルーはオーキド博士と一緒になにやら研究中だ。

大学卒業後も、研究員として大学に通い続ける日々を送っているブルーにとって

オーキド博士との研究は非情に勉強になり、実践的な研究も学べるので非常に有益なのだ。

もちろんそれだけではなく、今や彼氏となったグリーンに会うチャンスであるし

故にブルーにとってグリーンの家に行くということは相当なメリットがあるのだ。



そんなあの日以来、よくある日常を送る日だったのだが

グリーンの家に一通の手紙が配達されてから、それが少し変化を見せた。


「郵便で〜す。」


ギャロップに乗った郵便配達員が、グリーンの家の庭先のポストに封筒を入れた。

その音を聞きつけたグリーンはポストへと向い、その封筒を手に取る。

封筒の裏には差出人の名前がしっかりと書かれている。

グリーンはその名前に薄っすらと笑顔を浮かべると、封筒をもってブルーの居る

オーキド博士の研究室へと向かった。



研究に熱心に取り組む2人に、グリーンは溜め息をつくと

ブルーに声を掛け、封筒を差し出した。


「ホウエンの連中からだ・・・」

「ルビーたちから?!」


驚きと喜びの表情で、ブルーは素っ頓狂な声をあげた。

グリーンから封筒を受け取って、その場で封筒を開封しようかと思ったが


「・・・この宛先は・・・」


封筒の宛先には、グリーン宛でも、ブルー宛でも、無論レッド宛でもなく“先輩たちへ”となっている。


「これは、勝手に開けられないわねぇ」

「・・・そうだな」


2人で微笑み合うと、ブルーは封筒を手に持って博士の元へ行き

一言何か告げると再びグリーンの元へと戻る。


「じゃあ、一緒に一息つきましょうか?」

「・・・ああ。」


今や自分の彼女を、自分以上に独占している祖父に少々、嫉妬心が湧いてきたところだ。

ブルーはグリーンの腕に抱きつくと、赤面したグリーンと一緒に居間へと移動していった・・・





その時、グリーンと話し合って今日のような集まりが開催されたわけだが

ジョウト組の集まりが悪く、日程は数回延期されていた。

その原因は上に書いたようにゴールドの旅にあった。

あの事件の時、レッドに、いや、ブラックに徹底的に潰されたことが今でも

彼の中で“悔しいこと”として刻みこまれている・・・

いつしか、レッドがマサラを去る前から一人で武者修行と旅を続けていたのだ。

ジョウトを中心に旅を続けていた彼は、ポケギアの通信圏外に居ることも多く

連絡をつけるのは一応彼女のクリスでさえ至難の業だったのだ。

それでも何とかクリスが連絡をつけて今日に至る。



問題はゴールドだけかと思ったのだがシルバーが行くのを少々拒んだ。

しかし、ある程度話は聞いていたのでその気持ちはわかる。

そのシルバーも何とか説得して、今日、ジョウト組はやっと勢揃いして

カントーへと向かうことが出来るのだ。

クリスがしっかりしていなかったら、今日の集合は達成されることは無かっただろう。





ちなみに、ブルーはジョウト組に手紙の件は一切話していない。

集まりも悪くなって当然である・・・。










時は流れて、カントーは夕方・・・・・・

そんなこんなで、グリーンの家にはカントー組(無論レッドを除く)と

ジョウト組が久しぶりに揃って顔をあわせた。

それぞれ容姿や身体が成長していて、背丈が高くなっているものが殆どだ。

各々、用意された大きなテーブルの上の菓子と飲み物で久しぶりの談話を楽しむ。

しばらくして、今回の主催者とも言えるブルーが奥のほうから姿を現した。


「バカ一人除いて久しぶりに勢揃いね・・・」


未開封の封筒を持ってブルーは全員に話しかける。

(無論バカ一人とは彼のことだ)


「今日集まってもらったのには、訳があります。」


グリーン以外はブルーの言葉に惹きつけられて、ブルーのほうを向いている。

ブルーはそれを確認すると、手に持っていた封筒を高々と上げた。


「それは、これで〜す!!」


高々と上げられた封筒にグリーン以外の全員が釘付けになった。

ポカーンと封筒を見つめる一同に、ブルーは一種の爽快感を覚えていた。


「手紙・・・ですか・・・・・・??」


イエローの言葉にブルーは頷くと、ここで全てのネタバラシをした。


「あの、ホウエン組から手紙が届いたのよ!! 

まだ私とグリーンも読んでないから一緒に皆で読もうじゃない!」


明るい笑顔で話し出したブルーと、その話に驚きと喜びを表現する一同。

それぞれがホウエン組の思い出話で少しの間ざわついたが

ブルーの一声で静寂になった。


「では、今から手紙を読みたいと思います!」


「姐さん、おねがいしま〜す!!」


盛り上げ上手なゴールドが一声かけると、グリーンも興味を持ち出して

その場に居た全員がブルーを見つめた・・・。



「ゴホン!! でわ・・・読むわよ」



ブルーは手紙を読み始めた・・・・・・





“Dear 先輩方 


暑い日々が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。


あの戦いから、既に3年以上の時間が流れたとは本当に思えません。


強敵たちとの戦いは昨日のことのように覚えています。


しかし、ポケモンたちの成長や自分たちの成長を感じるとき


時が流れたことをとても実感しています・・・。


そんな話よりも、僕たちの近況を報告したほうがいいですよね。


今、ルビー君はバトルも程ほどにしつつ、ポケモンコーディネーターとしての


道を自分で切り開いて頑張っています。


サファイアちゃんは、身なりを気をつけるようにしながら


バトルやフィールドワークを楽しんでいるようです。


そして僕は今、ホウエン地方のジムに挑戦しています。


当面の目標は全てのバッチを集めることになりそうです。


いつか、もっともっと腕を上げて先輩方とバトルが出来る日を


心から楽しみにしています。





こうやって連絡できる機会がなかなかありませんが


時間を見つけて連絡をしていきたいと思います。


でわ、また、連絡させていただきます。


                            from ミツル”





ブルーが手紙を読み終えると、封筒の中に一枚の写真が入っていた。

そこには、あれからさらに成長した彼等3人の姿が写し出されていた。

丁度、写真を撮っているのにも関わらず、ルビーとサファイアはケンカしているようで

ミツルが困った顔をして仲裁をしようとしている場面だった。


「手紙はこれでお終いみたいね。」


ブルーはそういうと写真をテーブルの上においた。

置かれた瞬間、一斉に全員で写真を見た。


「・・・あいつたちらしいな」

「そうね・・・」


椅子に座ったブルーはグリーンの隣で微笑んでいた。















その写真を見ながら、ホウエン組の思い出話は夜まで続いた。

全員、話しつかれたようで一息ついていると

ふとシルバーがテーブルに置かれていた手紙の入っていた封筒を持った。

もうこれは必要ないのかと考えて、封筒を捨てようかと思った。が


「ねえさん、まだ、封筒の中に何か入っているよ・・・」


シルバーの言葉に皆が反応した。


「え・・・?」


ブルーはシルバーから封筒を受け取り、中を良く見てみる。

すると確かに、もう一通手紙が入っている。


「まだ、続きがあったみたい」


ブルーは再び立ち上がって手紙を読もうと、手紙の内容に目を通した。




「・・・・・・え?」




ブルーは驚きの声を上げずにいられなかった。








静寂が部屋を包み、皆がブルーを心配する。

ブルーは何度も手紙を目で読み直して、理解するたびに疑問が生まれた。


「ブルーさん、何が書いてあるんですか?」


クリスが静寂を割ってブルーに話しかけると、一瞬ブルーはイエローに視線を移し

その後にクリスのほうを向いた。


「いや、別に、大した、た、大したことは本当に書いてないのよ・・・」


ブルーの動揺に、一同は落ち着けない。


「・・・じゃあ、あの、読んでください。」


クリスが再び話しかけると、ブルーはさらに動揺した。

瞳でグリーンに助けを求めると、グリーンは椅子から立ち上がってブルーの隣に立った。

そして、手紙に目をやって内容を確認する。



(・・・・・!!!)



グリーンは思わず声を出して驚きそうになったが、何とか耐えた。

だが表情は確実に驚いているが、ただ、その驚きの種類は

ブルーのような驚きではなく、別の驚きのようだ。



ブルーは驚きながらも、そのグリーンの変化を見逃さなかった。

明らかに違和感を感じる驚き方に、先日発見したアレのことを

問い詰めるのには良いチャンスなのかと思い

思い切ってグリーンに問いかけた。



「・・・ねぇグリーン。やっぱり、アナタこのこと何か知ってるわよね??」



「・・・・・・いや」



手紙とブルーから目を逸らしてグリーンは、ブルーの質問を否定する。

だが、明らかに回答するのに所要した時間は不自然極まりない。


「そういえば・・・アナタのタンスの中の奥のほうに

誰かさんのポケギアが入っていたけど・・・どういうことなのかしら?」


話が見えないイエローとジョウト組。ブルーとグリーンが2人での会話に夢中になっている間に

ゴールドはその手紙をブルーの手から拝借すると、それを4人で読んだ・・・





“PS. ルビー君に聞いたのですが、こっちで


レッドさんの目撃情報がたくさん寄せられているんですよ。


いろいろな人を助けて回ったり、ポケモンバトルをしたりと


こっちでは結構有名人になってますよ。


そのレッドさんが、ホウエン中を巡って人目を避けながら何かを探っているみたいで


それは、たくさんのジムリーダーの方が証言しているので間違いないようです。


そしてどのリーダーも、レッドさんのことをとっても心配していましたよ。



レッドさんはずっとカントーのほうに居ると思ったのですが


何かそちらのほうで問題とかがあったのでしょうか?


凄く気になります。 なにかお困りでしたら直ぐに僕たちは力を貸しますので


連絡してください。 お願いします。”





いつの間にかその手紙を読まれていることに気がついて

ブルーの顔面は蒼白状態だ。特にイエローの様子が気になって

イエローのほうに視線を移したが、彼女は至って普通で何ともなさそうだったのでとりあえず安心した。



「レッドさん・・・どうしたんでしょうね・・・ホウエン地方で・・・・・・?」



イエローは感情のこもっていないような声でその言葉を放った。

レッドがマサラタウンを去った理由を薄々気がついている者と

明確にその理由を知っている者は口を結んで黙ってしまった。

話の流れから言って、どうやらそのことを一番知っているのはグリーンのようだ。

イエローはグリーンのほうを真直ぐ見つめた。



「これはどういうことなんですか・・・?」



グリーンはその言葉に何一つ言い返すことはない。



「どうして他に好きな人が出来たって言った人が、人目を避けながら何かを探るんですか?」



部屋にはイエローの疑問の声だけが響く。



「なんで、向こうのジムリーダーの人に心配されなきゃいけないんですか?」



「・・・・・・きっと、女に捨てられて、その失恋のショック状態でその女を探し回っているのだろう。」



それっぽい回答を何とかグリーンは話した。

だが



「じゃあ、さっきブルーさんが言っていたポケギアは、誰のポケギアですか?!」



少し興奮したイエローが話した疑問に、グリーンは回答できなかった。




「・・・レッドのよ。」




変わりにブルーが疑問に回答する。

その答えに、一同の視線がグリーンに集中した。





「レッドのこと・・・教えてくれるわよね、グリーン?」





ブルーの言葉にグリーンは黙ることしか出来なかった。


親友との約束を守り通したいが、この状況では守り通すことは不可能だろう。


グリーンはレッドに申し訳ないと思いつつ


覚悟を決めて、自分の知る全てをを語りだすのであった・・・・・・










Phase.12へ・・・