動き出した黒き力・・・鼓動は覚醒する・・・
今、深夜3時ほどだろうか・・・、人の気配など感じることのない時間帯だ。
しかし、ここアサギシティではなぜかわからないが多くの人間のうごめく気配が街を包んでいる。
その中にいくつか強烈な存在感を放つ人間がいる・・・。
6人・・・・・・。 さらに強烈なプレッシャーを放つ人間が1人・・・。
そして、始まった・・・・・・。
PAS 第8話 悪夢の始まり、立ち上がるトレーナーたち
「ねえさん!! 大、・・・大変だ!! ア、ア、アサギシティが!!」
現時刻、午前7時。 ブルーはまだベッドで寝ていたが何度も鳴り響くポケギアの着信音に起こされた。
着信音からシルバーがかけている事はわかっていた。
ただでさえも朝に弱いタイプの彼女は少しキレ気味だったが、義弟の慌てた声を聞いてすぐにことの重大さを察した。
(シルバーが慌ててる?? どういうこと??)
冷静さが売りのシルバーが慌てているのだ。 長年の付き合いだがそうめったにあることではない。
「と、とりあえず落ち着いて!? アンタが慌てたらどうしようもないじゃない!」
とりあえずブルーはシルバーを落ちつかせると、詳細を聞く。
「アサギシティは、ロケット団に・・・・・・。」
「ロケット団に?? どうしたの!?」
「・・・・・・占拠された・・・・・・。」
ブルーは即座にテレビの電源を入れるすると映し出される映像は占拠されたアサギシティの様子であった。
とりあえずブルーはほかのテレビ局にチャンネルを回す。 しかし何処のテレビ局も同じ内容を報道している。
「だだいま入った情報です!! 街を占拠しているロケット団員数、3000人!!
いずれもかなりの腕前と、凶暴なポケモンをつれたトレーナーです!! 皆さん注意してください!!」
「・・・この問題に、ポケモン協会、警察は多数のトレーナーを投入を決定。 アサギシティ周辺は
非常に危険地帯となります。 皆さん闇雲に近づかないでください。」
「・・・専門家の先生によると、今回の事件は・・・・・・。」
テレビに映し出される光景はまさに狂気の光景。
ケガ人が救急車に乗って運ばれる姿、
すでに息絶えて倒れている多くのポケモン、
壊れていく建築物。
ブルーはあまりの惨状に絶句し、ポケギアを落としそのままテレビに釘付けになった。
そこへ、血相を変えたグリーンがそのまま玄関から何も言わずにそのまま上がりこみブルーの元へ向かう。
グリーンはどうやら走ってきたようでかなり息を切らしていた。
とりあえずグリーンは呼吸を整える。 そして、ブルーの手を取るとそのまま彼女の顔を見つめる。
「これがアイツのやりたいこと・・・・・・?」
いつもの彼女から想像もつかないような生気がこもっていない声でグリーンに問う。
そんなブルーを見たグリーンはそのまま彼女を力いっぱい抱きしめた。
「・・・・・・答えは此処には無い。 アイツの本心を問うチャンスだ・・・。」
ブルーを抱きしめながら耳元で話続ける。
「・・・・・・行こう、ブルー。 泣いてたって何も始まらない・・・。」
ブルーの瞳からこぼれる大粒の涙をグリーンは指で拭うと、ブルーの瞳に光が灯る。
「そうよね・・・あのバカを何とかしないとね・・・。」
いつもの彼女の調子に戻ったようなのでとりあえず安心すると、彼女の足元に落ちているポケギアを拾い上げて
ポケギアの向こうにいるシルバーに呼びかける。
「・・・・・・くれぐれも言っておくが、先走る行動は避けろよ・・・。 お前の技量ではたかが知れているからな。」
一部始終を聞いていたシルバーは唐突に声をかけられて、驚いた。
「・・・・・それから、お前の「ねえさん」とやらは俺が責任を持って守るから心配するな・・・。
お前からもな・・・・・・。」
(コイツ、この騒動が終わったら消す!!)
握りこぶしを作ってそう心に誓うシルバーであった。
ブルーはグリーンとポケギアを受け取るとシルバーに話しかける。
「とにかく、グリーンが言っていることは私からのお願いでもあるの・・・。 ホントに無茶しないでよ・・・。」
「ねえさん・・・。」
このときシルバーは、ブルーの哀願の声を聞きながらも
(ねえさん、「お願い」ってどこまで・・・・・・。)
と、思っていた。
場所は移りイエローの家。
彼女は朝食をとりながらテレビの光景を見ていた。 今までの彼女なら泣き崩れるとか、現実逃避とか
それなりの適応規制を取っただろう。
しかし・・・・・・。
「レッドさん・・・・・・アナタを信じていますから・・・。 何があっても・・・・・・。」
そう呟くと、イエローは朝食を食べ終わり食器を片付けて家の外に出る。
そしてボールからドードリオのドドすけを出すと、ドドすけに乗ってまずはトキワの森へ向かう。
彼女が向かう場所、そこはいつも祈りをささげる森一番の大木。
トキワの森の木々の間をドドすけは駆け抜ける。
そして、大木の前につくとイエローはいつものように大木の前に跪き祈りをささげる・・・。
(絶対に信じます、レッドさん・・・・・・。)
祈りが終わると彼女は立ち上がり大きな声で叫ぶ。
「お願いトキワの森!! 私に力を貸して!! ・・・私に愛する人を守る力を!!!」
彼女の眼から一滴の涙が頬をつたい流れ落ちる。
イエローの声はトキワの森中に響き渡る・・・・・・。
そこに、風が吹いて森の木々を揺さぶる。 ・・・まるでイエローの声に応えたようだ。
イエローは涙を手で拭うとドドすけの背に乗り、ポケギアでブルーに連絡を取る。
ブルーがその着信に応じると、イエローは一言ブルーに告げた。
「ブルーさん、 ・・・レッドさんを助けに行きましょう。」
ブルーはイエローの声から伝わってくる雰囲気の違いにかなり驚いていた。
「アンタ、平気なの・・・・・・?」
ブルーは聞いた瞬間に後悔した。
(せっかくイエローがやる気なってるのに何でぶり返すような質問しちゃったんだろう・・・)
しかし、ブルーの予想を反してイエローからの返答は
「はい・・・・・・。 でも平気っていったら嘘になります。 ・・・でもそれ以上にレッドさんを
信じているんです。 レッドさんはきっと何かあってこういうことになっているんです・・・。
それを私は信じていますから・・・・・・。」
イエローのそのあまりにも固い決意を聞いたブルーは腹をくくった。
「・・・アンタが一番つらいはずなのに、私が迷ったってホントしょうがないわ・・・。
・・・・・・やってやろうじゃない、アイツなんて私たちだけで止めてやるわ・・・。」
ブルーは笑みを浮かべるとポケギアを切った。
「グリーン、イエローが来たら出陣よ。」
グリーンは、完全にいつもの調子をブルーが取り戻したのを確認するとフッと笑い玄関へ向かい歩き始める。
「・・・・・・イエローが来たらそのままヤマブキでリニアに乗る、準備を済ましておくんだな・・・。
「わかったわ・・・。」
カントーのトレーナーが動き出した・・・・・・。
「クリス!! オレたちもアサギへ行こうぜ!!」
ゴールドはクリスにポケギアで話しかける。
「・・・・・・私、わからない。」
クリスは暗く沈んだ声で呟く。
「カントーの先輩たちもシルバーやるっていってるんだ、 オレたちも・・・な?」
「・・・・・・。」
クリスからの返事は返ってこなかった。 ポケギアの向こうではすすり泣く声が聞こえる。
「いっぱい、ケガして・・・・るひとだっているんだよ・・・。 怖いよ、もう・・・レッドさ・・・んじゃ
ないんだよ・・・・・・。」
嗚咽しながら必死にゴールドに訴えかけるクリス。
ゴールドはポケギア間というクリスとの距離にもどかしさを覚えた。
(オレがもっと傍に居れれば・・・。)
ゴールドのポケギアを握る手に力がこもる。
そこへ、クリスのポケギアにキャッチが入る。 ・・・どうやらイエローからのようだ。
「ゴールド、ちょっと待ってて。 今、イエローさんからキャッチ入ったから・・・。」
「ちょ、待っt・・・。」
クリスはゴールドとの会話を中断し、イエローとの会話に移る。
「もしもし、クリスさん?」
イエローの声を聞くと、とたんにクリスは泣き出した。
「イ、イエ、イエローさ・・・ん・・・・。 レ、レド・・・レッドさんが・・・・・・。
い、っぱい・・・人や・・・ポ・・・ケモン、 たち・・・を・・・・・・。」
クリスの話す言葉は、嗚咽と感情の高ぶりで途切れ途切れだ。
しかし、イエローはそんなクリスを包むような、とても優しい口調でクリスを宥めた。
「いいんですよ、それが普通だと思いますから・・・・・・。 でも、私はレッドさんを助けたいから行きます。
私は、レッドさんを今でも愛していますし、信じている・・・から。」
イエローはまだ続ける。
「だから、クリスさんにも信じてほしいです。 でも、その表現方法は戦うだけじゃないはずです・・・。
少なくとも、私は戦いません。 レッドさんを助けに行くんです。 ・・・限りなく戦いに近い助けですけど・・・。」
「・・・イエローさんは、怖いと思わないんですか? レッドさんはいっぱい人やポケモンを傷つけているんですよ!?」
クリスは感情が高ぶってしまい、つい大きな声でイエローに問う。
「・・・それでも、信じているんです!! 信じないと何も始まらないから!!
何より、愛していますからレッドさんのことを・・・」
イエローもつられて感情が高ぶってしまい、怒鳴ってしまう。
ポケギアの向こうでその怒鳴り声を聞いたクリスは非常に驚いた。
そしてまた、クリスもイエローの決意に心を打たれた。
(つらいのは私よりも、誰よりもイエローさん・・・、それなのに・・・)
クリスは改めてイエローとい人間の強さを知った。 そしてイエローの言葉を思い起こす。
(信じないと何も始まらない・・・・・・。)
クリスは泣くのをやめた、いや正確には涙が止まったのだ。
「ありがとうございます、イエローさん・・・。 私も信じます・・・。 レッドさんを信じてみます!!」
2ヶ月間、揺れに揺れていたクリスの心は固まった。 クリスはもう一度イエローにお礼を言うと
ゴールドとの会話に戻った。
「ごめん、ゴールド。」
あれだけ泣いていた彼女が泣き止んで、なおかついつもの口調で話しかけてきたので、ゴールドはびっくりした。
そこへ、もう一度アサギの件を聞いてみる、すると彼女の返事はたった一言だった。
「シルバーがもう動いているなら私たちも行かなきゃ!」
ゴールドはその返事を聞くと、現地で集合することを彼女に告げてポケギアを切る。
ポケギアをしまうとゴールドはバクフーンのばくたろうをボールからだし、ゴーグルを着用する。
そしてバクたろうにまたがるとアサギヘ向けて走り出した。 しかし、ゴールドの胸中は
(レッド、いやブラックは絶対にオレがこの手で・・・・・・)
ゴールドをのせたバクたろうは駆け抜けていった・・・。
一方、シルバーはブルーやグリーンとの約束を破り、単身アサギを偵察していた。
(どうやら、あそこが本部らしいな・・・。)
シルバーが指すあそことは、アサギシティにあるポケモン協会最大規模のバトルタワーであった。
バトルタワー周辺は異様な雰囲気を醸し出している・・・。 なにか禍々しき力を感じた。
とりあえずシルバーはある程度、街の偵察を済ますと一度街をでた。
ジョウトのトレーナーたちも動き出した・・・。
「君たちはマグマ団とアクア団の事件を解決するほどの腕だ・・・。 そこで僕自身からのお願いがある。」
誰か、若い青年が3人の男女に話しかける。
「今、ジョウト地方で大規模な事件が発生している。 その事件の解決に力を貸してほしい。 この事件は間違いなく
ジョウト、カントーだけの問題では終わらずに、ここホウエンにも影響が出る。 そこで未然に被害を防ぐために
僕と一緒に戦ってほしい。」
すると、3人の男女のうちの一人が口を開いた。
白い帽子をかぶった紅い瞳をした男子だ。
「ダイゴさんの頼みなら・・・。 やってみます。」
その返事を聞くともう2人の男女もそれに賛同する。
「ルビーが行くなら、私もいくったいよ!!」
「ぼくも・・・・・・。」
ダイゴと呼ばれた青年はその返事を受けて一度頷くと
「では、ジョウトのアサギにはデボンコーポレーションのバックアップで、飛行機がチャーターされている。
早速向かってほしい。」
「ダイゴさんはどうするとね?」
九州訛り全開の、蒼い瞳をした女子がダイゴに問う。
「僕は、これからいろいろなコネを使って協力者を募ってくる。 だから先に向かっていてほしい。」
ダイゴはそう言い残すと3人の前から去った。
「いってみるしかないみたいだね・・・。」
「虎穴に入らずんば虎子を得ずってことたい。」
「そうだよね、じゃいこうよルビーくんサファイアちゃん!」
3人は飛行機へ向けて走りだした。 これから始まる大きな戦いを知らずに・・・・・・。
そしてホウエンのトレーナーも動き出した・・・。
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