レッド、謎の失踪から1ヶ月・・・、物語は動き出した・・・
あの一軒以来、心の整理をするためにイエローは自宅へと戻った。
イエロー曰く、「今は、苦しくなっちゃいますから・・・。」 とのことだ。
その後の情報収集もむなしく有効な情報は何一つ手に入らなかった・・・・・・。
しかし、物語は一通の手紙から動き始める・・・・・・。
PAS 第5話 手紙
世間ではレッド失踪よりも大きなニュースが流れている。 しかも全国区だ。
「はい、中継のマリです。 みなさんごらんください!! これはホウエン地方の武人ことセンリさんとこのごろ
巷を沸かせている謎の男とのバトルの後です。 地面は抉れ、岩は砕け、草原は焼け野原と化しています。
皆さんもご存知のとおり今回もジムリーダーは大怪我です。 センリさんは全治三ヶ月で・・・・」
最近巷では、謎の男が出現して各地方のジムリーダーを倒しまくっている。
街の郊外で勝負を挑まれ、完膚なきまで叩き潰し、身体にもダメージを与える。
しかも、この3週間連続である・・・。
今は、どの街のジムリーダーも病院で療養中である・・・。
ここはグリーンの家、今、グリーンとブルーが2人でTVを見ながら話をしている・・・・・・・。
「ひどい人がでてきたわね、このジムリーダーボロ負けっていうよりも、一匹も戦闘不能にできなかったんでしょ。
しかも、大怪我を負って入院中だってね・・・。」
「・・・・・・明確には、完敗だそうだ。 なんでも、戦略が通用しないとのことだ・・・。
冷酷に相手を打ちのめし再起不能にする・・・今までの全ジムリーダーと同じだ・・・。」
2人はコーヒーをすすりながら、テーブルの資料に目を通しはじめる。
「この謎の男と、アイツがやり合ったら、どっちが強いかしらねぇ〜。」
「・・・・・・さぁな。」
ブルーが見ている資料には写真が貼ってある。 黒髪で赤い色の瞳・・・レッドの写真である。
「シルバーもお手上げかぁ・・・・・・。 アイツ本当に何やってんのかしら・・・。 かわいい彼女を
一人ぼっちにして・・・。 私たちがいちゃつけないじゃない。」
そういうと、ブルーは「ねっ?」とグリーンのほうを見る。
「・・・・・・そんなことはどうでもいいが、・・・アイツが連絡をよこさないことはよく分かっているが、
イエローに一報でも入れるはずだ。 ・・・2年前は週一回は連絡があったからな。」
グリーンはコーヒーを飲みながら資料を手に取る。
その資料には「調査報告書」と書かれており、パラパラめくっていくが、どの項目も不明となっている。
「イエローのためにも、私たちのためにも、早く連絡よこしなさいよ・・・・・・。」
「・・・・・・だな。」
2人はまたコーヒーを飲み始めた・・・。
場所は移り、今度はイエローの家である。 今は、仕事をしながらゆっくりと心の静養中である。
あまりに唐突過ぎる幸せの欠落は、イエローの心を深く傷つけた。
今日は仕事がオフの日である。 こういう日は1日のんびり過ごす、大好きなトキワの森でスケッチをしたり
昼寝をしたり、ポケモンと戯れたりする。 それが今のイエローの日常である。
レッド失踪直後は、間違えて2人分の朝食を作ったり、レッド用のお弁当を作ったりと現実逃避する姿があったが
今はだいぶ落ち着き、以前の元気を取り戻しつつあった。 そんな彼女を支える力は、
いつも心配してくれる仲間、ポケモン、伯父、友人と数多くあったが何よりも大きかったのは
(レッドさんは必ず帰ってきてくれる・・・)
というイエローの願いであった。
イエローはこの日寝ていた。 日々の疲れと心を休めるために。
イエローは夢を見ていた・・・・・・
それは、走る夢・・・・・・
必死に誰かを追いかけている・・・・・・
見覚えのある背中だ・・・・・・
あと少しでその背に手が届こうとしている・・・・・・
手が触れそうになった瞬間・・・・・・
「ゴメンな、イエロー。」・・・・・・
それは、とても悲しい声であった・・・・・・
すると、イエローが追いかけていた男は闇のかなたへ姿を消した・・・・・・
イエローはそれを追いかける・・・・・・
必死に腕を伸ばす・・・・・・
そして叫ぶのだ・・・・・・
「待って!! レッドさぁーーーーーーん!!!」
今、目の前に映る光景、そこは自分の寝室で、目の前には壁があった。
そう、これは夢ではなく現実。
イエローは自分の頬に流れる雫を手で拭うと、ぐったりとまたベッドに倒れこんだ。
(最近、こんな夢ばっかりだな・・・・・・)
しばらく、横になっていると自然と涙が溢れてくる・・・・・・。
その雫をまた手で拭う。 しかし拭う手が止まらない。 次から次にイエローの目からは涙が流れた。
「レッドさん、レッドさ・・・ん、レッ・・・・・・ド・・・さん。」
(「泣きたいときは、目一杯泣きなさい。 声を上げてもいいから・・・。 少しはすっきりするはずよ。」)
ふと、イエローの脳裏にブルーの声が響いた。
(一杯、泣こう・・・。すっきりするかもしれないし・・・・・・)
イエローは、目一杯泣いた。 とにかく泣き続けた・・・自分の気が済むまで・・・。
(レッドさん、どうして・・・・・・)
いつしか、イエローは泣きつかれてまた眠りについた。
場所は戻りグリーンの家である。 ブルーとグリーンは雑談しながら、資料を見ている。
しばらくすると、ポニータに乗った郵便屋がグリーンの家の玄関に立った。
「グリーンさん、郵便で〜す。」
郵便屋はポストに手紙を入れながら去っていった。 グリーンはその声を聞きポストへ向かう。
「・・・・・・誰からだ・・・?」
とりあえず、ブルーのいる居間に戻り手紙を調べる。
「・・・・・・差出人は・・・無いか・・・。」
グリーンは手紙を光に透かしてみる。 中身は紙のようだ。
封筒を開けると、中から一通の手紙が出てきた。
手紙には、直筆でこう書かれていた。
「 挑戦状 トキワジムリーダー グリーン様
カントー、ホウエン、ジョウト全てのジムリーダーを倒しました。
残るはあなた一人です。 街の人々に迷惑をかけるわけには行かないので
場所は、シロガネ山のふもとの平原でやりましょう。 ポケモンセンターも近くに
ありますので、万が一があっても大丈夫です。 日にちはこの手紙が届いてから
3日後の正午。 バッチをお忘れなく。 ではよろしくおねがいします。 」
「何が書いてあるの?」
ブルーがグリーンに聞く。
「・・・挑戦状だ・・・。」
「挑戦状!? 今はそんな時じゃないでしょ・・・。 まったく・・・、で、相手は誰なの?」
「・・・無記名だ・・・。」
ブルーは呆れ顔を見せると、大きくため息を吐いた。
「じゃ、ほっときなさい。 こっちは忙しいのよ。」
ブルーは資料を手に持ってグリーンに見せた。
「・・・だが、全てのジムリーダーを倒したとあるが・・・。」
「今流行の、謎の男マニアがいたずらで送ったのよ・・・。 グリーンがまだ戦ってないから。」
そういうと、ブルーはその手紙を取り上げてその文面を見る。
「まったく、暇人ね。 こういういたずらが一番困るのよね。」
ブルーは手紙を丸めて捨てようとした・・・。 しかしもう一度その文面を見る。
「あれ・・・?」
「・・・どうした。」
ブルーはその手紙をよーく見た。 グリーンはその行動を不思議に思った。
「ちょっと、イエローの家に行くわよ。 グリーンいっしょにきて。」
グリーンは困惑しながらもブルーに手を引かれ玄関へ向かう。
その間にブルーはポケギアでイエローに連絡を取る。
「・・・はい、イエローです・・・・。」
沈んだ声で返事をするイエロー。
「イエロー、また泣いてたの・・・。 まぁいいわ。 イエローお願いがあるの聞いてくれる?」
ブルーの顔と声はいつになく真剣だ。
「何ですか?」
イエローが問い返すと、ブルーは
「いい、イエロー。 レッドからの手紙ってまだ残ってる?? 2年前に何回か届いたやつ。
保管してるなら見せてほしいんだけど・・・・・・、ダメかな?」
「え・・・・・・、確かにありますけど・・・・・・。」
イエローはかなり戸惑っていた。
「レッドを探す手がかりになるかもしれないのよ。 だからお願い!」
「・・・・・・。 レッドさんを探す手がかりなら、お見せします・・・。」
「今すぐ行くから、準備しておいて!! 早く!!」
ブルーの気迫のこもった声に、沈んでいたイエローは元気付けられて、シャキっとした声で返事をした。
「は、はい。 今すぐ探します!」
ブルーはポケギアを切ると、グリーンの手を引っぱってイエローの家に向かった。
また、場所は移りイエローの家。
イエローはレッドから受け取っていた数十通の手紙を全てテーブルの上にだした。
そして、その手紙に目を通してみる・・・。
どの手紙も、イエローを元気付けたり、励ましたり、心配したりと。
レッドのイエローへのまっすぐな思いを書いたものばかりだ。
一通、一通、読み返していくうちにまた涙がイエローの眼に溢れはじめた。
そこへドアをノックする音が響く。 イエローは涙を拭い玄関へ向かう。
「はい・・・。」
そこには、ブルーとグリーンがいた。
「準備できてる? 確認取らしてもらうわよ・・・。」
ブルーとグリーンは家に上がると、レッドからの手紙と、グリーンへの挑戦状を見比べ始めた。
「どうしたんですかブルーさん・・・?」
「グリーン説明してあげて。 お願い。」
ブルーがあまりにも真剣な声で話すのでグリーンも少し戸惑ったが、頷き、イエローへと説明し始める。
とりあえずグリーンはこれまでの経緯を話すと、話の核心に入ろうとするところでブルーが立ち上がり
何通かのレッドの手紙を手に持ってグリーンとイエローにそれを見せる。
「わかるかしら、このレッドの手紙。 よく見て。 それとこっちも。」
そういうと、ブルーはグリーンに送られてきた挑戦状を2人に見比べるようにテーブルの上におく。
2人は、当初頭上に?マークを浮かべていたが、イエローがあることに気付く。
「この字とこの字・・・、まったく同じ筆跡だ・・・。 ・・・・・・レッドさんの・・・字・・・?」
ほかの手紙と見比べても全ての字が同じ筆跡なのだ。
「これは、もっと専門的な機関に頼めば確信も得れるわ。 素人目だけど、これはレッドの字よ。
そして何より、イエローが言うのだから間違いないでしょう・・・」
「・・・・・・どういうことだ!? なぜレッドはこんな形で連絡する!? なぜレッドは俺に戦いを挑む!?
そして、なぜ全てのジムリーダーを倒してきた!? 分からないことだらけだ・・。」
「私に聞かないでよ!! 私に分かるわけないでしょ!! グリーンの気持ちもわかるけど、
これは事実なのよ!!」
「落ち着いてください!!」
イエローが2人の間に割って入った。
「とにかく、3日後に行くしかないって事ですよね・・・、行けばレッドさんに会えます。 その時に聞けば
いいことだと思います・・・。」
グリーンとブルーは落ち着きを取り戻し、いつもの冷静な2人に戻った。
「・・・・・・とりあえず俺は準備をする。 ブルー、イエロー、連絡を取るなら取るんだ。」
グリーンは2人に背を向けると歩いて外へ向かった。
「ジョウトのメンバーも呼んどきましょう。 それからイエローあんたも準備しなさい。」
「はい。」
イエローが返事をする、するとブルーは真剣な表情でイエローに言った。
「いい、イエロー? 今回の一件あまりにも謎が多すぎるわ・・。 アンタも最低限自分の身を守れる用にしておきなさい。
もし本当にレッドがあの手紙のとおり、全ジムリーダーを倒してきたなら、今有名な謎の男ってやつはレッドのことよ。
謎の男の強さはTVとかで放送されているとおりなの。 今回のグリーンへの手紙からわかるとおり最悪の場合、
・・・レッドと・・・戦うことになるわ・・・・・・。」
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