幸せの時間は唐突に終わる・・・、それは黒き鼓動のハジマリ・・・
パーティの後、イエローはレッドの家でレッドと同棲生活を始めていた・・・・・・。
2人の幸せな同棲生活は長く続いた・・・、しかし、物語は唐突に動き出した。
同棲して1年、事件は1本の電話から始まった・・・・・・。
PAS 第4話 唐突な別れ
一年の月日が流れ、レッドは19回目の誕生日を迎え、レッドはポケモン協会の職員として働いていた。
ジムリーダーにはなれなかったが、ポケモンと仕事をしていけるこの仕事を自分の天職だと思いこの職業に就いた。
職務内容は、ポケモン協会の特派員としてポケモンと人間の共存を促進することである。
こう書くと聞こえはいいが、実際はポケモンと人間との問題解決である。
要するに「暴れポケモンを何とかして〜。」や、「ポケモン達の住処を整備してあげて〜。」と連絡を受けたら
現地に赴き、解決しに行くのだ。 実質、肉体労働である。
しかしながらも、レッドもレッドなりに仕事にやりがいを持って働いていた。
家に帰れば愛する彼女がいて、暖かいご飯が用意してあって、ポケモンたちに囲まれて・・・、レッドは毎日が楽しかった。
そんな日常を送るレッドを支えるのは、愛する彼女ことイエローであった。
イエローは、不定期だが家政婦のバイトを兼ねていわゆる“花嫁修業”をしていた。
家事全般を学びながら、実践の日々。 実践した後に愛する彼に感想を言ってもらって、成果が分かる。
学ぶことが直接結果につながる、つながった結果がまた新しい目標を生む。 そんな充実の日々。
そして何よりも、愛する彼ことレッドの傍に居ることがイエローに多くの幸せを与えた。
(この時間が、永遠に続いたら・・・・・・。)
いつしか2人に芽生えるのはそんな思いだった。
ある日、その思いを打ち砕く事件が起きた。
その日は、レッドもイエローも仕事がオフで2人でのんびりすごしていた。
お揃いのティーカップを使って紅茶を飲みながら・・・。
「・・・で、こんどブルーさんと一緒にそのお店に行ってみようと思うんです。」
笑顔で、楽しそうに話すイエロー。
「そっか、じゃいっぱい楽しんでこいよ。」
レッドは優しい表情でイエローと話す。
他愛も無い会話が続く・・・・・。
そこへ電話の呼び出し音が流れる。
「あ、オレが出るから。」
レッドは立ち上がると受話器を手にする。
「はい、もしもし。」
そう、受け答えるレッド、 イエローはレッドのカップが空いているのを見てレッドにジェスチャーで
“おかわりいりますか”と送る、それを見るとレッドは頷いた。
紅茶を注ごうとしてレッドのカップを自分の手元に持ってくる。
そのとき、何の気なしにふとレッドの方を見た・・・・・・。
「レッドさん・・・・・・?」
レッドは、今まで見せていた優しい表情を一変させて、真剣な表情で電話の向こうの相手と会話している。
先ほどまであんなに優しい表情をしていた人とは思えない、まさに別人。
イエローはレッドがバトルのときになるとその雰囲気が大きく変わることを知っていたが、
この変化はその比ではない。 不意にイエローを胸騒ぎが襲った。
(え・・・何、この胸騒ぎ・・・・・・。)
イエローは心配そうにレッドを見つめる。 それからしばらくしてレッドは受話器を置いた。
うつむきながら、レッドは目を瞑り、深く深呼吸をした・・・。
「イエロー、本当にゴメンな・・・・・・。」
レッドは一言呟いた、レッドらしくない暗く沈んだ声で。
イエローはそんなレッドが心配になってレッドの傍へ行く。 すると・・・
「しばらく、いいかな・・・・・・。」
レッドはイエローを抱きしめた、力いっぱい、しかし優しく。 彼特有の抱きしめ方だ。
レッドがあまりに暗くなっていたのでイエローは本当に心配になって彼の顔を下から覗き込む。
その表情は本当に暗く、本当にレッドと思えない。
「どうしたんですか・・・?」
「・・・・・・本当、ゴメン・・・。」
レッドはイエローを抱きしめる力を強めた、そしてイエローの唇に口付ける。 そしてそっとその唇を離す。
「レ、レッドさん・・・・・・。」
しかし、離したかと思われた唇をレッドはもう一度イエローの唇に触れさせる。 またそっと離す。
「レ、レッ・・・。」
イエローがレッドに話しかけようとすると唇を唇で塞がれる。
“今は何も聞かないで”レッドの行動に現れるレッドの気持ちを察したイエローは、その身をレッドに委ねた。
レッドはさらにイエローを力強く抱きしめた、そして・・・・・・。
夜が更けようとしている・・・、レッドは隣で眠るイエローの顔を撫でると、一人起き上がりなにやら支度を始める。
支度をあらかたし終わると、ベッドで眠っているイエローの元へ向かう。
「・・・・・・本当に、ゴメン・・・・・・。」
イエローにそっと口付けるとレッドは玄関へと向かった。
涙を流しながら、レッドは家を出る。 外では一人の男が待っていたが、暗くて誰かは分からない。
「覚悟はできているのか・・・・・・?」
声の感じから男であることが分かる。
「で、何処なんだ、オレが行くべき場所は。」
「シロガネ山にまず行ってもらう・・・後は順番どうりだ。」
「わかった・・・・・・。」
レッドは静かに返事をした。
「こいつらを使いこなせるようにしておけ・・・、メンバーで身元が割れると厄介だからな。」
そういうと男性は4つのボールを渡す。
レッドはそのボールを受け取るといつものメンバーをリュックへしまい、あいたボールホルダーに
受け取った4つのボールをはめる。
「それと、コレに着替えろ、身元を隠すためにもな・・・。」
レッドはその場で着替えた。
レッドの衣装は暗闇で隠れてよく分からない。
「いくぞ・・・・・・、時間が無い。」
謎の男は北へ向かって歩き始めた、レッドもそれについていく。
「オレたち2人で倒せるよな・・・。」
「倒すんだ・・・。」
2人は、夜更けの闇にまぎれて居なくなった。
(ゴメンな・・・イエロー・・・・・・。)
2人が居なくなってからしばらくすると朝日が顔をのぞかせる。 そう朝が来る。
イエローは目を覚ました、定刻どうり彼女は起床し、朝食を作るために着替える。
隣に居たはずのレッドが居なくなっていたので、
(トレーニングかな・・・?)
ぐらいにしか思わなかった。 とりあえずイエローは洗面所に向かい洗顔する。
そして、キッチンに向かい朝食を作り始める。
「今日は何にしようかなぁ〜、唐揚げとゆで卵と・・・おにぎり・・・かな。」
イエローは器用にも、朝食を作りながらレッドのお弁当も作る。
卵を茹で、油を温め、おにぎりを握って・・・普段のマイペースなイエローからは想像もつかないほど
手早く料理を仕上げていく・・・。
出来上がった朝食を皿にのせてテーブルに並べる。 並べ終わるとポケモンたちにも同じようにエサを与える。
そう、これは、レッドとイエローにとって“いつものこと”なのだ。
この後、レッドが出勤して、イエローも仕事があれば仕事に行き、無ければ家事を済ませる。
イエローはイスに座り朝食を前にレッドの帰りを待つ。
(そろそろかな・・・・・・。)
時間帯的にレッドの戻ってくる時間だ。
しかし・・・・・・。
10分待っても、30分待ってもレッドは来なかった。
イエローのポケモンたちも腹をすかせはじめイエローのほうを見る。
冷えてしまった朝食見てイエローは、流石に不審に思った。
(おかしいなぁ・・・・・まさか!)
イエローはそのままポケモンたちに先に食べているように言うと表へ出た。
イエローの脳裏をよぎったものそれは、ケガ、事故。
レッドだって人間である。 ケガも事故をするだろう。
いつもよくレッドがトレーニングしているマサラの郊外へ来てみる、しかしそこにレッドの姿は無かった。
(仕事にもう行っちゃったのかな・・・・・・。)
とりあえず家に戻り、自分のポケモンたちにレッドを見ていないか聞いてみる。
しかし、誰もわからなかった。
心配なったイエローは職場に連絡を入れる、だが職場にも来ていないと言われた。
わけが分からず混乱するイエロー、自然とその目には涙が溢れた・・・。
とりあえず、ブルーに連絡を取るイエロー。 ブルーはその話を聞くと驚きを隠せなかった。
「嘘、嘘でしょ!? アイツは確かに一箇所に留まれないヤツだけど・・・あんたを一人ぼっちにはしないわ・・・。」
レッドの失踪はブルーを通じて仲間内に広がった。
「・・・・・・アイツはお前を一人にするほど馬鹿じゃない。・・・なにかあったと読むのが妥当だな。」
「そうですよ! イエローさん!! レッドさんはきっと何か、何かあったんですよ!!」
「大丈夫っすよ!!レッド先輩の強さは折り紙つきっすから、必ず帰ってくるはずっす!!」
「だな・・・・・・。」
仲間の励ましでとりあえず涙を止めることのできたイエロー。しかしまだうつむいたままだ。
「・・・・・・昨日、なにかアイツ何か言ってなかった? 旅に出るとか、出かけるとか・・・・・・?」
ブルーが真剣な面持ちでイエローに問う。
イエローは首を横に振った。
考え込む仲間たち・・・、それ以外に考えられる原因は何かと・・・・・・。
暗い雰囲気が漂い、皆、静まり返った。
イエローはあることに気づいた。 ・・・そう昨日の電話である。
「・・・昨日、電話があったんです・・・、その電話の後レッドさんが急に暗くなって・・・・・・。」
「電話? 何かしら・・・、レッドの家の会話記録昨日取っていたかしら? ちょっとまってて。」
ジョウトの3人組はツッコミを入れたかったが、イエローが真剣に悲しんでいる以上、ツッコめなかった。
「ゴメン、イエローちょうど無いわ。」
「・・・・・・間違えなくその電話の主がレッド失踪と関係しているだろうな・・・、アイツが動いている以上、
おそらく、大事になるだろうな・・・・・・。」
「なんでわかるっすか?」
グリーンは立ち上がるとボールを1つ手に持った。 その表情は静かなる闘志を感じさせた。
「・・・・・・長年のカンだ。 ・・・長い付き合いだからな。」
グリーンはそのまま外に出ようとした。
「何処行くんですか!! グリーンさん!!」
クリスが呼び止めようとすると、ブルーが肩をつかんでクリスを止めた。
「グリーンはグリーンなりにやるから大丈夫よ、それより私たちは今できることをやらないと・・・。」
そうブルーは言うと、イエローのほうを向いた。
「シルバー、私の変わりに情報収集頼んだわ。 それとゴールドは、ゴールドは・・・・・・。」
「オレは、何すか?」
ブルーはゴールドを指差したまま考え込んでしまった。
「・・・と、とにかく・・・何かやってなさい!! クリスと私でイエローは何とかするから。」
(何かってなんすか・・・・・・。)
とりあえずゴールドは表へ出た。
(ま、オレも情報収集でもするか)
しばらく付近を歩いているとシルバーがヤミカラスで移動しようとしていた。
(シルバーについていけば何か分かるかもな・・・)
ゴールドはボールからバクフーンをだすとシルバーを追った・・・。
第5話へ・・・