託された希望・・・。 今・・・!!
希望を背負い5階で対峙するグリーンとブラック。
しかし、葛藤を払うことのできないグリーン。
迷うことなく戦うブラック。
親友への想いか、敵への憎しみか・・・?
グリーンの決断は・・・?
そして託された希望の結末は・・・・・・
PAS 第19話 統制者
「いくぞ・・・。」
漆黒のスーツを身にまとった死神(ブラック)がグリーンの前に立っている。一言呟かれた言葉に、グリーンの知っている“彼”の心を感じることはできない。
ボールから呼び出されたポケモンは、目の前の死神から連想するに地獄の番犬ケルベロスといったところであろうか。
黒い毛に覆われた大型犬ほどの体格を持つポケモン、ヘルガーがグリーンの前で威嚇体制を取っている。
(やるしかないのか・・・? いや、やれるのか・・・?)
再び頭の中を廻る様々な親友への感情。
緻密な計画、残虐なやり方、凶悪すぎる力。 全ては抵抗するものをなぎ払うために・・・。
敏腕トレーナーたちを一掃して、全国規模での支配体制へ・・・。
完璧にこれは自分を見失った“彼”が悪に手を染めた証拠であり、ここは元親友として、このままのさばらせておくわけにはいかないだろう。
しかし、それに対してまったく反対の感情や考えが浮かぶ。
実は、今までの行動はサカキの裏をかくために行ってきた演技では?
今こうやってヘルガーを出してきたのは、誰かに監視されているからでは?
何より、あの正義感が無駄に強くて、馬鹿だが皆に頼られる優しい男がこんな戦いを望むはずが無い。
グリーンは低徊し続ける。
行き着く結論は2つ。
“彼”はブラックであり、倒すべき敵。今や、仲間達を傷つけた敵。 容赦なく倒す。
“彼”はなんらかの理由があって今の状態を意図的に作り出している。 だから、この場で“彼”を束縛する邪悪な鎖を断ち切る。
低徊するグリーンの耳に、パチリという指を弾く音は聞き取れなかった。
音の後、威嚇姿勢を解いたヘルガーはグリーンに飛び掛ってきた。
「・・・!!!」
不意をつかれたグリーンはそのままヘルガーに押し倒されて、のど元に鋭い牙をつき立てられた。
「考え事はあの世でしてくれ・・・。」
全身に悪寒が走るような冷たい声で呟かれた言葉にやはり“彼”の心を感じ取ることはできない。
グリーンの両肩にヘルガーの爪が刺さり血をにじませている・・・。
(ここで終るわけにはいかない・・・!!!)
グリーンはヘルガーの顔に頭突きを食らわせると、ヘルガーは一瞬怯む。 怯んだ瞬間に緩む両肩への力。
その隙に、腰のボールに手をかけてヘルガーに向けてポケモンを呼び出す。
「ハッサム、“きりさく”!!」
ボールから呼び出されたハッサムは、グリーンとヘルガーの間に呼び出された。
呼び出されたと同時に、目の前の敵に斬撃をくらわせようとした。
しかし、直撃寸前でヘルガーは大きく飛び上がり主人の足元まで戻り攻撃を回避した。
流石にグリーンもハッサムも驚きのあまり動きを止めてしまった。
(零距離だぞ?!どれだけの瞬発力を持っているというんだ?!)
「そう来なくちゃな・・・!!」
今度は“彼”の声のような気がしてならない。 その声を聴いた瞬間、グリーンはブルーの言葉を思い出した・・・。
(「グリーン、レッドを止めてきてあげて。・・・」)
“止める”・・・この言葉が引っかかってしょうがない。
倒すのではなく、“止める”のだ。 ブルーはおそらく何らかの確証があってこの言葉を選択したはずである。
「言ったはずだぜ・・・。考え事はあの世でしてくれとな・・・。」
しかし、再び考え込もうとするグリーンに対してブラックはヘルガーに攻撃を命じる。
パチリと指を弾くと、ヘルガーは口から業火を吐き出した。射線上にはグリーンの姿が。
その攻撃を、ハッサムとグリーンは別方向にステップして回避するとグリーンは新たなボールを手に持った。
(2つの結論が出るならば、2つともやるまでだ・・・!!)
グリーンは新たなボールを床に投げるとそのボールからは、サイドンが姿を現した。
「・・・俺は親友としてブラックを倒して、レッドを開放する!!」
一人呟いて、自分に言い聞かせる。
開放する手立ても、勝つ術もあるかどうか解らない。 だが、親友が誤った道を進むといううならそれを止めるのが親友の務めである。
「いくぞ、ブラック!!」
「ダブルバトルか・・・。 受けて立ってやろう・・・。」
ブラックはボールからヤミラミをを呼び出した。 互いのポケモンとトレーナーどうしで睨みあう。
緊迫した空気が張り詰める。 両者、そして両者のポケモンは微動だにしない・・・。
しばらくの時間が流れると、ブラックが瞳を閉じた。
その行動を隙と見たグリーンは、様子見の攻撃を仕掛けてみる。
「ハッサム、“れんぞくぎり”!! サイドン、“つのでつく”!!」
2体同時に、正面の敵を攻撃する。ハッサムはヤミラミを、サイドンはヘルガーが対象だ。
攻撃を仕掛けに来るグリーンのポケモンに対して、ブラックのポケモンは未だに微動だにしない。
その様子に、グリーンもグリーンのポケモンも戸惑いを見せる。
(罠か・・・。しかし、威力の低い技で仕掛けたのだから“カウンター”の恐れは無いだろう・・・。)
しかし、この考えが大きなミスだった・・・。
ブラックは瞳を閉じたまま鼻で笑うと、右腕を肩の高さまで上げる。
「相手にもならないな・・・。」
そして瞳を閉じたまま一言呟き、そのままグリーンに背を向ける。 そして、指をパチリと弾いた。
その音を聞いた直後、ハッサムとサイドンの攻撃は完璧に回避されたと同時に、ヤミラミは“ねこだまし”でハッサムを怯ませた。
怯んだハッサムに、サイドンの攻撃を回避したヘルガーが一気に飛び掛り、零距離で“かえんほうしゃ”を放つ。
タイプ一致、2重の弱点、防御不能・・・。 こうも悪条件が揃ってしまっては、いくらグリーンのハッサムでも戦闘不能にならざるを得ない。
焼き尽くされたハッサムはその場に倒れこみ、プスプスと音を立てている。
グリーンはその強烈なしっぺ返しに驚愕していると、こんどはサイドンに2匹が襲い掛かる。
「サイドン、“じしん”!!」
サイドンは足を高く持ち上げて大地を揺らそうとした。
「オレは別にいいが、4階の人が危ないんじゃないか?」
その言葉を聞いたグリーンは急いでサイドンに攻撃中止を命じる。 サイドンはその命に従って足を元に戻すが、その間に2匹の攻撃範囲に入ってしまった。
射程に入った瞬間、ヤミラミはサイドンに“あやしいひかり”を放った。光を受けたサイドンは光の効果で混乱し暴れだした。
そこへ、ヘルガーの“ほのおのうず”でサイドンを完全に封じると。 2匹はおとなしくブラックの足元に戻ってきた。
「グリーン、最悪この2匹を突破しないとオレには到底及ばないぞ・・・。」
鼻で笑った後になんと、ブラックは机に戻り本を取ると椅子に座り本を読み始めた。
その行動に逆上したグリーンはカイリキーをボールから呼び出すと、速攻で攻撃を命じる。
「カイリキー、“からてチョップ”!!」
カイリキーの4本の腕がバラバラのタイミングで手刀をヤミラミとヘルガーに振り下ろす。
ヘルガーは辛うじて回避するが、ヤミラミには元々ダメージは無い。 グリーンがその事実に気がついたときはもう遅かった。
ヤミラミは手刀の間から、“サイコキネシス”でカイリキーを持ち上げると勢いよく床にたたきつける。 そしてもう一度持ち上げると、
混乱して、なおかつ“ほのおのうず”に囲まれているサイドンに投げつけた。 その衝撃でカイリキーとサイドンはその場で気絶してしてしまった。
たった2匹のポケモン、しかも主人から一切の命令を受けずに自己判断で動いているというのにすでにグリーンは手持ちの半分を戦闘不能にされていた。
とりあえず、グリーンは戦闘不能となった手持ちたちをボールに戻すと、再び考え込む・・・。
(気分の悪いバトルだ・・・。思ったようにポケモンも自分も動けない・・・。まるで、何かに操られているような感覚に襲われる・・・。)
そこから先の思考をしようとすると、ヘルガーとヤミラミが襲い掛かってきた。 それに応戦するためにグリーンはポリゴン2とゴルダックをボールから呼び出す。
予想以上にヘルガーとヤミラミに距離をつめられていたようで、応戦の飛び火から逃れるためにグリーンは一度後退する。
その様子に一切興味を持たず、ただ黙々と本を読み続ける。 ときより、後頭部をかいたりしている。
「ポリゴン2“ロックオン”!! ゴルダックは“ハイドロポンプ”で応戦!!」
グリーンの命令どうり2体のポケモンは動く。 ゴルダックは手から水流を発生させると、ヘルガーとヤミラミを吹き飛ばした。
吹き飛ばされた2匹は、壁の部分に激突した。壁にはひびが入り、衝撃の強さを物語る。
その様子を横目で確認するブラック。 しかし、確認だけすると再び目線を本に向ける。そしてまた時より後頭部をかいたりしている。
(あの余裕・・・。何が言いたい!!)
自分の中に湧いてくる怒りの感情を感じ取ると、あることに気がついた。
(・・・そうか。トレーナーの心理を巧みに操ってこちらの行動を操作しているのか・・・。)
思考時間の妨害、挑発的行動、レッドの姿への戸惑い・・・。
これらの要因を利用して心理的に優位な立場に立つことによってバトル自体をコントロールする。 どうやらこれがブラックの戦い方のようだ。
(・・・アイツと思って戦いを挑むと、どぎついしっぺ返しが待っているってことか・・・。たちの悪いやり方だ・・・。)
グリーンは瞳を閉じて笑みを浮かべると、一瞬で表情を戻しポリゴン2とゴルダックに命令する。
「ポリゴン2、“でんじほう”!! ゴルダック、“ハイドロポンプ”!!」
電気の力を凝縮したエネルギー球は、ヤミラミ、猛烈な水流はヘルガーを捉えた。 ブラックはその様子を再び横目で見る。
ポリゴン2とゴルダックの一撃で、ヘルガーは戦闘不能に、ヤミラミは麻痺状態となり、事実上戦闘不能になったようだ。
それを確認したブラックは2体をボールに戻すと、読んでいた本を置いて椅子からゆっくりと立ち上がった。
「ノルマクリアおめでとう・・・。」
「・・・くだらない戯言はもう聞き飽きた。 お得意のやり方には持ち込ませないぞ・・・。」
グリーンの言葉にクスリと笑うブラック。その表情を隠すように両手で顔を覆う。その瞬間であった。
全身を襲う、嫌な感覚。禍々しき威圧感にグリーンは顔を歪めた。この感覚は何度味わっても違和感を覚える。
仮にもレッドから放たれていると考えると、つくづく人間という生き物は不思議だと思ってしまう。
(・・・もしかしたら、まだ心理的に操られているのかもな・・・。)
ブラックは顔を覆っていた両手を放すと、そこには鋭い目つきでグリーンを睨む瞳があった。
「ご希望どうり、真髄を見せてやるよ・・・。 オレの力をな・・・・・・・。」
ブラックはボールを何処から1つ取り出すと、中からポケモンを一体呼び出した。
グリーンはその見覚えのあるシルエットに驚愕するばかりであった・・・。
「・・・ミュウツーか。」
「オレの力のテストだ。全力でかかってこい。」
ブラックの背後に立つ長い耳に細い腕。紫色の尾に灰色の身体。かつて、ナナシマではレッド達と共闘したポケモンだ。
その実力は折り紙つき。 伝説のポケモンと戦っても引けは取らないだろう。 しかもそれは単独での話だ。
今回は、ブラックというパートナーが存在している。 どれだけの戦闘能力を引き出すかは未知数だ。
(・・・がむしゃらな攻撃はおそらく無駄。どうする・・・!?)
グリーンの思考をさえぎるように、ミュウツーがバリアを展開しながらブラックと共に突っ込んできた。
球状のバリア内にブラックと一緒に移動してくる。 その様子にグリーンは疑問を抱いたが、その疑問はブラックの力と共に解かれた・・・。
「“サイコキネシス”!!!」
ブラックがミュウツーの隣で、右手を出す動作をするとミュウツーもまったく同じ動作を取る。そして、念の力でゴルダックとポリゴン2を持ち上げると
床に力強く叩きつける。 床に身体がめり込むまで何度も何度も叩きつける。そしていつしか戦闘不能となっていた2体を、グリーンに勢いよく投げ渡した。
もちろん、その間のブラックの手の動きは全てミュウツーと同じである。
まるで、モーションキャプチャーで取り込まれたデータのようにブラックとミュウツーの動きは完全にリンクしている。
異様な戦闘スタイル、そしてその力に呆然とするグリーン。
ブラックは一言グリーンに告げた。
「ポケモン統制能力、通称“統べる者”・・・。」
「やってくれたわね〜。2年もかけてそんな能力をじっくり植え込んだわけね・・・。」
会話をさえぎってブルーが背にしていた壁に大きな穴が開いた。そこからは、ニドクインの太い腕が飛び出ている。
ブルーはさきほどドードリオのドドすけから落ちて気絶しているイエローを背負いながら、その場を離れる。
そう、此処は4階。ブルーはサカキの目をごまかして5階へ上ろうとしているのだが、なかなかそのチャンスが訪れない。
グリーンを5階へ送った後、気絶しっぱなしのイエローを背負ったままでブルーは逃げ隠れていた。
何とか反撃に転じたいが、気絶したイエローというハンデキャップはもとより戦闘要員で無い彼女にとっては、あまりにも大きすぎる。
「植え込んだわけではない・・・。元々、アイツに芽生えかかっていた力だ。」
その声と同時に今度はブルーが正面としている部屋から、ニドキングが扉を破壊して現れた。
ブルーは舌打ちすると反転して逃げようとしたが、後にはニドクインとサカキの姿があった。
「・・・あら、女性にこの仕打ちは無いんじゃない?」
「元より、お前のような女は気に食わんからな。」
通路をニドクインとニドキングに挟まれ、逃げ場も無い。 背中には気絶したイエロー。
勝ち目のあるバトルができる希望は何一つなさそうだ。
「ところで、何でアタシにはいろいろと教えてくれるのかしら??」
「冥土の土産と言ったはずだ・・・。それ以上の答えは無い。」
会話で時間を稼ごうとするブルーに対して、即答することによってそれを封じるサカキ。
ジリジリと接近するニドキングとニドクイン。 それでもブルーは笑顔を浮かべて気丈に振舞い続ける。
「ところで、何でレッドに統べる力を植え込んだ・・・、いや覚醒させたわけ??」
サカキはその質問を聞くと、即答はせずに少し考えてから答えた。
「・・・“これから起こること”に対処していくため・・・。そんなところか・・・。」
「ふ〜ん。じゃ、“これから起こること”の内容は・・・・・・。 教えてくれるわけ無いわよね?」
その答えはニドキングとニドクインの更なる接近であった。 いよいよ、会話での時間稼ぎも苦しくなってきたようだ。
ニドキングとニドクインとの距離が徐々に詰まる。
(せめて、せめて、イエローが目を覚ましてくれれば・・・!!)
ブルーの願い虚しく、イエローはブルーの背で一向に目覚める兆しが無い。
まさに絶対絶命。 しかし、それでもブルーは表情に危機感を滲み出させない。
このバトルタワーに来て何度目の絶体絶命だろうか。 しかしこの感覚に慣れることはまず無いだろう。
ブルーは一呼吸すると腰に手をかけた。 だがその瞬間、ニドキングが飛び掛ってきた!
「ボールに触らせるとでも思ったか!! “メガホーン”!!!」
ニドキングは空中で大きく頭を振りかぶり、ブルーの元へと落ちてくる・・・。
しかし、それに対してブルーの顔は笑顔のままだ。 いや、笑顔の種類が違う。 企みの笑みだ。
「アタシが持ちたかったのはボールじゃなくてコレよ!!」
クリティカルポインターを起動させるブルー。
赤い光で示される弱点は・・・・・・“眼”!!!
ポインターの赤い光で、視覚を奪われるニドキング。 攻撃は失敗し、勢いあまって床に激突する。
「チャオ〜。」
その隙に、サカキに手を振って笑顔で逃げ去っていくブルー。
サカキはニドクインに追撃を命じるとニドクインはドスドスと大きな足音をたてて走っていく。
「今度は本当にこっちよ!!」
走ってくるニドクインのほうを振り向くと、ブルーは腰のボールホルダーからボールを取り出して、カメックスのカメちゃんを呼び出した!!
呼び出されたカメちゃんはニドクインと取っ組み合いになる。 そこへ、逆上したニドキングがさらに大きな足音をたてて突っ込んできた。
しかし、ブルーはその様子に臆することなくボールからメタモンのメタちゃんを呼び出すと、メタちゃんはニドクインに“へんしん”した。
「さぁ〜て、あなたの大切な女の子はどっちでしょうか??」
逆上していたニドキングも、どちらがどちらかわからず攻撃できない。
ブルーはその間にクリティカルポインターでニドキングの弱点を探しだす・・・。
「メタちゃん、ソコよ!!“メガトンパンチ”!!!」
ポインターの赤い光が指し示した場所は・・・・・・喉元!!!
完全に味方と勘違いしていたニドキングは、メタちゃんの化けていたニドクインの攻撃を急所に受けてその場に倒れてしまった。
ニドクインもカメちゃんとメタちゃんの両方からの攻撃で戦闘不能となった。
ブルーはホッと胸を撫で下ろし、メタちゃんをボールへ戻す。 そして、いつの間にか目視距離に接近していたサカキに眼を移した。
「あらら、追いつかれちゃったか・・・。」
「くだらんことをしてくれる・・・。」
サカキはボールに倒れた2匹を戻しながら話す。
「フンッ、やはりマサラ出身者は本腰をいれて始末しないと無理か・・・。」
それに対して、ブルーが話そうとした瞬間であった・・・。
突如、サカキの後でコンクリートが砕ける音がしたかと思うと、天井が壊れ、そこからリザードンと共にボロボロになったグリーンが落ちてきた。
その場で落下が終ったのかと思った瞬間、グリーンとリザードンの周囲の床がひび割れ始め大きな穴を開ける。
穴に落ちてグリーンはリザードンと共に3階へと落下する。音はそのあと3回した・・・。
「どうやら、本腰を入れて始末したようだな・・・・・・。」
ニヤリと笑みを浮かべたサカキの一言にブルーの顔はみるみる青ざめる。
とうとう、レッドは禁忌に手を触れてしまったようだ。この結果は最も恐れていたことだったが、現実におきてしまった。
「嘘、ウソよねぇ・・・・・・。」
全身が脱力し、背負っていたイエローをその場に落としてしまった。 膝を落としその場に力なく座り込む。
現実を受け止めることができず首を何度も横に振りながら涙を流す・・・。
「嫌、イヤ。いやぁああああぁぁぁぁぁーーーーーー・・・・・・・。」
ブルーの悲痛の叫びが響き渡った・・・・・・。
「フェフェフェ・・・・・・。本当に呼び出せるとはねぇ・・・。後は、“完成品”にするまでだ・・・・。フェフェフェ。」
バトルタワーの屋上でボールを片手に不気味な声で笑うキクコ。謎の機材と改良されたバッジエネルギー増幅器。
「さて、ブラックを休ませたら、地下に行くことにするかねぇ・・・。“完成品”のテストだ。フェフェフェ・・・。」
一人呟くと、闇にまぎれて姿を消した。
水面下で進んでいた邪悪が今、確実に希望を喰らい尽くそうと動き出した・・・。
そして、“統べる者”・・・。
太陽は西へと傾きだした。
第20話へ・・・