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 奮戦、奮闘、最後の道。







 4階へと到着したグリーン、イエロー、ブルーのカントー組は最上階への階段を探す。

何故かはしらないが、今までと同じで不気味なほど静まり返っている・・・。

本来なら効率的にも3手に分かれて探したほうが早いのだが、

全身ズタボロのグリーンを一人にすることなどできず、3人は固まって移動していた・・・。

時を同じくして動き出す2つの“黒”。

一つの“黒”は最上階へ

もう一つは、4階へと迫っていた・・・。











 PAS 第18話 最上階への道













 静まり返る廊下。 物音一つせず無音である。 その静けさのあまり、他所で行われているポケモンバトルの音が聞こえてくるほどだ。

いつの間にか、日は傾きだしていた。 時間にして午後2時過ぎといったところであろうか。

そんな中を、歩き続ける3人。 一人は肩で息をしている。その様子に困惑する2人・・・。

「グリーンさん、少し休憩しましょう。このままじゃ最上階に行ったときにレッドさんを説得できませんよ。」

イエローの優しい声がグリーンに聞こえたようで、その場にグリーンは崩れるようにしゃがみこむとその場で動かなくなった。


「・・・・・・少し休む。」


それを最後に、グリーンは気絶してしまった。

「まったくもぅ・・・。イエロー、どこか休む場所を探しましょう。 私達も一度態勢を立て直したほうがいいわ。」

とりあえずどこか安全で休める場所を探す。 グリーンは、イエローのゴローニャ、ゴロすけの腕の中でぐったりだ。

二手に分かれて片っ端からドアというドアを開いていくブルーとイエロー。ドアの先には、倉庫や印刷室、会議場など事務的な施設があった。

そして、5分が経過しようとしたときイエローが声を上げた。










「ブルーさん!!休憩所がありました!!」

そこは、普段業務で家に帰れない者が仮眠を取ったりする施設だった。 ベッドもあるが何よりも食料や回復装置も設置されている。

「なんだか、うまい話ね。 休むことが最初から決められていたみたい・・・。」




ブルーが疑問に思うのも無理は無い。主要拠点いや、本部に等しい機能を持っているはずのバトルタワーの守りが此処まで手薄であることも上げられるが、

本気で自分達を潰しにかかっていると思えない節が多くある。

都合のよすぎる休憩所、手薄すぎる守り、何よりこの隙を狙わない理由。 罠と解って突入したとはいえ、コレでは下手をすればこちらに歩があるようにも思える。

しかし、考え方を変えてみれば“生かされている”とも思えなくは無い。どちらにしろ、今回の騒動の目的が不明確であることに間違いは無い。

ホウエン組の話では、全国支配が目的と聞いてはいたが、何故大々的な騒動を起こす必要があったのかまったくの謎である。







(何より、元四天王の存在が気になるわ・・・。いよいよおかしくなってきたわね・・・。)





先ほどの移動中、グリーンからキクコが今回の騒動に噛んでいることが知らされていた。

「・・・・・・。」

ブルーは口元に手を当てて、真剣な表情で思考をめぐらせる。その間にイエローはベッドにグリーンを寝かせると、回復装置でグリーンの手持ちを休ませた。

「ブルーさん、一休みしていいですよ。私とゴロすけで見張ってますから。」

イエローのいつもの調子の声にブルーは緊張を解いてため息を吐くと、イエローに言い返した。

「“眠り姫”様に守られるほど弱くは無いわよ。 アンタは力を結構使っているんだから、少し仮眠を取っておきなさい。」

ブルーはイエローの頭を撫でると、笑顔を浮かべてイエローを諭す。

「で、でも・・・。」

「“でも”もクーデターも無いわよ。いいから寝てなさい。」

ブルーは少しきつめにイエローに話すと、イエローはしぶしぶ近くにあった安っぽいソファーに寝そべると、瞳を閉じた。

しばらくすると、イエローの寝息が聞こえたのでブルーは一安心した。



(さて、推測を確信にしないとね・・・。)




ブルーが思考をめぐらせていたのには、ある程度の推測があったからだ。 

その理由は、先ほどドアを開けて回ったときに場違いな研究施設を発見していた。

ぱっと見ただけで、バトルタワーには関係ない研究がなされているのが解った。 その理由は簡単である・・・。

ブルーはゴロすけに“よろしく”と声を掛けると、休憩所を出て単身研究施設を目指す。

今だ、廊下は不気味なほど静まり返り人の気配さえしない。 静か過ぎて逆に怪しすぎる雰囲気の中ブルーはあのドアを目指した。

1分もしない内にそのドアの前に立ったブルー。すぐさまドアノブを回し中に侵入する・・・。

そして、理由となったある機械を目にする・・・。





(バッジエネルギー増幅器・・・!!)




円形の機械は、8箇所の穴の開いたリングが3つついており24個のバッジをセット可能のようだ。

しかし、従来のものと違う点がいくつかある。 中心部分に8つ目をセットしないことも、リングが3つ付いていることもそうだが、

何よりも、中心部分にはどうやら何か不定形のものを入れることができる構造になっており、バッジ以外のものでも増幅を行うようだ。

ブルーやカントー組は全員、この機械の起こす力の危険性はその身をもって知っているので、とりあえずブルーはバッジエネルギー増幅器を手に持った。







「フェフェフェ・・・。手癖の悪いお嬢ちゃんだねぇ・・・。」








 ブルーの背後から、老婆の奇妙な笑い声と声が聞こえた・・・。その声が不意に聞こえたので、ブルーは身を凍らせた。

コツ、コツと杖の音と共に声の主であろう老婆はブルーに接近する。 

「クッ・・・!」

ブルーは何とか身体を動かして、腰元のボールに手をかけようとする。 もちろん増幅器にも手はかけたままだ。








「女、手から機械を離さないと・・・手足が一生動けなくするぞ・・・。」







続いて、低い男性の声がまた不意に聞こえた。 しかし今度はその声の主が放っている雰囲気に気おされ動きを止めざるを得なかった。

男性は、ブルーの横に立つとブルーから増幅器を取り返すと硬直しているブルーの肩に手をおくと一言。

「利口な女は悪くは無いが、出しゃばると鬱陶しいな・・・。」

その一言を聞いた瞬間に、全身に感じる殺気。 手を乗せられたほうの肩はガタガタと震えが止まらない。

しかしブルーは強気な笑みを浮かべると、強気に言い返す。

「出しゃばるのが悪い癖でね・・・。彼氏にもよく言われるわ。 放してくれるかしら、その手邪魔よ。」

気丈に振舞うブルーに、男性はにやりと笑みを浮かべた。







「その性格はいつか痛い目を見ると覚えておくんだな・・・。マサラタウンのブルー。」




「ご忠告ありがたく受け取っておくわ・・・。 ロケット団元首領サカキさん。」







 「フェフェフェ・・・。サカキ、その嬢ちゃんがどうなろうと興味は無いが、此処ではやってくれるなよ・・・。“媒体”の呼び出しにはいるんだからねぇ・・・。」



突然サカキはブルーの首を片手一本で締め上げると、そのままブルーを持ち上げてブルーを部屋から外へと連れ出す。



「あ、・・・ッグ、や、・・・・・あぅ。 えっぐ・・・・・・。」



ブルーは苦しそうにうめき声を上げるが、サカキはその手を緩めずに廊下まで出ると、廊下の壁にブルーを投げつけた。


「此処で終わりにするぞ。行くぞ・・・。」


意識が朦朧としているブルー、だがそんな状態にもかかわらずサカキはボールからサイドンが姿を現した。

サイドンは完全に動きを止めているブルーに接近すると、大きな角をブルーの胸元に突きつけた。


「ブルー・・・。冥土の土産だ面白いことを教えてやろう・・・・・・。」


朦朧とする意識の中、サカキの声を聞くブルー、そしてサカキが話し出すとブルーの表情はみるみる変わっていった。


























 「う・・・・・・ん、」

眠そうな声を上げながら、起き上がるイエロー。目をこすりながら大きなあくびをした。

そして回りを確認すると、今だ眠ったままのグリーンと見張り役のゴロすけの姿しか確認できなかった。



(ブルーさん、どこいったんだろう?)



疑問に思ったイエローは、ゴロすけに手を当てて通心する。ゴロすけから伝わってくるブルーに関する情報。

どうやらブルーは一人で出て行ったようだ。

しばらくすると、先ほどまであれほど静まり返っていた廊下が、騒がしくなっていることに気がついた。

妙な胸騒ぎを覚えたイエローはゴロすけにグリーンを見張るように頼むと、ボールからドードリオのドドすけを呼び出すと、ブルーを探しに休憩所から出た。

ドドすけの背に乗ると、騒ぎが大きくなっている場所へと走る。 現場に駆けつけると、そこにはサカキと対峙するブルーの姿があった。


「カメちゃん、手加減の必要なしよ!!“
ハイドロカノン”!!」


ブルーのカメックス、カメちゃんの全身を青いオーラが包みだす・・・。

甲羅から出ている水砲が、ガシャリと音を立てて伸びると、水砲はサカキとサイドンに照準を合わせた。するとカメちゃんの身体からポンプのような音がし始める。

「発射!!」

ブルーの掛け声と共に、水砲から莫大な量の水が撃ち出される。さらに、カメちゃんの口からも水は撃ち出されると、水は合流して1つの激流に姿を変えた!!

廊下の幅、高さほどの高水圧、猛スピードの水流はサカキとサイドンを襲う!!

「チィッ!!」

サカキは超人的瞬発力でどこかの部屋の扉を開けると、部屋の中に避難した。 サイドンは攻撃に巻き込まれ激流に巻き込まれて押し流されていく・・・。

押し流されたサイドンは、壁に激突すると弱点とする水のエネルギーを全身に受けて戦闘不能になった。

その様子を見たイエローは、加勢するためにブルーに近づこうとした。

「イエロー、アタシに構わなくていいから、早く5階への階段を探して!!一刻も早く!!!」

近づいてくる気配からイエローと察したのだろう、ブルーはイエローのほうを振り向かずに、ただ、叫んだ。

イエローはビクッとしたが、コクリと頷くとドドすけに反転を命じて階段を探す。

駆け出していったイエローを振り向かずに見送ると、再び静寂が訪れた・・・。

ブルーとカメちゃんの足元には、水が逆流してきておりその水がブルーの靴を濡らす・・・・・・。




(さて、いつ仕掛けてくるのかしら・・・。)




生唾をごくりと飲み込むと、ブルーはカメちゃんと共に場所を移動し始める。

歩くたびに、ジャバジャバと水の音が聞こえる・・・。

ブルーはポケモン図鑑を手に持つと、腰から例の発明品、“クリティカルポインター”を取り出すと図鑑と接続した。

「ったく、私は元々戦闘要員じゃないんだからね・・・。」

ぼそりと一人呟くと、ブルーとカメちゃんは背中合わせになるとサカキとイエローを待った・・・。























 また片っ端から扉を開けて、部屋を見て回り、階段を探すイエロー。

だが、階段は一行に見当たらなかった。そのときイエローはあることに気がついた。



(元々、一階にはエレベーターがあったってことは・・・。上る手段は階段だけじゃないよね・・・。)



階段にこだわりすぎたと反省するイエロー。エレベーターなら、部屋に紛れ込んでいる可能性もある。

もう一度部屋を見て回ろうと思ったが、そのまえに一箇所だけ確認を取っていない部屋があることに気がついた。




(ブルーさんが近くに居た部屋・・・。あそこはまだ・・・!)




イエローはドドすけに即座に反転を命じると、あの部屋を目指した。

あの部屋に近づくにつれて水浸しになる廊下。その廊下をイエローはドドすけに乗って駆け抜ける。そして、ブルーを発見した!!

「ブルーさん、あの部屋です!! あの部屋にエレベーターか階段があります!!!」

イエローは叫びと共に、あの部屋を指差す。ブルーは指差されたほうを向くと一人納得する。

「なるほど、だからアタシの背後から現れたってわけね・・・。」

ブルーは深呼吸すると、持っていたボールを腰のボールホルダーにしまうと、クリティカルポインターと図鑑をもって例の部屋に向かう。

カメちゃんを先頭に、ブルー、ドドすけに乗ったイエローと続く・・・。

そして、扉の前に立った・・・・・・。









 ブルーは再び深呼吸をすると、ドアノブに手をかけようとした。その瞬間である。

顔の真横を何か白い杭のようなものが過ぎ去り、壁に突き刺さった。その威力はハンパではなく、刺さった壁にはヒビが入った。

一気にブルーの顔が青ざめた。 そして呆然としていると、扉からもう一発白い杭のようなものが飛んできた。

それも、ブルー顔の真横を通り過ぎると壁に突き刺さった。あまりのことにブルーは腰を抜かしその場に座り込んでしまった。

バシャリと水の中に尻をつけてしまい、ボールが水に濡れる。 辛うじて図鑑とクリティカルポインターは手から離さなかったので無事だ。

イエローが駆け寄ってブルーを起こそうとした瞬間、ドアは開け放たれ中から黒服の中年の男性がスピアーと共に姿を現した。





「エレベーターが目的か? ならオレを倒していくんだな。」





威圧的な笑みを浮かべて、ブルーとイエローを見下ろす男。そう、サカキは鼻で笑うと後ろを向いて指を弾いて音を鳴らした。




「終わりだ。」




スピアーが2人に対して両手の針を突きつけた。 絶体絶命の状況に2人は声一つ出なかった。












(レッドさん・・・・・・!!)



(グリーン助けて・・・・・・!!)





















 「“
メタルクロー”!!」

2人の視界に一瞬赤い何かが通り過ぎたかと思うと、スピアーは何かから攻撃を受けたらしく床にたたきつけられた。

たたきつけた張本人は、床に着地すると戦闘姿勢を崩さず両手の刃を光らせた。

「ハッサム、“
きりさく”!!」

廊下の壁に寄りかかりながら、赤い何かの正体であるハッサムに命令を出す人物は、さらに追撃を命じる。

その姿を見たブルーとイエローの表情は驚きと、喜びで溢れかえった。






「「グリーン(さん)!!!」」






ハッサムはグリーンの命令どうり、スピアーを瞬時に切り裂いた!! 斬撃を受けたスピアーはよろめきながらも体勢を立て直すと両手の太い針を構える。



「キクコ、上で“媒体”召還の準備にはいれ。 あと、ブラックに“完成品”の捕獲準備をさせろ。」

「フェフェフェ・・・・・・。解っているよ。 そうだ、試しに鼠どもと戦わせて見たらどうだろうねぇ・・・。」



その間、サカキはキクコは言葉を交わしていた。そして、キクコは部屋に隠されていたエレベーターを使って5階へ向かった。

「スピアー、“
ダブルニードル”!!」

サカキの命令で、スピアーは両手の針で素早くハッサムを攻撃する。

「応戦しろハッサム、“
れんぞくぎり”!!」

グリーンの命令でハッサムはスピアーの攻撃を斬撃で捌き続ける。 その間に、グリーンはブルーとイエローの元に駆け寄った。





「・・・出しゃばり女は嫌いと言ったはずだがな。」

グリーンはブルーに静かに呟く。その声には怒りの感情が感じられた。

「ごめんなさい・・・。でも・・・」

「・・・言い訳はいい。今はこれからどうするかだ。」

ブルーの言葉に割って入り、グリーンはブルーの手を取って立ち上がらせた。 立ち上がると同時にブルーはグリーンに抱きついた。

「ごめんなさい・・・だから・・・!!」

ブルーは必死に哀願する。グリーンは涙に濡れて潤んだ瞳に、上目遣いで見つめられると流石に顔を赤くした。

「・・・わかった。とにかく今は此処を突破するぞ。」

グリーンの声色が変わる。それを聞くとブルーはグリーンから離れてカメちゃんを呼び寄せる。

「・・・そろそろ、ハッサムがスピアーを圧倒するはずだ。」

グリーンの言葉どうり、徐々にハッサムの攻撃は威力を増し始め、スピアーを圧倒し始めた。

スピアーは必死に両手の針で攻撃を続けるが、その針を捌く斬撃の非常に強力になっておりいつしか、スピアーが応戦する形になっていた。

「“
れんぞくぎり”か。攻撃が当たり続ければ威力が増していく・・・。小癪な真似を。」

サカキはボールを二つ手に取ると、そのボールからニドキングとニドクインを呼び出した。





「回復させておいて正解だったな。此処で終わりにする!!」





ニドキングとニドクインは壁をぶち壊し、側面からグリーンたちを直接襲う。突然の攻撃に対処などできるはずも無く、イエローはドドすけから落ちてしまった。

ブルーとグリーンも壁に叩きつけられた。カメちゃんも飛んできた壁の破片に激突して仰向けになってしまっている。

3人は体勢を整えようとしたが、立ちはだかる2体の巨獣の前に身動きが取れない。 いや、取れそうも無い。










再び訪れる絶体絶命。 今度は助けの見込みも無いだろう。










そんな中、ブルーはサカキの話を思い出していた・・・。




(あの話が本当なら、レッドを止めてあげないと・・・。)




ブルーは一人、うなだれると一人考え込む。

“どうすればレッドを救うために、5階に歩みを進められるか”単純だが、難しい問題である。




(全員、いや最悪1人でもいい。 どうにかして5階へ移動しないと・・・。)




しかし、長時間思考していることはできない。目前でこちらを睨みつけるニドキング。

ブルーは、わざとらしくため息を吐くと満面の笑みをグリーンに向けた。















「グリーン、レッドを止めてきてあげて。 此処はアタシとイエローがなんとかするから。」














今まで何度と彼女の笑みを見てきたが、此処まで美しく、悲しく、儚い笑みは、はじめて見たグリーン。





グリーンは困惑したが、彼女の笑顔の真意を読み取ると彼女を真っ直ぐ見つめた。

「・・・バカを必ずつれて帰る。だから絶対に生きて待っていろ。」

その一言を聞いたブルーはまたさっきと同じ笑顔をグリーンに向けた。それと同時に、ハッサムがスピアーを強烈な斬撃でなぎ払った!!

グリーンはハッサムに何の命令も下していなかったが、ハッサムは自主的に主人の元に駆け寄ると同時に、ブルーとグリーンの前に居るニドキングに一撃を加える。





((このタイミング・・・!!!))





一瞬、怯んだニドキングの隙を突いてブルーとグリーンは即座に立ち上がると、それぞれ別方向に走り出した。

「カメちゃん、“
ハイドロポンプ”!!!」

仰向けになっていたカメちゃんだが、ブルーの命令どうりその場で両肩の水砲から水流を発生させる。

カメちゃんは水流の勢いで甲羅で滑りながらサカキの居る部屋に突っ込んできた。

「クッ!!何だ!!!」

サカキはカメちゃんを回避すると、指を弾きスピアーを呼び戻す。その隙にグリーンは部屋に侵入。エレベーターを探す。

「上には行かせん!! “
ミサイルばり”!!!」

スピアーは、腹部の針を連射する。その攻撃は的確にグリーンを狙う。 しかし、その攻撃はハッサムが叩き落した。

エレベーターを発見するグリーン。 上へ向かうボタンを押すと上からエレベーターが下りてくる音が聞こえる。

「ならば、エレベーターごと破壊するまで。ニドクイン“
はかいこうせん”!!!」

イエローを襲おうとしていたニドクインは、主人の命令を受けると反転して“
はかいこうせん”を放つ態勢をとった瞬間であった。


「ピッくん、“
このゆびとまれ”!!」


走ってきたブルーのボールから、ピクシーのピッくんが姿を現すと、ピッくんは指を一本高々と上げるとニドクインは攻撃対象をグリーンから、ピッくんに変更した。

ピッくんは攻撃を直撃するも、辛うじて立ち上がった。 その間に、ブルーはイエローを回収するとドドすけにイエローを避難させる。





(後は頼んだわよ、グリーン・・・。 レッドを助けてあげて・・・!!!)





サカキは、ボールからボスゴドラを呼び出すと、スピアーの“
ミサイルばり”とボスゴドラの“とっしん”で一気にグリーンを攻める!!

針はハッサムが叩き落しているが、突っ込んでくるボスゴドラをしのぐ手立てが無い。サカキは勝利を確信してニヤリと笑みえを浮かべた。 が、




エレベーターの扉は開き、扉に寄りかかっていたグリーンはエレベーター内部に倒れこんだ。




ボスゴドラはハッサムをエレベーター内部まで吹き飛ばすと、今度はエレベーターそのものを破壊しようと突っ込んできた。

「・・・悪いが、アイツの想いを無駄にするわけにはいかなくてな。」

グリーンが呟くと、ハッサムは突っ込んでくるボスゴドラに手を向けた。

「ハッサム、“
はかいこうせん”!!!」

向けられた手からは、一筋の光が放たれるとボスゴドラを吹き飛ばした。吹き飛ばされたボスゴドラはスピアーを巻き込んで壁に激突した。

その間に、グリーンは5階へのスイッチを押す。 扉は閉まり、グリーンは5階へと向かう・・・。

「チィ、まぁいい。結果が変わるわけではない・・・。だったら、今のうちに2人を始末するか。」

サカキは舌打ちと共に、悔しそうな声を上げるとボスゴドラやスピアーたち手持ちたち全てをボールに戻すと、ブルーたちを探し始めた・・・。





























 5階へ上るエレベーター。グリーンはハッサムをボールに戻すと大きく深呼吸をした。


(・・・いよいよか。)


エレベーターはガタンと音を立てて止まると、扉を開いた・・・。グリーンはエレベーターを降りた。


扉の先には、大きな大きな部屋が広がっている。 部屋の壁をガラス張りにしてあるため今の時間の傾いた太陽の光が入ってきて眩しい。

そんな中、正面に目を移すと、一つ大きな机とクッションがついているフカフカの大きな椅子が置いてある。

机の上には何枚かの書類と、数冊の冊子。 そして何冊か本がブックエンドによって立っている。

椅子は、背もたれの部分が見えている。要するに後ろ向きになっているようだ。 しかし、その椅子はときより左右に揺れる。

妙な緊張感が部屋を包む・・・。



「やっぱ難しいよなぁ〜。 オレにこんな勉強は無理だと思うんだけどなぁ〜・・・。」



だが、そんな緊張感を破るようなのんきで優しい声が椅子のほうから聞こえる。 

グリーンはその声に椅子に座っている人物が誰であるか即座にわかった。その声に一瞬だが、安心を覚える。

椅子に座っている人物は、読んでいた厚い本を机の上に置くと椅子に座りながら大きく伸びをする。



「さて、ココに来たってことは、四聖獣を倒してきたのか・・・。やっぱり、グリーンたちは格が違うよな。他は倒すのに精一杯だったってのに・・・。」

「・・・レッド、何故こんなことをした?」

「前に一度、名乗ったハズだけどな・・・。 そんなにこの名前は浸透力が無いのかな??」

「この戦いに何の意味があるというんだ!! 答えろ!!!」



後ろを向いていた椅子が、キーという音を立てて正面を向いた。
 
そこには、黒いスーツに黒いネクタイ。黒い瞳に黒い髪。そして胸に輝く赤い「R」のエンブレム・・・。

全身を黒く統一した服装をしている青年が、うっすらと笑みを浮かべ、椅子の肘掛に両腕を乗せている。

ロケット団 真首領 ブラック・・・。それが“今の”彼の名だ。 笑みを浮かべた状態で彼は淡々と話す。



「それをグリーンに答える必要は無いと思うよ。」


うすら笑って答えるブラックにグリーンは鋭い目つきで睨みつける。




「わかったよ。まったく本当にグリーンには敵わないよ。オレを倒したらいくらでも答えてやるよ・・・。」




言葉の前半は薄ら笑いで話していたのに、後半部になると突如、口調と表情は変わり先ほどの優しい声が同一人物から話されたとは思えないような冷たい声に変わる。

その変化にゾクリとグリーンは嫌な感覚を覚える。 これがかつての親友から向けられる想いなのかと考えるとさらに気分が悪くなる。




(・・・やるしかないのか・・・??)




 心で戸惑うグリーン。先ほど聞こえた優しい声は偽りなのか、今の放っている雰囲気が真実なのか、いや逆なのか・・・。

断ち切ったはずの葛藤が、本人を目の前にすることによって再び蘇る・・・・・・。

椅子から立ち上がるブラック、下半身も黒いズボンと黒い靴で統一されている。 その風貌は現代風の死神のようだ。

ブラックはネクタイを直すと、黒く冷たい瞳でグリーンを見つめた・・・・・・。

















 冷たき瞳の中で、再び揺らぐ心。



 物語は大きく動き出した・・・。






 第19話へ・・・