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もう一つの侵入経路・・・、ホウエン組の戦い!






 アサギシティに西風が吹く

未知の力を運ぶ風

黒き戦士を飛び越えて

風はひたすら駆け抜ける

その身で運ぶ使命を糧に

力強く風は駆ける

目指すは風の集う場所

まだ見ぬ黒き力に臆せずに

西風は駆け抜ける










  PAS 第12話 針!西側侵入経路の攻防!!










「こうもすんなり侵入させてくれると、逆にあやしいよね・・・。」

緑髪の少年、ミツルがぼそりと呟くと先頭を行く白い帽子をかぶった少年ルビーは動きを止めた。

「ミツルくん。 もう分かっていることだと思うよ・・・。 ダイゴさんにここに行ってほしい言われたときから、戦いは避けられないことは分かっていたはず。」

ルビーもまたぼそりと呟く。 ホウエン3人組もゴールドたちと同じくダクトの中を進んでいた・・・。









 しばらく進んでいくと、最後方にいるサファイアが野生のカンで何かを感じ取ったようだ。 一人、殺気立ち始めた。 

その雰囲気を感じ取ったのか、ルビーはいつもの調子でサファイアに呼びかける。

「ハァ・・・。コレだから野蛮人は、移動中くらい落ち着いて移動できないのかな??」

ルビーが嫌味を言うと、いつもなら必ず言い返してくるサファイアが言い返してこなかった。 

ルビーは無視されたことに若干怒りを覚え、さらにサファイアに嫌味を言う。


「だいたい、ただでさえもホコリっぽくて狭くて薄暗くて、誰だってイライ・・「ルビー!!!動いちゃだめったい!!」」


ルビーの声は。サファイアの大声でかき消された。 ルビーがいきなりの大声と自分の発言をうやむやにされたことに怒りを覚えた。 しかし・・・。

ピュン、ピュン、ピュンと銃弾が飛んだような音がしたと思うと、

ルビーの手が置かれている所のわずか1センチのところを何かが通過し3つの穴を縦一列に作った。

ルビーはそのできた穴から下の様子を覗き込んだ。 するとそこはどこかの部屋で、黒いスーツにスキンヘッド。そして眉毛の無いごつくて黒い瞳の怖い男が、

ノクタスとともにこちらを見ていた。 こんな男を町で見かけたらまず、眼をそむけるだろう。

その男とルビーは運悪く目が合ってしまった。 目が合うとスキンヘッドの男は口元だけで笑うと、ルビーにプレッシャーをかける。

放たれる禍々しく力強いプレッシャーに、ルビーは完全に身体を硬直させる。 その様子に疑問を抱いたミツルはルビーに話しかけようとした瞬間。

先ほど聞こえた音が数回したと思うと、ルビーの居る位置のダクトの板が円形に切り取られて、ルビーはスキンヘッドの男がいる部屋に落ちてしまった。



「何処の小僧か知らんが、上からの命令だ。 消えてもらうぞ。」



スキンヘッドの男が低い声でルビーに話しかけると、ノクタスがルビーに自分の腕を向けた。 


男の胸元についている赤い「R」の字のエンブレムがギラリと輝いた。


ルビーにはしるすさまじい緊張、まるで自分の父親と対峙したときのような感覚に襲われた。 しかし、そこへ・・・



「ルビーくん!!」


「ルビー!!」



ダクトからミツルとサファイアの2人が、ルビーの落ちた穴から降りてきた。 スキンヘッドの男は降りてきた2人を見つめると、ノクタスの腕を下げさせた。

「ガキ3人送り込んで同情でも狙おうってのか・・・。 何処の能無しかは知らないが、俺達をなめてるだろう・・・。」

スキンヘッドの男は指をパチリと鳴らすと、部屋の床から岩が現れた。

 驚いた3人は周りを見渡すと、広さや床、天井を見てここがバトル場であることに気付いた。

どうやら此処は、ストラクチャーを配置できるフィールドなのだろう。 バトル場のいたるところに岩が現れている。

「ここに入れたってことは、多少バトルの腕があるんだろう・・・。 だったら、正攻法で消してやる。 かかって来い。」

スキンヘッドの男は背を向けると、ノクタスと共にバトル場の奥に移動し始めた。 

「10秒時間をやる、好きに動け。 攻撃しても逃げてもかまわない・・・。 ただし、逃げれる保障も、攻撃が成功する保障も無いがな・・・。」

スキンヘッドの男は奥に移動しながら、3人に背を向けて話す。 そしてカウントは始まった。











「10・・・・・・。」





その間に3人は顔を見合わせて策を練り始める。  この場を逃げて先へ進むか、あの男を倒して進むか・・・。

ルビーとミツルはこの場は逃げて先に進むという意見を出すが、サファイアはここで戦うべきだという意見になった。





「9・・・・・・。」





着実に進むカウント。 そのカウントは実際の一秒よりも長くカウントされている。 

逃げるにしても、先ほどの男の発言が非常に気がかりである。 第一に、ダクト移動中に非常に正確な攻撃を仕掛けた男である。 逃げたとしても攻撃は免れない。





「8・・・・・・。」





逃げないとしても、非常に正確な攻撃を仕掛ける男である。 その技量から推測しても手ごわい相手である。 さらに、このフロアを単身で守護している時点で

相当な実力者であることも分かる。 そして、あのプレッシャー。 最低でもルビーの父、センリクラスであることは間違いない。





「7・・・・・・。」





戦うなら3人がかりである。 3人のある程度の連携なら倒せるかも知れない。  最低でもポケモンの数だけで言えば、圧倒的にこちらが有利である。

仮に戦うとして、“保険”を持つのも悪くないとレビーが意見する。





「6・・・・・・。」





戦いに敗れそうになったとき、いざというときの為に逃げ道を探しておく必要があるというものだ。 サファイアは「そんな弱気じゃだめったい!!」と叫んだが、

ミツルになだめられて何とか落ち着くと3人であたりを見渡し始める・・・。





「5・・・・・・。」





カウントはいよいよ半分をきった。 ルビーたちは辺りを見回して出入口を探す。 すると出入口は運悪く、スキンヘッドの男が移動していった方向だった。

ルビーたち3人は顔を見合わせて、再び策を練る・・・。





「4・・・・・・。」





サファイアがある発案をした。 その案とは俗に言う、“アサルト”である。 出入口に向かって3人で突撃。 そのまま、あのスキンヘッドの男を圧倒し

出入口を確保して、逃げるか戦うかをその場で選択という方法だ。





「3・・・・・・。」





3人はその方法で行くことに決定。 3人はボールからポケモンを出して突撃する準備をする・・・。

ボールから出てきたのは、ドンファンのふぁどど、グラエナのNANA、フライゴンだ。





「2・・・・・・。」





カウントした瞬間、3人はおのおののポケモンと共に出入口に突っ走った。 このスピードで行けば、“11秒目”には到達できるはずである。

3人はただひたすら出入口を目指した。 ストラクチャーの岩をかわしながら。





「1・・・・・・。」





加速状態から、ルビーとサファイアはミツルのフライゴンの背に乗った。 出入口まであと少しである・・・。

3人の3体のポケモンたちは攻撃を体勢に入る・・・。





「0・・・・・・!!」





カウントと同時に攻撃を命じられる3体のポケモン、




「ふぁどど、“
ころがる”!!」


「NANA、“
はかいこうせん”!!」


「フライゴン、“
りゅうのいぶき”!!」










3体のポケモンがまさに攻撃を繰り出す瞬間であった・・・。






ズシュッ、という何かが刺さるような音が聞こえたと思うと、3人の3体のポケモンはその場に倒れてしまい、攻撃も失敗、

フライゴンにいたっては3人をその背から落としてしまった。

落ちた3人は身体を強打したものの何とか立ち上がり、何が起きたのか確かめようと自分のポケモンたちの様子を見る。

しかし、そこには非常に残酷で酷い光景が待っていた・・・。






「「「・・・・・・!!!」」」






3人とも、そのあまりにも酷い光景に言葉一つ出なかった。



「どうあがこうと、遅かれ早かれこうなる運命だったのさ・・・。」




スキンヘッドの男はフンと鼻で笑うと、物陰に潜んでいたスピアーとハリーセンを自分の元へ来るように命じた。









ルビーたちの前にある残酷な光景。 それは、側面の腹部に“ミサイルばり”を刺された自分達のポケモンである。

血を流しぐったりしている。 刺されたままの“針”がさらに痛々しさを強調する。

3人のポケモンは皆、ピクピクと痙攣しているがその痙攣も弱々しく今にも死にそうだ。 

ポケモン達には肉体的ダメージを与えたが、ルビー達には精神的なダメージを与えた。



「悪いが、コレがロケット団 四聖獣のやり方なんでな・・・。 対トレーナーを主体として構成されたポケモンによる攻撃・・・。
 
そこらの生半可なトレーナーやポケモンでは俺達に勝つことなど到底不可能だ。」



その話を聞くルビーたちは下を向き俯いていた。


「名乗りが遅れたな・・・。 俺の名は、ニードル。 白虎のニードルだ、冥土の土産に覚えておけ・・・。」


名乗りの最中、ルビーたちは怒りのあまりボールをもつ手が震えたり、歯をくいしばったりしていた・・・。

そして、名乗りが終ると我慢していた感情が怒声として現れた。





「ポケモンは人殺しの道具じゃない!! やっていることの重たさが分からない純粋なポケモンたちで、手を汚して何とも思わないのか!!!」



ルビーの怒声はフロア中に響き渡る・・・。 それにつられて、サファイアとミツルも怒声を上げる。



「そうったい!!! ポケモンは武器じゃなか!!! 友達ったい!!! あんたは友達で人を傷つけると?!!」



「そんな信頼をかけられても、ポケモンたちが本心から喜ぶと思っているんですか!!!」






そのまま、ニードルに対して罵声や怒声は浴びせられ続けた・・・。  その声を断ち切るようにニードルが叫ぶ。


「現実を直視できない愚かなガキども・・・。 お前達が知っている世界だけで世の中は回っちゃいない!!!」


その迫力に、ルビーたちは言葉を失った。


「説教をたれるのは趣味でないんでな・・・。 だったら、現実をその身に分からせるまでだ。」


ニードルはスーツの胸ポケットから小さな薬瓶を取り出すと、ふたを開けて中から白い錠剤を3粒ほど手のひらに出すと、それを口に含み噛み砕いた。

噛み砕いたそれを飲み込むと、急にニードルは目を瞑り全身の力を抜いた・・・。

ルビーたちはその行動を不審んい思いながらも、傷ついた自分のポケモンをとりあえずボールに戻した。







ドクン・・・。






ドクン・・・。







ドクン・・・。






何かの鼓動がルビーたちに聞こえた。 その鼓動の主は、両腕を天高く上げた。

「スピアー、ハリーセン、ガキどもに“
ミサイルばり”!!!」

ニードルは明らかに先ほどまでと違う口調で自身のポケモンに命令する。

スピアーとハリーセンはルビーたちに容赦なく針を撃ちまくる。 ルビーたちは辛うじてその攻撃を回避すると、岩の影に隠れた。

岩の影で3人は顔を見合わせると、互いに頷きあい全員ボールを1つ手に持った。 3人の思いは同じであった。











  (((アイツは此処で倒す!!!)))












 3人はその場でポケモンを呼び出した。 ボスゴドラ、カクレオン、エネコロロ。

反撃に転じるためにまず、攻撃が止むのを待った。 その時であった。






ズシュッ、悪夢の音が聞こえた。






体から“針”引き抜かれる音がすると、カクレオンはその場に倒れた。






ルビーたちの顔色は、みるみる青ざめていく。



「ヒャハハ、手ごたえあっただろうノクタス・・・。」



どうやら、ニードルのノクタスの“
ニードルアーム”が岩を貫いてカクレオンを串刺しにしたようだ。

カッとなったミツルはカクレオンをボールに戻すと、別のボールからノクタスを呼び出した。


「同じ痛みを・・・、与える!!!」


ノクタスに攻撃を命じようとするミツルをルビーは取り押さえた。  その間にも、ニードルのノクタスによる“
ニードルアーム”は続く。


「ミツルくん!! それじゃ、あの男と何も変わらない!! 冷静になるんだ!!!」

「でも、コレが現実なんだよ!! こうでもしないと勝てないよ!!! そして、ボクの気持ちもおさまらないよ!!!ルビーくんは許せるの?!!」


普段、温厚でおとなしいミツルが、ルビーの服の襟を両手で掴み涙を浮かべながらルビーに食って掛かる。 それに対してルビーも言い返す。

「じゃあキミは、自分であの男のやり方を否定しておいて、否定した行動をとるっていうのか?!! キミは矛盾してるよ!!!」




お互いにポケモンのことが好きだからこそぶつかり合う、お互いの気持ちも分かり合っているのに純粋だからこそぶつかりあう気持ちと気持ち。


言い争いを続けるルビーとミツル。 ポケモンたちもその姿を見て戸惑うばかりだ。 しかし、その間も続くニードルの攻撃。


攻撃を防ぐために、サファイアはルビーとミツル、そしてエネコロロの前にボスゴドラを立たせると“
てっぺき”で攻撃を防ぎ続ける。


その間もルビーとミツルは言い争いをやめない。 そんな2人の姿を見たサファイアの瞳からは大粒の涙が溢れ出し、頬を伝って床を濡らす。






「・・・も、やめるったい・・・。」






サファイアの悲しみの声は、2人の言い争いでかき消され2人は伝わらない。 サファイアの瞳からはさらに大粒の涙が溢れ出す。













「2人とも、もう・・・、もう、やめるったい!!!」












サファイアは泣き声で2人に絶叫する。 すると、そのあまりにも悲しそうな声に2人は言い争いをやめてサファイアの方を向いた・・・。




「2人とも、 おかしいったい・・・。 ・・・今の2人を見てると、・・・苦しいとよ・・・。」




サファイアは嗚咽しながらも2人の言い争いを止めようと、必死に言葉を発した。 その言葉は2人の心の伝わり、言い争いは終った。

ルビーは、ハンカチをポケットから出すとサファイアの頬を伝わる雫を拭った。 ミツルもサファイアに慰めの言葉をかけた。


「3人とも思っていることは同じだと思うったい・・・。 だったら・・・・・・。」





サファイアの言葉を聞いていた2人だったが、岩の砕ける音とボスゴドラの倒れる音と鳴き声に、ついそちらを向いてしまった。



「“
てっぺき”か、そんなに守りを固められたら・・・、遊べないじゃないか・・・!!!」



砕かれた岩の先には、パルシェンとニードルの姿があった。どうやらこのパルシェンの攻撃で岩は砕かれ、ボスゴドラは倒れてようだ。

サファイアは無言でボスゴドラをボールへ戻すと、別のボールを一つ手に取った。 

「ヒャハハ、ボスゴドラも串刺しだったね!! でも、お前らに当たらなかったのが残念でしょうがない!!」

ニードルの瞳は常人の瞳をしていない。 狂人の瞳だ。 おそらく、先ほど服用していた薬の影響なのだろう。

ルビーの眼が雰囲気を変えて、ニードルを睨みつける。 ニードルは睨みつけられると不気味な笑みを浮かべた。











「ヒャハハ、こんなガキに睨まれるとはなぁ・・・。 いいぜ、全員串刺しだぁっ!!!」












 「COCO、“
アイアンテール”!!」

サファイアは、ボールからバシャーモを呼び出すとルビーの攻撃に加勢する。

「ちゃも、“
ブレイズキック”!!」

その様子を見ていたミツルも、ノクタスに攻撃を命じる。

「ノクタス、“
ニードルアーム”!!」




アイアンテール”直撃後、“ニードルアーム”で追撃、そして“ブレイズキック”でパルシェンを大きく吹き飛ばした。




ニードルは、吹き飛ばされたパルシェンをそのままにしておくと、ボールからスピアーとハリーセンを呼び出した。



「壁のない状態でコレはしのげまい・・・。 “
ミサイルばり”!!! ヒャハハ、蜂の巣になりやがれ!!!」



スピアーとハリーセンはこれでもかと“針”を放ち続ける。 3人は飛んでくる“針”をポケモンとのコンビネーションで回避しながら岩がある場所に向かう。

なんとか、傷を負うことなく岩影に逃れた3人・・・。 だが、



「かくれんぼかい?? まぁ、そのほうが遊べるけどな・・・。 パルシェン、“
とげキャノン”!!!」



戦慄の声がすぐ近くで聞こえた。その直後、パルシェンは巨大なトゲを5発撃ちだした。  どのトゲも岩を捉えると、岩を砕く。

ピッタリ5箇所の岩を砕いたが、何れにもルビーたちは潜んでいなかった。 ニードルは舌打ちするともう一度パルシェンに“
とげキャノン”を命じようとした。




しかし、パルシェンは攻撃しなかった。




「パルシェン、何をしている!!! さっさと“
とげキャノン”だ!!!」

それでも“
とげキャノン”を繰り出さないパルシェンに痺れを切らしたニードルはパルシェンの様子を見に行った。 すると、

「ねむり状態だと・・・?? 何時の間に!!?」

そこへ、ジュカインの背に乗ったミツルが突っ込んできた。


「“
リーフブレード”!!」


ジュカインの攻撃でパルシェンを戦闘不能にすると、技によって発生した衝撃波でニードルを吹き飛ばした。 その隙に、ミツルはボールにポケモンを戻した。

「ロゼリアありがとう。 “
くさぶえ”がちゃんと効いてくれてよかった。」

吹き飛ばされたニードルは何とか立ち上がると、スピアーとハリーセンにミツルを攻撃するように命令する。

「スピアー、ハリーセン、あのガキを蜂の巣だ“
ミサイルばり”!!!」

しかし、その2匹も攻撃してくれない。 2匹の様子を見ようと、2匹が居た場所を見たらサファイアとバシャーモとトロピウスが立っていた。
 
そして、戦闘不能になったスピアーとハリーセン・・・。


「針が撃てないと、弱かったとよ。」


笑顔でニードルを見つめるサファイア、するとニードルはボールからサニーゴを呼び出した。



「・・・時の流れは移りゆけども、変わらぬその身のたくましさ! ほとばしたるは怒りの激流! ポケモン ラグラージ!! “
じしん”!!!」



ラグラージの“
じしん”で、サニーゴとニードルの足を完全に止めた。 そこへ・・・。



「“
リーフブレード”!!」

「“
スカイアッパー”!!」



リーフブレード”の斬撃と、衝撃波でサニーゴとニードルは大きく吹き飛ばされた。

そして、吹き飛ばされたサニーゴをバシャーモの“
スカイアッパー”が完璧に捉えると、サニーゴは天井に打ち付けられた。







「チィィ、何故だ・・・。 何故、突然こうも強くなる・・・?」

ニードルは立ち上がりながら舌打ちして悔しがる。 その間に、ルビーたち3人に徐々に距離をつめられてニードルは3人とそのポケモンたちに囲まれた。

「こう見えても逆境に強いんです。 伊達に、アクア・マグマ団事件を解決してませんから。」

ミツルが話すと、ルビーとサファイアもコクリと頷いた。それを見てニードルは鼻で笑った。

「ガキの振りして、やってることは大人顔負けだな・・・。 そういえばパルシェンは何時眠らした?」

「“針”から逃れて、岩影に隠れる間に・・・。 あなたがパルシェンの傍に居れば分かったことですが、パルシェンと距離を取らせてもらいましたし・・・。」




ニードルは再び胸ポケットから薬瓶をだすと錠剤を手にとって口に含んだ。 そして錠剤を噛み砕くとそれを飲み込んだ。



「フン、パルシェンへの3連撃の時点で計画済みだったってことか・・・。 きにくわねぇな。」



スピアーとハリーセンの“針”から逃れる間に、ミツルはボールからロゼリアを出していた。 ロゼリアは大体30センチほどの大きさなので岩の影に隠れながら

移動されると、発見するのは容易なことではない。 さらに、トレーナーとも距離をとられてその索敵能力は半減。 

終には、ロゼリアに接近を許してしまい“
くさぶえ”で眠らされたというわけだ。










 「わかった。 もうガキとは思わねぇ・・・。 行くぞ、ノクタス!!!」

いつの間にか手に持っていたボールから、ノクタスが現れる。 ノクタスは瞬時に技の構えを取る。

「ノクタス、“
どくばり”!!!」

ノクタスの腕から、小さく短い針が数発ルビーに向けて放たれた。 そのスピードはまるで銃弾のようだ。

銃弾のスピードを避けることなどできるはずなく、“
どくばり”はルビーとラグラージのZUZUを捉えた。



「ぐぐぐ・・・。」



ルビーは辛うじて直撃は避けたものの、右腕に“
どくばり”が接触したようで、接触した部分を左手で押さえている。

しかし、ルビーのポケモン、ラグラージのZUZUは“
どくばり”が腹部、肩部に直撃してしまった。

針は貫通した様だが、ZUZUの身体からは血が溢れる。


「ルビーに、何するったい!!!」


サファイアがルビーに駆け寄ろうとした瞬間、ノクタスは容赦なくサファイアにも“
どくばり”を放つ。

その攻撃を、サファイアのトロピウス、とろろが庇った。 

すると、トロピウスはその場に倒れてしまった。 “
どくばり”の威力もバカにはできないが、どうやらそれだけではないようだ・・・。



「ボクとZUZUの傷は自分で何とかする・・・。 キミは自分の身をしっかり守って・・・。」



ルビーの顔色はどんどん青ざめていく、そして冷や汗流し始める。 さらには、呼吸のペースも速くなってきている。





「“
どくばり”だ・・・。 言ったはずだぜ、対トレーナー用のポケモンたちとな・・・。ヒャハハハ・・・、トロピウスが一撃で戦闘不能になるほどの猛毒だ。

かすり傷でも、もってあと3分もないぞ・・・。 ヒャハハハ!!!」





ニードルは邪悪な笑いする。 その声と行動に、ミツルは激怒してジュカインと共にニードルに突っ込む。


「ボクの友達になんてことを・・・。もう、許せません!!! アナタだけは此処で何があっても倒す!!!」


ミツルの怒りの絶叫と共にジュカインは、ミツルを背に乗せて“
リーフブレード”を放とうと大きく振りかぶった。

「やってみやがれぇ小僧!!! ノクタス、“
どくばり”!!!」

ノクタスの“
どくばり”はミツルとジュカインを狙うが、攻撃はかすりもしない、正確には直撃寸前で回避している。

「チィィ、“
みきり”か!!! しかし、そう何度も“みきり”続けられるかな!?」

ノクタスはひたすら“
どくばり”を放つ。 ミツルとジュカインは攻撃は回避するが、前に進めない。

「“針”の数を増やす!! ノクタス、“
ミサイルばり”!!!」

ノクタスは全身から針を撃ちだす。 ジュカインは辛うじて“
みきり”続けているが、そのスピードは低下していく・・・。

そしていよいよ、ノクタスの攻撃のスピードがジュカインの回避のスピードを凌駕した。

「ヒャハハハ、残念だったな!!! 終わりだぁ!!」

ミサイルばり”が、ミツルとジュカインを襲う・・・。 








「ジュカイン、“
リーフブレード”!!!」




ジュカインは自身の足元に“
リーフブレード”を放つと、発生した衝撃波で“ミサイルばり”を吹き飛ばした!!




「今だノクタス、“
どくばり”!!!」



大技の隙を突いて、ノクタスは腕から“
どくばり”を放とうと瞬時に両腕をジュカインに向ける、しかし・・・















「ちゃも、“
ブレイズキック”!!!」




その一瞬にタイミングを合わせて、バシャーモの“
ブレイズキック”がノクタスを完璧に捉え、ノクタスを壁まで吹き飛ばした。

壁に直撃したノクタスの身体は燃え上がり、完璧に戦闘不能となった。


「ミツルにばっかりがんばらせるわけにはいかないとね・・・。」


ニードルの眼には、バシャーモとサファイア、そして多少生気を取り戻した表情のルビーが立っていた。

「チィィ、今までのは時間稼ぎとでも言うのか・・・。 やってくれる。」

ニードルは悔しさのあまり、歯をガチガチと鳴らし始める。 そしてその形相は眉間にシワを寄せて怒り狂っている様に見える。



「excellent・・・。 ミツルくん流石だよ・・・。 キミもやっと周りを見渡せるようになったね・・・。」



ルビーが何とか話すが、その声には活力が感じられない。 ハァハァと肩で息をして、今にも倒れそうだ。

こんな状態で、いつもの嫌味を言ってもそれは逆にサファイアを悲しませるばかりだ。

ニードルが、ルビーの方を向くとその足元には使い終わった“どくけし”が落ちている。 ニードルは舌打ちすると、胸ポケットからまた薬瓶を取り出した。

「いくらそんなものを使おうと、あの毒は結構後を引くからな・・・。 お荷物ができたことだし、ここで決めようか!!」

薬瓶のフタを開けると、中身の錠剤を全て口の中に入れるとボリボリと歯で砕いて飲み込んだ。

すると、3人に再び鼓動の音が聞こえだした・・・。






ドクン・・・。





ドクン・・・。





ドクン・・・。











するとニードルはガタガタと震えだした。 そしてその震える手で自分の顔を覆うと、さらに激しく震えだす。

そのあまりにも異常な雰囲気に3人は見ることしかできなかった・・・。

突如その震えがピタリとおさまると、顔を覆ったままニードルは奇妙な笑い声を上げだした。

その奇妙な声に3人に悪寒が走る。 さらに、3人のポケモンたちも怯えだした。







「見せてやるよ・・・。 ハァハァ、最高の・・・、ハァハァ・・・。 ハイテンションってヤツをよぉ!!!」








覆っていた手を退かすとニードルの顔が見える。眼を完全に見開き、血走った眼、そして笑顔の口元から垂れる涎・・・。 俗に言う“狂人”である。

その、表情にルビーたち3人は完全に凍りついた。 ポケモンたちも、戦闘態勢を取って完全に警戒している。


「ヒャーハハッハ!!! いでよ、白虎ウインディ!!!」


いつの間にかニードルの手に握られていたボールから、赤い毛が白くなった白と黒いしま模様のウインディが現れた。

その風格は、通常のウインディ以上のものを感じさせる・・・。






「さぁ、始まりだぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」






狂人と化したニードルの絶叫が、バトル場に響き渡った・・・・・・。












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