側面侵入経路の罠・・・、ジョウト組の戦い・・・!
アサギシティに東風が吹く。
風は熱き闘志をのせて駆け抜ける。
黒き戦士を吹き飛ばし
力強く駆けていく
目指すは風の集う場所
そこで待ちし黒き力
熱き風はただ目指す
タワーの中で待つ男
黒き力をただ目指す
PAS 第11話 爆裂!東側侵入経路の戦い!!
「ゴールド、あそこよ!!」
一人の女性がバトルタワーにある換気ダクトを指差した。 古ぼけたダクトで、何とか身を縮めれば入れそうな大きさだ。
「シルバー、クリス、オレから行く!!」
ゴールドはバクフーンと共にダクトへ向かう。 そして、ダクト目掛けてバクフーンは一気にジャンプするとゴールドはダクトの古びた仕切りに
体当たりして、仕切りを壊しながら中に飛び移った。
ゴールドはバクフーンをボールに戻すと、シルバーとクリスに後に続くように手で合図を出すと、2人もダクトへ侵入する。
3人は四つんばいでダクトを一列に進んでいく。
ダクト内は非常にホコリっぽく、深呼吸をしようものならすぐに咽てしまいそうだ。
ダクトを進むうちに一筋の光明が見えた。
ゴールドはその場所に行ってみると、下にフロアがあるのがわかった。
「ここで下りるぜ・・・。」
とりあえず、フロアとの境になっているダクトの蓋をはずして下りる3人・・・、そこは
「「「・・・バトル場?・・・」」」
3人の声が見事に重なった。 3人がいる場所は誰がどう見ても一回りほど小さいが公式戦用のバトル場だ。
そこへ男性の声がこのバトル場のスピーカーから聞こえ始めた。
「あー、アー、 マイクテスト、マイクテスト・・・。」
3人はとりあえずその声を聞くことにした。
「ゴホンッ!! そこの3人、私のバトルステージへよ〜こそぉ!!」
スピーカーからは、とてつもない大きな音量でお気楽な声とノイズが聞こえている。 あまりの音量に3人は両手で耳を塞いだ。
「今からそっちへ行くから、ちょ〜と待ってちょ〜だい。」
ブツンとマイクのスイッチを切る音が聞こえると、3人の背後に1人の男性が突然姿を現した。
「アレ、もしかして、こんなに早く来ると思わなかったぁ?」
ゴールドたちのところに来るのに1秒たっていない。 ちょっと待つ必要性は無かった。
現れた男は、オレンジ色のスーツに、赤い「R」のマーク。 高身長で金髪、白い肌に水色の瞳。
真っ白い歯を輝かせ、片手にバラの花を一輪持っている。
謎の男は、3人を見て女性がいることに気付いた。
「あぁ!! そこにおらっしゃるは先ほどの麗しのシニョリ〜ナ!! お名前は!?」
謎の男はものすごいスピードでクリスに接近すると、バラの花をクリスの髪にかんざしの様にさすとクリスの手をとりその手にキスする。
クリスは顔を赤く染めている。 そんなクリスを見たゴールドは、クリスの髪に刺さっているバラの花を抜くとポイッと捨てた。
「人の彼女(オンナ)に手をだすたぁーいい度胸だな・・・、誰かは知らねーけど、こっちはいろいろとあって気が立ってんだ・・・。」
ゴールドはクリスの手をとるとそのまま自分のほうに引っぱった。 クリスは引かれるままにゴールドの胸に収まった。
「・・・人が口説いているレディにちょっかいをだすとは・・・。 第一、レディとどんな関係なんだ!!」
「彼氏だ!! 彼氏!! お前こそどんな関係なんだよ!!」
「尻を見た仲だ!!」
「「なっ・・・!?」」
ゴールドと謎の男が睨みあっている中、シルバーは
(こんな、バカどもほっといて先に進むか・・・)
と、一人でバトル場の出口を探す。 するとあることに気付く。
(出口が・・・無い!?)
どこを見回しても扉も、窓も、通路も何も無いのだ。 要するに、唯一通行できるのはゴールドたちが来た換気ダクトだけである。
(コイツもダクトを通ってきたのか・・・? いや、あのダクトをあんな一瞬で通れるはずが無い。)
エスパーポケモンによる“テレポート”を考えたが、“テレポート”は移動先で光り輝きながら登場するのでまずありえない。
そこに、もう一つ考えられる可能性があることにシルバーは気付いた。 その可能性からするとこのキザな男は相当な実力者である事がわかる。
「ゴールド、クリス、その男から離れろ・・・。 早く・・・。」
シルバーは青ざめながら2人に言う。
「お前に言われなくても、こんなキザ野郎からは離れるっつーの。」
ゴールドはクリスと共に謎の男から距離をとった。 その間にシルバーはボールを持って戦闘態勢をとる。
「シルバー、どうしたの??」
クリスが妙に殺気立っているシルバーが気になって聞いてみた。
「クリス、周りを見渡すんだ・・・。 この男、普通じゃない・・・。」
ゴールドもその話を聞いていたので、クリスと2人でこのバトル場を見渡す。
しばらく見渡していると、クリスは出入口が無いことに気がついた。
「シルバー、コレ・・・どういうこと・・・?」
ゴールドはまだ回りを見渡し続けている。
「おそらく、あの男の発言から考えてみて、 あの男はオレたちと一緒にダクトを通ってこのバトル場に入ってきた・・・!」
謎の男は口元を吊り上げてニヤッと笑った。
「え? ちょっと待ってよ、ダクトを進んできたとき最後尾にいたのは私だよ・・・、いくら私でも気付くって。」
「だから、普通じゃないんだ・・・。 突然現れたのもコレなら説明がつく。 はじめから背後に居たのだからな・・・!!」
謎の男は不気味な声で笑い始めた・・・。 ゴールドは相変わらず回りを見渡している。
「だとしたら、マイクの音声は!? いくらなんでも後ろでしゃべっていたら気付くはずよ!」
クリスの質問はシルバーでなく謎の男が答えた。
「この小さいフロアに大音量の音声を流すと、音が反射してまるで四方八方から音が聞こえる状態になる・・・。これでまず聴覚を封じる。
人間は人の気配を感じるとき、五感の1つでも封じられると気配を感じることができない・・・。 分かっていただけましたかな? シニョリ〜ナ??」
謎の男は手品のように手からバラの花を一輪出した。
謎の男はバラの花に鼻を近づけて花の香りを嗅ぐと、バラの花と一緒にモンスターボールをちょうどシルバーたち
3人の中心に放り投げた。
「私の名前は、ボム。 ロケット団 四聖獣 爆撃のボム!! シニョリ〜ナ、申し訳ありませんが上からの命令ですのでタワー侵入者は消えていただきます。」
ボムが放り投げたモンスターボールから、マルマインが現れた。
「マルマイン、“だいばくはつ”」
ボムはぼそりと呟き、右手の指をはじく。
シルバーとクリスは未だに周りを見渡し続けるゴールドを2人で掴むと、一気にその場を離れる。 その直後、
マルマインの身体は光りだして、一気に弾けとんだ。 それと同時に、爆発による衝撃波と爆発音がフロア全体を包む!
間一髪、ゴールドたちはその場に伏せて難を逃れたが、逆に危機を招くハメになった。
「signorina、いや、クリスちゃん・・・。 そんな床に寝るなんてお行儀が悪いよ・・・。 寝ていいのは私と一緒にベットだけだよ!!」
3人が伏せていると、足元に複数の気配を感じた。どうやら、ボムとボムのポケモンのようだ。
「寝てると、攻撃しやすいじゃないか・・・。 マタドガス、“ヘドロばくだん”」
マタドガスの口から大きな黒い球状の物体が3人に向けて発射される。
「・・・キングドラ、“ハイドロポンプ”!!」
直撃寸前で、シルバーのボールから呼び出されたキングドラが“ハイドロポンプ”で“ヘドロばくだん”を押し返した。
「キングドラ、そのままヤツごと吹き飛ばせ!!」
キングドラはさらに水流の勢いを強めた。 強まった水流はボムのマタドガスに直撃すると、ボムごとフロアの壁まで吹き飛ばした。
「ゴールド、クリス、今のうちに体勢を立て直すぞ。」
「お前に言われなくてもするっつーの。」
「こうなったらやるしかないわね・・・。」
3人はボールをもって臨戦態勢をとる、そしてボムが吹き飛ばされた方向を向いた、しかし・・・
「・・・ヤツのポケモンだけ・・・!?」
先ほど“ハイドロポンプ”で吹き飛ばした方向には気絶していると思われるボムのマタドガスがいるだけだ。
「・・・ゴールド、クリス、背後を取られ無いようにするぞ・・・。」
2人は頷くと、3人は背をむき合わせて背後を任せあった。
フロアは静まり返り、3人に緊張が走る・・・。
とりあえず、ゴールドとクリスもニョロトノのニョたろうとパラセクトのパラぴょんを呼び出して警戒し続けた。
時間は1分、2分と過ぎていく・・・。
3分を過ぎたころ、3人の緊張は頂点に達していた。
そんな3人の死角に一匹のポケモンがドスンと落ちてきた。
「フォレトス・・・“だいばくはつ”」
3人に誰かの呟きが聞こえた刹那、フォレトスは弾け飛んで、猛烈な爆風と熱を引き起こした!!
爆風をモロに背中に受けて大きく吹き飛ばされる3人と3人のポケモン。 そして吹き飛ばされるままにそのまま倒れこみ微動だにしなくなった。
「背後をいくら任せあっても、3人まとめて背後を取ってしまえばいいだけさ!!」
ちょうど爆心地となった場所に、ボムが天井のダクトから降り立った。
「3人で背後を任せあうと、自然と形は三角形を作るもんさ。 その後、中心付近を狙ってしまえばほぼ均等に爆風はダメージを与える。
我ながら、素晴らしすぎる・・・。」
ボムはまた何処からかバラの花を一輪出すと、香りを嗅ぎながらクリスの元へ迫る。
「クリスちゃ〜ん、 酷い事してゴメン。 邪魔者は掃除したし、今から2人で愛の花を咲かせよう!!」
「・・・だから、 人の彼女(おんな)に手ぇ出すなっつてんだろう・・・。」
ゴールドが何とか立ち上がり、ボムを睨みつけた。
「おとなしく寝ていればいいものを・・・。 人の恋路を邪魔するやつはギャロップに蹴られて死ぬぞ!!」
「だぁーっ!! だから、オレの彼女(おんな)っだて言ってんだろうが!! 他をあたれ!! 他を!!」
2人で騒いでいる内にシルバーとクリスも意識を取り戻し何とか立ち上がった。 ボムもゴールドもそんな2人に気付くことなく言い争いを続けている。
その隙に2人は傷ついた自分のポケモンをボールに戻し、別のポケモンを呼び出した。 エビワラーのエビぴょんとリングマだ。
「大体、キミみたいな前髪が三角形な男にクリスちゃんはもったいない!! クリスちゃんは私みたいな情熱的で、バラの花が似合う男のほうがいいのさ!!」
「前髪はわざとだ!! わ・ざ・と!! それより、お前絶対他の女にも同じようなこと言ってるだろ!!」
「当たり前じゃないか!! 全ての女性に愛を注ぐのが私の祖国のマナーだからな!!」
「祖国のマナーだかなんだか知らないけどな、人の彼女(おんな)に手を出すなっつーの!!」
「だから、お前程度ではクリスちゃんに相応しくないから彼氏ではない!! 断固認めん!!」
熱弁をふるうボムの両肩にどしりとした手がのせられた。
「今、忙しい!! この男をなんとしても説き伏せるまでは、待ちたまえ!!」
そう言って両肩の手を払いのけようとしたが、その手は予想以上に重い。 しかも、片方の手にいたっては長く鋭い爪が生えており、毛で覆われている。
ボムは自分の手で何度も感触を確かめる。 何度確かめても、人の手とは思えない。 流石におかしいと思ったボムは肩にのせられた手に視線を移した。
そこのあった手は明らかに人間の手ではなく、獣の手である。 もしかしたらイタズラだろうと思ったボムは自分の背後に目線を移した。
そこに立っていたのは、パンチポケモンのエビワラーととうみんポケモンのリングマだ。 2匹のポケモンはボム今に襲い掛かろうと睨みつけている。
ボムは引きつった笑顔を浮かべた。
鈍い音が数回した。
「ゴールド、ダクトに戻って別のフロアの移動するぞ。」
シルバーはリングマをボールに戻しながらゴールドに呼びかける。 ゴールドは頷くと、ウソッキーのウーたろうをボールから呼び出した。
そのまま、3人と2匹のポケモンでボムが出てきたと思われるダクトの穴に向かった。
「ウーたろう、悪ぃがオレたちをあの穴まで持ち上げてくれ。」
ウーたろうは3人を持ち上げるとエビワラーと共にボールに戻された。
ボールに戻ったところで移動を開始しようとしたが、そこには衝撃の光景が待っていた・・・。
「なにコレ・・・??」
クリスが驚くのは無理は無い。 自分達が今いるこのダクト、いたるところで曲りくねり迷路のようになっている。
「とりあえず、進むぜ・・・。」
ゴールドを先頭に四つんばいでダクトを進む。 進めば進むほど、進路の分岐は増えていき行き止まりが多くなる。
そして、20回目の行き止まりに出くわした・・・。
「だぁーーーーーっ!! いつになったら先に進めるんだよ!!」
イライラの頂点に達したゴールドはダクトの壁を叩いた。 かれこれ1時間は四つんばいで移動している。
またバックで元の分岐点に戻る3人。
「さっきは左から来たから右に曲がれ。」
「うるせぇ!!わかってらぁ!!」
シルバーの命令口調にゴールドはキレた。 そこへ、何処からとも無く音が聞こえ始める。
ゴロゴロゴロ・・・・・と、大きく重い球体が転がってくる音だ
先頭にいるゴールドは音がする方向が左側だと分かったので、その方向に目を向ける。 するとゴールドの顔はみるみる青ざめた。
「クリス、速攻でバックだ・・・・・・。」
ゴールドの口調の変化にクリスは疑問を抱いたが、とりあえず言われるがままに急いでバックする。
その間にゴールドはボールを一つ手に取りウーたろうを呼び出した。
「ウーたろう、オレが合図をしたら全力で正面に“ばくれつパンチ”だ・・・。」
ウーたろうも四つんばいになってゴールドの前になる。 次第にゴロゴロの音が近づいてくる・・・。
「いまだ!!」
ゴールドがウーたろうに声をかける、ウーたろうは全力で拳を放つ。 その拳は一匹のポケモンを捕らえた、マルマインだ。
マルマインは大きく吹き飛ばされダクトの壁に力強く打ち付けられて気絶した。
「・・・どうやら、アイツもいるようだな。」
シルバーがぼそりと呟くとゴールドとクリスの顔に緊張が走る。 ゴールドは今後のことを考えてウーたろうを出したままにして先へ進む。
先ほど進みそこなった右方向に進む。 クリスはこんどこそ背後を取られないようにボールからネイティのネィぴょんを出して後ろを見張ってもらう。
さらに進んで20分ほどたった。 さっそく、クリスの対抗策は効果を発揮した。
クリスのふくらはぎをつつくネイぴょん。
クリスはそれに反応して後ろを振り向くと、遠くのほうに何かうごめく影が見えた。 大きさから考えてどうやら人間のようだ。
クリスは小声で2人を呼び止めた。
「どうやら後ろから近づかれているみたいだから、先手をうって、さっきの仕返しをしようと思うの。」
そこで3人は小声でミーティングを開始する。その結果、シルバーの見解と、ゴールドの提案である作戦を立てた。
「タイミングはクリスに任せる。」
「あの野郎に、一泡吹かせてやろうぜ。」
クリスは頷くと、作戦どうり3人はさらに先へ進む。 進み始めて5分、ネイぴょんがまたクリスのふくらはぎをつつく。 どうやら影が一つ増えたようだ。
こんどの音は、さっきよりも大きくときよりメキッ、やゴツンといった音が入る。 さっきよりも重く、ごつごつしたポケモンのようだ。
(限界までひきつけて・・・)
クリスはギリギリまで後ろを見ないようにして、音で距離を感じる。 そして・・・
転がってきたポケモン、ゴローニャは何らかの合図を受け取ると身体中から光を放ち始めた・・・。 “だいばくはつ”の動作だ。
「今よ、ネイぴょん“サイコキネシス”!!」
ネイぴょんの目が光りだすと、強力な念波でゴローニャを吹きとばす。 ゴローニャは人影のところまで吹き飛ぶとそこで“だいばくはつ”した。
まばゆい光と、轟音、激しい熱風がダクトを通して3人に伝わる。 爆風で3人の髪が靡いた。
「ざまーみさらせ。 シルバー、クリス、今のうちに先に進むぞ。」
3人はまたダクトを進み続けた・・・。
進み始めてまた30分ほど過ぎた・・・。 すると、ネイぴょんがまたクリスのふくらはぎをつつく。
クリスが後ろを振り向くと何か音が聞こえる・・・。 クリスはとりあえず先を行く2人を呼び止めると音に聞き入る。
かなたから聞こえる、金属板の割れる音、そして岩の崩壊音。 徐々にその音はこちらに近づいているようだ・・・。
3人はとにかく先に進むことにした。 しかし、音の近づくほうが早くいつの間にか3人の耳には轟音としてその音が耳に入るようになっていた。
3人の移動する速さは必然的に速くなる。 それでも轟音はその音量を増すばかりだ。
クリスのふくらはぎをまた、ネイぴょんがつついた。 クリスは一時的に動きを止めて、恐る恐る後ろを振り向いた。
「!!!」
クリスは驚きのあまり声も出なかった。 そこで待っていた狂気の光景。
明らかに通常の大きさよりも大きい、ボーマンダがこちらにダクトを破壊しながら接近してくるのだ。
そしてそのボーマンダの背にしがみついているオレンジ色のスーツの男・・・。 ボムだ。
ボーマンとこちらの距離はあと10mといったところであろうか、ひときわ大きいボーマンダは大暴れしながら接近してくる。
「ネイぴょん、“サイコキネシス”!!!」
クリスの絶叫と同時にネイぴょんは強烈な念波を発生させて、そのボーマンダを吹き飛ばそうとする。
しかし、その一撃でさえも足止め程度しかならず、逆にボーマンダの怒りをかったようだ。
「竜の怒りをかう・・・。 ようするに“げきりん”に触れたようだな・・・。」
「冷静に解説している場合かよ!! さっさと逃げないとオレたちも・・・っておわっ!!」
突如、先頭を行っていたゴールドの姿が消える。 シルバーはゴールドの消えたあたりを良く見渡した・・・。 すると
「・・・クリス、此処に一時退避だ。」
そう言い残すと、シルバーもどこかに消えた。 クリスはネイぴょんに“サイコキネシス”で足止めを命じながらシルバーが姿を消したほうに進んでいく・・・。
「えっ・・・!?」
クリスの手にはダクトの感覚は無く、そこには大きな穴が開いていた。 クリスはネイぴょんと共にそのまま穴に落ちていった・・・。
「イタタタタ・・・。」
クリスは全身で床の感覚を味わった。 とりあえず立ち上がって見ると天井が無い、いや天井が高い。 どうやらダクトから抜けたようだ。
周りを見ると、明かりは裸電球1つで非常に殺風景で何も無い部屋だ。 広さは先ほどのバトル場よりも狭く、例えるなら学校の教室のような広さだ。
さらに周りを見渡すと、自分よりも先に此処にきていた2人の姿も確認できる。 そして、先ほどのバトル場と決定的に違う所があった。
(((・・・扉がある・・・!!!)))
3人が一斉に扉のほうを向くと、あの轟音が聞こえてきた。 3人は顔を向かい合わせ、お互いの意思を確認する・・・。
「先に進む前にやることがあるみたいね・・・。」
クリスはボールを一つ手に取ると、目を瞑り深呼吸し始める・・・。 彼女なりの集中法なのだろう。
「・・・障害は、先に取り除く・・・。」
シルバーもボールを一つ手に取ると、眼光を鋭くさせて轟音の来る場所を睨みつける。
「考えることは一緒か・・・。 ヘヘ、じゃぁ飛び切りの一撃をお見舞いしますか!!」
ゴールドは鼻の下を人差し指でこすると、ボールを一つ手に取った。
轟音はさらにその音量を強める。 音量に比例して、ゴールドたちのいる部屋も振動を始める・・・。
3人はボールからポケモンを出して臨戦態勢をとった。 振動し軋む音のする部屋だが、3人には静寂が流れる・・・。
そして・・・・・・!!
崩壊音と共に、怒り狂ったボーマンダが天井を破り落ちてきた。 その背にはボムの姿も確認できる。
(((今だっ!!!)))
「メガぴょん、“ソーラービーム”!!」
「オーダイル、“ハイドロポンプ”!!」
「バクたろう、“かえんぐるま”!!」
3人の3体のポケモンたちからすさまじい攻撃か放たれる。
“ソーラービーム”と“ハイドロポンプ”がボーマンダを捉えると、止めの一撃に“かえんぐるま”がクリーンヒット!!
そのまま、ボムと一緒にダクトまで吹き飛ばされた。
3人はそのままその場に座り込んだ。 おそらく緊張が一気に解かれたからであろう。
「ゴールド・・・私、腰抜けちゃったみたい・・・。」
「情けねぇが、オレも・・・。」
「一生の不覚だ・・・。」
3人はしばらくその場を動けそうも無かった。 そんな3人のところにダクトから一人の男が下りてきた。
「・・・signorina、かなり効きましたよ・・・。 まさか、青龍を倒されるとは・・・。」
ボムはボロボロのスーツと身体をしており、今にも倒れそうだったが3人を恐怖に追い込むには十分すぎた。
3人に絶望の表情が現れる。
(((今、攻撃されたら・・・)))
ボムはボールを一つ手にした。 不気味な笑みをボムは浮かべた。 3人は完全に硬直した。
「さぁ、signorina。 気持ちのイイところにエスコートして差し上げま・・・・・・ふぉっつ!?」
再び鈍い音が数回した。
3人は目を瞑っていたが、何時までたっても何もされないので恐る恐る目を開けてみると、そこには気絶して倒れているボムの姿があった。
そしてその後ろには、3人のポケモンが3体立っていた。
「サンキュー、バクたろうたち。」
実は、ボムが現れた瞬間アイコンタクトでポケモンたちに後ろから攻撃するように命令済みであった。
「以外に、シルバーも演技派なんだ。 ゴールドは危うかったわよ!!」
「だぁーーーーー!!うるせぇ!! 成功したからいいじゃねぇか!! 要は結果だ結果!!」
「痴話ゲンカか全てが終わってからにしてくれるか・・・。 先に行くぞ。」
シルバーはオーダイルに腕を引っぱってもらい立ち上がると、オーダイルをボールに戻し扉に向けて移動し始めた。
「痴話じゃねーーつぅの!! ってか、勝手に先に行くな!!」
ゴールドもバクたろうをボールに戻しシルバーの後に続く。
「まだ、話は終わってないでしょ!!」
メガぴょんをボールに戻しゴールドに続く。
3人は、部屋の扉を開けてまた別のフロアへと移動していくのであった・・・。
第12話へ・・・