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騎士たちの闇へ・・・そして開かれた禁断の扉・・・・・・


見覚えのある技術と、初めて見た技。

青年は烈火の騎士との戦闘で集団そのものの闇に気が付き始める。

その闇の中で繰り出された技と見覚えのある道具

技にも確かに興味があるのだが、どうにもあの技術のほうに興味がいってしまう

あのポケモンと、その後に取り出してきた道具・・・

自分の記憶が確かならば、これが意味することは・・・・・・








闇の中にある、真実の扉が開かれようとしている。












PAS Chapter3 第11話 推測→確信

















 あの“お手合わせ”から、数時間の時が流れて、いつの間にか天井に開いた穴から見える空の色は若干であるが薄暗くなってきているようだ。 

特にこの古城は山中にあるので夏だというのに暗くなるのが少々早い。

自分の手持ちであるカビゴンのゴンが放った至高の大技“
じわれ”によって、石畳のフィールドの中心部には大きな亀裂が四方八方に広がっている。

その大きな亀裂の中に落ちてしまったポケモンたち・・・即ち“お手合わせ”の相手であった円卓の騎士の一人

烈火のカーマインの手持ちポケモンを、その恋人である同じく円卓の騎士の一人である豪雪のホワイトと一緒に助け出しているのだ。

こういうのが得意なのが、やはり自分の手持ちであるピカチュウのピカだ。

亀裂の下、暗闇の地下を“
フラッシュ”で明るくしながら探し出すことができ、且つ、その小さな身体は亀裂の下に潜り込むのに適している。

しかし、そういう作業に適したポケモンは自分の手持ちにも、ホワイトやカーマインの手持ちにもピカ以外に存在しないのでなかなか作業がはかどらない。

それに加えゴンの技としての“
じわれ”は完全に決まってしまっていたので、その亀裂の深さや長さは尋常ではない。

先ほどからピカ一匹で地中に潜り続けている。バトルを始めた時刻を考えれば、おおよそで5、6時間以上はぶっ続けで作業をしている。

もちろん、その間に昼食などという休憩の時間は挟まれていない。

空腹と疲労が三人と一匹の精神力を奪い始める頃、いままで姿を現さなかった濃い紫色の瞳の男、円卓の騎士の一人であり

どうやら自分のことを誘った張本人である猛毒のモーブがこのバトル場に姿を現した。


「おや、皆さんまだこちらでしたか。」


どこぞの誰かさんと違って、本心から人の良ささがにじみ出ている優しい口調だ。聞いているだけでなにかホッとする。


「「モーブさん!!」」


カーマインとホワイトの二人はモーブの登場に、自分と同じようになにか安心を覚えたようだ。

とりあえず事情を話すと、モーブは腰に巻いてあるボールホルダーからボールを一つ取り出すと何の躊躇も無く、とあるポケモンを呼び出した。


「さて、ベトベトン。手伝ってあげなさい。」


ブラックは再び驚いた。ここまで不思議な色のベトベトンを産まれてはじめて見たからだ。

ボールから呼び出されたベトベトンは、白銀色。まるで意思を持った水銀のような感じだ。


「もう一匹。」


モーブは新たなボールを取り出すと、続いて今度は普通のマルノームを呼び出した。

呼び出された二体はその液体のような身体を活かして亀裂にベチョリと進入する。


「これが済みましたら、一度、私の部屋へ・・・」


そう言い残すと、呼び出した二体をそのままにしてモーブはバトル場を退室した。

急な登場と、急な退場にブラックもその行動の意図が読めない。 ただ、直感的に解ったのは、それなりの説明をしてくれそうということだ。

先ほどのバトル・・・いや、“お手合わせ”で解ったことを聞くチャンスだろう。

そんなことを考えながら、身体を軽くストレッチするとカーマインのポケモンの救助作業に戻る・・・







ここで、あの“お手合わせ”で解ったことを多少整理しておこう。

まず、大きな分類に分けるとして三つの疑問の分類が発生する


1.どこかで見たような技術について。


2.初めて見た、あのホワイトの放った技について。


この二点は用意に想像がつく。最後のもう一つの疑問を持てたかどうかで、その人物の才能や力量を測ることができるだろう。


3.“お手合わせ”を“観察”していた、ピンクとグレイについて。


あのバトルの最中でも周囲の情報を引き出そうとする貪欲さと、鋭い感覚が無ければブラックの領域にはたどりつけない。

以上三点、特に1番と3番の疑問はこの円卓の騎士に加わってから常に感じていた引っ掛かりを解決する糸口になるはずだ

頭の中で考えを整理している間に、ピカの鳴き声が地中深いところから聞こえてきた。・・・どうやら、ポケモンたちを見つけ出したようだ。

続けざまにモーブのマルノームと色違いベトベトンが、少々不気味な声を地中から呻くように上げた。

ブラックはそれらの声を聞いたとき、ふと、久々に忘れていたことを思い出しかけていた・・・・・・






・・・だけど、これを思い出してしまったら・・・やっぱりオレは・・・・・・






いつかの頃、こういう日々を送っていたことがあった。

もう、その日々を失って6年程になるのだろうか・・・・・・

そう、いつか、自分がまだ“トレーナー”であった頃だ・・・・・・






ハッと、思い出を引っ張り出そうとする自分の心に力強いブレーキをかけて、何とか自分自身を構築しなおす。






・・・オレは“無”の力を手にするんだろ・・・・思い出を掘り返すのはヤメだ・・・・・・







何とか自分を奮い立たせると、とにかく作業は作業と割り切って救助を進めた。

全てのポケモンをカーマインの手元に戻させる頃には、天井の穴から星空が見える時間になっていた。
















 カーマインとホワイトを先頭にして、石畳の回廊を三人と二匹で歩く。

三人がパタパタと歩くと、後ろの二匹がズルズルと動いてついてくる。愛嬌があるのか、不気味なのかは感性の違いによって分かれるだろう。

いくつかの鉄製の扉を開けて、石畳の回廊を特に会話も無く黙々と歩いていく。

そのためか、やはり後ろの二匹の動く音がどうにも気になる。だからといって、別に何もしないのだが・・・


「ここです。」


空腹と疲労で、精神的にも少々疲れていたのでそのホワイトの一声が表情に嬉しかった。

ブラックたちは鉄製のドアの前に立つと、ホワイトが先頭に立ってそのドアをコンコンとノックする。


「はい、どうぞ。」


ドアの向こうから聞こえてきた声・・・先ほど聞いたモーブの声だ。

失礼しますとドアを開き、ぞろぞろとモーブの部屋に足を踏み入れる。その前にと、モーブは自分の手持ちの二匹をボールに戻す。

あの二匹が部屋に居たら、部屋の中が彼らの臭いで充満してしまう可能性があるからである。

この辺りは、そういうポケモンを使うトレーナーの中ではマナーの一部として世間に浸透している。

モーブに案内されるままに、自分の部屋のテーブルと違って大きく綺麗で、上品な造りをしたテーブルと椅子へと案内される。

今日初めて自分以外の騎士の部屋に足を踏み入れたわけだが、部屋の構造や広さはほぼ同じらしい。

ただ、一箇所だけ自分の部屋には無いが、この部屋にはあるものがある。

部屋の内装や家具といったものに違いが見られるが・・・おそらく、自分で持ち込んだのだろう。

背もたれのある椅子に深々と腰掛ける三人、そして三人の様子を見てとりあえずコーヒーと茶菓子を出すモーブ

部屋にコーヒーの香りが広がると、この部屋の内装と家具からとあることが発想できる



(書斎・・・・)



床に敷かれたシックな柄の絨毯と、大きな本棚と、そこに収納されている分厚い書籍。

そして、自分の推測を確信に変化させるあるものが目に入る。

自分お部屋には無いが、この部屋にあるもの・・・・それは、窓。そして、その窓の前においてある立派な机とペンたて。

さらに机の上に置いてある原稿用紙と黒インク。・・・どうやら、モーブは文章に携わる仕事をしているらしい。

そんなことに興味を持ちながら、無意識のうちに茶菓子をほおばっていた。今、口にほおばっているのはチョコクッキーで

しっとりとしたクッキーの間に、まろやかでとっても甘いチョコクリームがサンドされている。

腹の足しになるかどうかは別として、疲れた身体に甘いものは良い。コーヒーとの相性も良い。

騒がしく食べているカーマインと自分、そしてそれを注意したそうな顔で見ながらも自分も食べているホワイト。

三人がしばらく落ち着くまでその様子を立って見ていたモーブだったが、表情を変えずにそのままブラックの対面に座った。

いくら食べるに夢中になっているとはいえ、ブラックも成人を超えた年齢で、常識は身につけている。

それに加えて、表情はにこやかでも何か話を切り出そうとしている人間の雰囲気というものは解るものだ。

ブラックはコーヒーを一口飲むと、口の周りに付いたクッキーの粉には気づかずにそのままモーブと話をする体勢をとる。



「どうですか、このお二人は?」


「う〜ん、カーマインなんかは昔の自分みたいな考えと心理をしてますね。

ホワイトなんかも、似たような性格の子を知ってますから。」



ちなみに、ホワイトに似たような子とはクリスのことである。その後もお互いに二人について話し合う

この二人のバトルのセンスや、戦術、応用、対応能力など。専ら、実際に“お手合わせ”したカーマインが主となるが

時より、モーブのほうからホワイトの戦闘方法についての話を聞くことができた。

自分たちの話をこんな間近で聞かされると、流石に恥ずかしそうな態度をとる二人。やはり、自分のことが話されるというのは恥ずかしいものだ。

しかもそれが、自分のことを褒める内容や、反省点などを挙げられると余計に恥ずかしい。

カーマインとホワイトはモーブとブラックの話を、茶菓子を食べながらおとなしく聞いていた・・・







 さて、一見雑談のように思えるブラックとモーブの話。だが、この話の流れは間違いなく自分の聞きたいこと聞き出すための布石に過ぎない。

会話に流れを作って、自分の聞き出したいことや知りたいことを得るためにはこうするしかない。



「・・・ところ、あの技・・・確か、[ブリューナク]って何ですか?」

「ああ、あの技ですか・・・アレは、私たちは“ウェポン”と呼んでいる技です。」

「“ウェポン”・・・?」

「騎士全員が使えるわけではないんですが、使える人が多いですね。」

「ちなみにモーブさんは?」

「私はそこまでの力量を持っていませんよ。同じように、カーマインも使えませんがね。」



そういわれると、カーマインが恥ずかしそうに下を向く。

騎士として“ウェポン”を使えないことは恥ずべきことなのだろうか?



「他に使えない人って誰ですか?」
「・・・・・・ああ、後は・・・パープルさんとスカイブルー、それと・・・ピンクさんですね。」



へーっと、適当な受け答えをしておく。どうやら、モーブはこの話をあまりしたくないようだ。

おそらくだが、技の内容などは絶対に教えてはくれないだろう。

それでもその“ウェポン”を使ってくる騎士が判れば、戦闘は多少楽にはなる。

ちなみに、ホワイトの使用した“ウェポン”、[ブリューナク]の原理は薄々だが掴めている。

彼女の“ウェポン”は太陽光を氷を用いて屈折、集中させて対象物に焦点を合わせてそこに光を放つ技。と自分で推測している。

要するに氷で凸レンズを作り出したということだが・・・焦点の算出などを一瞬のうちに終わらせてしまったところを見ると

やはりその力量、技量は高いものといえる。そう考えると、先ほどの名の挙がらなかった騎士たちの力量はとてつもないものだと判る。

とりあえずあの技、“ウェポン”についてはこのくらいにしておいてもいいだろう。後は、何とか技を打つ場面に出くわすほかは無い。




「後、あの道具・・・“バトルバイザー”と色違いのポケモンはいつから?」



あえて追い討ちを掛けてみた、本来なら一間をおいてもよかったのだが。




「「「・・・・・・。」」」




返答に相当困っているようだ。この発言の後、カーマインとホワイトたちと共に無言になってしまった。

ブラックには確信があった。“バトルバイザー”と色違いポケモンについてだ・・・





「アレらは・・・私たちが独自に研究、開発したもので・・・つい先日できたものなんです。」





そんなはずはない。絶対にありえない。

あの技術はもう6年以上前に完成された技術であり、尚且つ、とある闇の中に封じられた禁断の技術だ。



(その説明で納得しろってか?)



それを隠す理由を無性に知りたくなった。というよりもこの事実は自分にとって知らなければいけないことだ。



「一つ、言わせてもらっていいか・・・?」



ブラックはモーブに、いや、モーブたちに威圧的な態度で話しかけた。






「悪いが、こっちだって踏んでる場数が違う。・・・あからさまな嘘に騙されるほど、バカでもないし、お人よしでもない。」






これまたとある人物ばりの威圧的な口調と雰囲気。今までの口調から一変したので、その効果は絶大だ。

三人の騎士たちはそろってゴクリと唾を飲み込み、ブラックを見つめている。






「先に言ってやる。お前たちが放つ技に関しては知らないが、さっきの道具とポケモンは・・・間違いなくこっちの技術だ。」






「「「・・・・・・。」」」








「仮にもオレは、“元”とは言えその技術を生み出した組織の首領だ。気づかないはずが無いだろう?」








 “バトルバイザー”は元々は、一般戦闘員に配布される予定だった戦闘支援ツールだ。

搭載される機能は、ポケモン図鑑機能と相手のポケモンのコンディションを把握できるというツールだった。

これがあれば、とりあえずは上級トレーナーと知識とタイミングの面で渡り合うことができるようになるという画期的なツールだったが

製作、そして量産コストが予定額をはるかに超えていたので、廃案となったものだ。

これはロケット団首領時代に計画書を読んだことがあるのでよく覚えている。

そして色違いポケモン。色違いポケモンはあの四聖獣たちが使用していた切り札だった。

元々はミュウツー開発時に、様々なポケモンを実験材料にしたときにできた副産物である。

当時、あんなことをやっていたのはロケット団だけだったらしく、それ以外の場所でやっていたという情報は無い。

仮に独自にそういう研究をしていたとしても、ロケット団がその研究者を仲間に引き入れたことだろう。

そんなことを頭の中で整理している時、モーブの瞳が何かを力強く訴えかけてきていた。

その瞳はまるで、「君が考えていることは正しい」と言わんばかりである・・・

徐々にだが、頭の中で何かが繋がり始めていた。










もう一度、現状を整理してみよう。

ほぼ間違いなくロケット団の技術を受けている円卓の騎士。その背後にはこれも間違いなくロケット団の影がある。

そしてこの事実に気が付いたのは、先程の時間行われたカーマインとの“お手合わせ”だ。

モーブは自分を呼んだ張本人であるのだから、間違いなくこちらの経歴は知っているはずである。

ならばなぜ、わざわざこうやって返答に困るようなことを気づかせたのだろうか?

それともその展開を予期できなかったのだろうか? だとしたら、なぜあんなに遅れてから姿を現したのだろうか?

隠し通したい真実ならば、一切のミスが無いように隠し通すべきだ。・・・このモーブという男がそんなミスをする男には見えない。

では逆に、なぜそんなミスをしたのだろうか・・・・・・? そもそもこれはミスなのだろうか?

ロケット団の関与を伝えるために、または、円卓の騎士の闇を伝えるために・・・・・・





初め、その意図は全く読めなかったが、しばらく考えると、電流が流れたかのような感覚と共にとあることに気づいた。












・・・・・・そういうことか・・・・・・。














もしも、この考えが正しいのならば三つ目の疑問も解消できる可能性が高い。



「ところで・・・ピンクって女とは仲がいいの? ・・・もちろん、この場にいる三人全員がだけど。」



モーブの瞳が力強く頷いたような気がした。そう、全てがこの男の仕組んだ茶番だったのだ。


「・・・皆、あまり仲は良くありませんね。」


モーブの濃い紫色をした瞳が、一瞬キラリと輝いた。

この場に居る全員の考えが読めた。成程、今までのモーブの言動を考えればこれが彼にできた唯一の策だったのだ。











モーブの策の全容を知る前に、頭の中に図形を描けるスペースを確保するとよい。または、紙とペンでもいい。

彼はこれまであまりブラックと接触できなかった。その明確な理由は定かではないが、一つ、気がかりだったことがあった。

それは彼が誰かにその行動を監視されてるという推測である。もしもこれが事実だとすれば

彼の言動は全て監視下に置かれており、返答に困る程の秘密を伝えることができなかったのだ。

よくよく思い出せば、初めて彼と会ったとき、彼の隣に同じく騎士のブラウンが座っていた。やはり彼は監視下に置かれていたのだ。





ではなぜ、彼は監視下に置かれていたのだろうか?





その結論は簡単である。この円卓の騎士という集団は、現在内輪で派閥抗争をしているのだ。

ここで、先程用意したものを使ってほしい。まず、モーブとカーマイン、そしてホワイトは同じ派閥の人間といえる。

その理由は、モーブの仕掛けた策を忠実に実行したからだ。またここで、モーブが派閥の代表的存在である事がわかる。

そして監視役をやっていた人物は敵対派閥と見てよい。ブラウンがそうだが、あの“お手合わせ”を観察していたピンクとグレイも

ほぼい間違いなくブラウンの仲間と見てよいだろう。この時点で3対3に円卓の騎士は分けられる。

後はあくまでも想像の域だが、ベージュとセピアに怯えていたパープルはおそらく互いに別派閥と考えられる。どちらがどちらかは判らないが。

キミドリ、スカイブルー、そして未だに姿を見せないアルトラマリン。この三人はよくわからないが

唯一、アルトラマリンはモーブの言動から推測するに敵対派閥側だと思われる。

不明組であるベージュとセピア、キミドリ、スカイブルー、パープルを除くと見事にこの組織が二つの派閥で分かれていることが解るはずだ。

モーブ派の人数が3人に対して、ブラウン派の人数が4人。モーブが自分をこの集団に呼んだ理由がここだったのだ。

そしてそんな理由で、監視下に置かれたモーブはこの集団が派閥抗争になっていることを伝えるために

こちらの力量、技量を見越して、ピンクとグレイが監視している中で

集まるように言った本人か来ないから、暇つぶしのための“お手合わせ”をしよう。

という流れを作り出して、この事実を伝えたのだ。この男、やはり伊達に円卓の騎士の一人ではない。







ここまでは推測だったのだが、先程のピンクとの仲についての質問をああいう風に返してきたことを考えると

ブラックのこの推測は、確信へと変わる・・・・・・




(この集団のリーダーになって欲しい・・・か・・・・・・。)




改めて、“この集団”が指す集団が、一体どの集団なのかがわかった気がした。




「やれることから、はじめよう。」



ブラックはそう言うと、自分のコーヒーを一口飲んだ。














それからしばらくして、夏は終わりを告げていつの間にか秋と冬の境目の頃。

その間に、モーブとの話し合いは数回行われた。(カーマインとホワイトは再び、探検チームへと戻ったそうだ)

自分の目的が一段落の傾向を見せている。自分が直接統率していなかった、最も下の団員や研究員たちは

自然に自分の歩む道を見つけ出したために、自然消滅したといっても過言ではないが。

これからもこの調子でいってくれれば自分も多少は楽になるのだが、逆に、自分とロケット団の絆が失われて

いつか自分の中から罪の意識が消えるのではないかという恐怖と

もう一つ、自分自身を維持できる場所を失っていくという恐怖の二つの恐怖が日々、自分に迫っている。

だが、その恐怖という感情が本物かどうかは自分でも解らない。

こういう考えは、自室でのんびりしている時にふと湧いてくる。これも、“無”という力の影響なのだろうか?





いつかモーブから手渡された手描きの地図はいつの間にかしわくちゃになっていて、久々に古城の中を探索しつつ、相手側の派閥の内情を探ろうにも

地図が一体どこのことを説明しているのかがよく解らなくなってしまっている。同時に、この広い古城の中で迷ってしまったようだ。


「やべぇ・・・な。」


ポリポリと後頭部を掻きながらブラックは呟いた。流石に、どこまでも同じような風景が続く場所で迷うと焦る。

それに唯一の頼みの綱が通用しないとなると、これはマズイ。しかも、大声を出したとしても何人の人間が気づいてくれる事か・・・

この古城には最大でも13人しか人間は居ないのだから。

引き返そうかと思ったが、ふと辺りを見回すと木製のドアが壁に設置されている。・・・要するに部屋があるようだ。



「・・・・・・。」



ドアノブに手をかけようとしたとき、何か嫌なものを直感的に感じ取った。

それが一体何なのかは解らないが、ただ一つ解ることは、この扉の先にその答えがあるということだ。





・・・扉は開かれるためにそこに存在する。決して、見過ごすために存在するわけではない。

たとえ。開けた先に何が待っていたとしても・・・・・・






ふと浮かんだ言葉を信じてブラックは思い切って扉を開くと、真っ暗闇の部屋に足を踏み入れた。

すると、天井の電灯が点灯した。いきなりのことに即座に臨戦態勢を整えたが、数分待ってみても何の気配もしない。

どうやら扉があけられると同時に電灯が点く仕掛けになっているようだ。




「ここは・・・・・・!!!」




闇に差し込まれた光は、闇の中に隠れていたものの形と正体を照らし出した。

照らし出されたもの、それはロケット団のアジト、いや、それ以上の設備を整った研究施設だった。




埃のかぶりかたから長い間使用されていないことは解ったが、逆に不気味な雰囲気が漂っている・・・・・・




開けっ放しにしていたドアをガチャリと閉めると、このドアには鍵が無いことに気がついた。

これが直感的な嫌なものの正体だったかもしれない。しかし、探索というのは闇に潜ってこそ意味がある。

やはり、どこか見覚えのある機械。一体この機械たちが何に使われるかは知らないが、とにかくあの組織にも会った機械だけに

その使用方法と利用目的はとんでもないだろうと、推測できる。

機械に触れようとしてみると、様々な機械の陰から何やら怪しげなガス状の何かが幾つも幾つも飛び出してきた。



(なんだ!?)



音も無く影から飛び出しててきたのは、数体のガスじょうポケモン ゴース。

彼らの総数は軽く30は超えているだろう。その30体のゴースはブラック目掛けて様々な攻撃を開始した。



(番犬代わりってことか・・・・??)



この時ブラックには、なんとなく、いや、かなり確信できたことがあった。

番犬代わりのゴーストポケモン。

そして、ロケット団との関与・・・・・・








あの人物ならやりかねない。

そして、もしもこの推測が正しいのならば、あの人物の策の全容が見え始めるだろう。

同時に、この円卓の騎士のさらなる真実を得ることができるかもしれない。


















「やってくれたな・・・あの婆さん・・・・・・」


















推測が確信に変わる時、闇に光が射される時、青年が何かを知った時・・・・・・

時を同じくして、戦いの始まりを告げる警鐘が鳴らされ始めていた。

動き出す闇と、闇の中に隠されていた真実。戦いの時が迫っていきている・・・・・・




ブラックは、ゴースたちに対抗するために、腰のボールホルダーからボールを一つ取り出した。










第12話へ・・・